相次ぐ芸能人の自殺で、心が痛い…悲しさをしずめる方法を専門家に聞く

女子SPA!

 今年の5月以降、芸能人の自殺という悲しいニュースが、世間を騒然とさせています。木村花さん、三浦春馬さん、芦名星さん、藤木孝さん、竹内結子さん。そして11月13日に急死した俳優・窪寺昭さんも「自殺と見られる」と報道されました。

あまりに短い期間に重なった芸能人の自死のニュースに、ネットや筆者の周囲でも「しばらく衝撃が収まらない」という声がたびたび聞かれました。次々に飛び込んでくる急死した芸能人の情報や出演作品を見るたびに、なんだか心がざわついてしまう人も少なくないはず……。

そこで、こんな感情が続くのはなぜなのか、そして芸能人の悲しいニュースにショックを受けたときのケア方法について、グリーフケアの専門家である、一般社団法人日本グリーフ専門士協会 代表理事の井手敏郎さんに話を聞いてみました。

◆グリーフケアとは

そもそも、「グリーフケア」の「グリーフ」とは、大切な人との死別や喪失の体験による悲嘆や、それに伴うショックで、食事が喉を通らない、物事に対して集中できないなどといった日常生活に違和感をきたす反応のこと。

「家族や友人を亡くしたときだけでなく、芸能人が亡くなったときもグリーフの状態に陥ることは多かれ少なかれあると思います。ただ、今回のショックが長く続くなどといった、グリーフが深刻になる状況には、いくつかの要因があります」(コメントは井手敏郎さん、以下同)

◆悲しみやショックが続いてしまう「7つの要因」

井手さんによると、「亡くなった人(対象)」、「愛着の傾向」、「亡くなり方」、「過去の喪失体験や既往歴」、「その人の気質」、「社会的要因」、「連鎖的なストレス」の7つの要因が複雑に絡み合うことで、グリーフが深刻になっていくそう。

「自死というショッキングな亡くなり方もグリーフを深くする原因の一つですが、それ以外にも、亡くなった芸能人を自分の境遇や自身の家族の立場に重ねて不安になってしまったり、つらいニュースから過去に負った心の傷が反応して揺さぶられたりすることで、悲しみが大きくなってしまうことがあります」

さらに、現在のコロナ禍というストレスフルな状況も、不安を増幅させる要因になっている可能性も。仕事がうまくいかない、自由に活動できないといった抑圧された状況の中で聞いた悲しいニュースは、よりショックを大きくする場合があるようです。

では、グリーフが深くなり、動揺してしまったときにはどういったケアが効果的なのでしょうか。

◆身近な「つながり」の確保で不安をやわらげる

「『ソーシャルサポート』を活用することです。身近な人に聞いてもらうことも大切だと思います。しかし、グリーフというテーマは身近な人だとかえって話しにくい場合も少なくありません。

死別の悲しみを理解して耳を傾けてくれる団体は多数あります。まずは何らかの『つながり』を確保しましょう。今は不特定多数の人との対面での会話が難しい時代なので、オンラインで語り合える場も少しずつ増えています」

なるほど、まずは死別に理解のある方に話を聞いてもらうことで、不安がやわらぐのですね。でも、知らない人に自分の思いを話すことに抵抗がある人もいそう……。

◆人ではなく、自然やペットとの触れ合いでもよい

「もし人と接することが気持ち的に難しい場合は、身近な自然に『つながり』を求めるのも一つの方法です。例えば、庭の芝生に裸足で立って土の感触を感じてみたり、川の中に手を入れて水の動きや生命の源に思いを馳せてみたり。身近な草花に目を向けるだけでも、地球とのつながりを感じることができ、気持ちに温かさが生まれます」

他にも、ペットなどの動物と触れ合う、読書するなど、さまざまな「つながり」が動揺した気持ちを助けてくれるきっかけになるのだとか。

「大切なのは、まず何かと『つながり』を持つこと。つながりは必ずしも人だけではありません。まずは自分の気持ちがやわらぐ何かにつながりを求められるといいですね」

そうなると、やはり安心できる友人がいればとても心強いはず。普段から心から信頼して話せる友人や、否定せず聞いてくれる知人、家族などとの関係性を作っておくことも重要なのかもしれません。

◆悩む知人への適切な声のかけ方

では逆に、もし知人が大切な人を亡くして悩んでいたときは、どのように対応すればよいのでしょうか。相手を傷つけてしまいそうで、つい腫れ物に触るように接してしまいがちですよね……。

「まずは相手に、支えてくれる人や、食事や家事などの生活を助けてくれる環境があるかどうかを尋ねることも大切です。『食事はとれてる?』『眠れてる?』と心をかけるだけでも、相手は何らかの温かみを感じるはずです」

さらに相手との信頼関係があれば「いつでも話を聞くよ」「困っていることがあったら手伝おうか?」と声をかけて、具体的に手伝えることを提案すると、相手も頼りやすくなるのだとか。

◆アドバイスせずに、黙って話を聞く

また、話を聞くときはアドバイスをしないことも大切。「黙って耳を傾けるだけで、本人の痛みがやわらぎ、気持ちが整理されることがあります。相手の気持ちを無理に変えようとせずに、『そうだったんだね』『つらかったね』と話をゆっくり聞きましょう」と井手さんは言います。

相手が傷ついていると、つい何とかしてあげたいと思ってしまいますが、その行動が相手にとって必ずしも心地よくない場合があることを、忘れてはいけないのですね。

大事な人や思い入れのある芸能人が亡くなって動揺するのは、当然の心の動き。ただ、そのときに自分の心や体にどんな変化や動きがあるのかといったグリーフケアの知識を先に知っておけば、対処することができます。

◆ときには情報の遮断を

もちろん、もうこれ以上悲しいニュースは聞きたくないですが、もし飛び込んでくる情報に動揺してしまったときは、詳しい死の背景や亡くなり方などの情報に触れることをできるだけ避けましょう。

そして身近な何かとつながりを持ち、頑張っている自分を労わってあげてくださいね。

【井手敏郎】

一般社団法人日本グリーフ専門士協会 代表理事。アライアント国際大学カリフォルニア臨床心理大学院(日本校)にて米国臨床心理学修士号(MA)取得。日本、アメリカ、ドイツで悲嘆ケアを学び、死別悲嘆を支えるグリーフケア研修やオンラインでのわかちあいの会「グリーフサロン」を開催。精神科クリニックで自死遺族のグリーフケア・プログラムも担当。著書に『大切な人を亡くしたあなたに知っておいてほしい5つのこと』(自由国民社)。

<取材・文/関由佳>

【関由佳】

筆跡アナリストで心理カウンセラー、カラーセラピストの資格も持つ。

芸能人の筆跡分析のコラムを執筆し、『村上マヨネーズのツッコませて頂きます!』(関西テレビ)などのテレビ出演も。

夫との死別経験から、現在グリーフ専門士の資格を習得中。

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当記事は女子SPA!の提供記事です。

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