『恋あた』共演3度目の森七菜&仲野太賀の相性にほっこり

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 森七菜が終始ハツラツと躍動し、中村倫也の端麗な仏頂面がときおり微笑みに溶ける。石橋静河は秘めた感情をじりじりと表に出し、仲野太賀は言葉や心情よりも大胆な動きに思いが随伴する。

4者4様のキャラクターが描かれながら、その“静”と“動”のコントラストに何度もハッとさせられる火曜ドラマ『この恋あたためますか』(TBS系列/毎週火曜10時~)。

第4話までを終えて、それぞれの登場人物たちの過去の関係性や現職に至るまでの経緯、からみ合う恋心などが徐々に明らかになってきた。ハマり役しかいない役者陣の好演や、「選ばれなかった人たちの物語」というここまでの主題に焦点をあてながらお話を振り返っていきます。

◆替えが可能な“選ばれなかった人たち”の物語

「手前だけどんどん売れ残っていって、最後には期限が切れて捨てられる。後ろには新しいのが控えてて、代わりなんていくらでもある」

第1話で森七菜演じる井上樹木はそう悲観して言葉を発する。コンビニの商品は古いものを前に置くけれど、そのことを客は知っているから後ろばかり取られていってしまう。結果的に古いものはどんどん売れ残っていき、最終的には捨てられる……。

それは初回放送の冒頭で樹木による長い独白が伝えるように、樹木の人生そのものだった。地下アイドルをやっていたが自分だけ人気が出ず、21歳になった樹木の前にフレッシュな新メンバーが現れ、瞬く間にセンターをかっさらっていった。半ばクビのような形で樹木が卒業すると、グループはアリーナ公演をするようなトップアイドルへと成長していく。

樹木はいつまでも選ばれることがなく、代わりはいくらでもいるという現実を最も辛い形で突きつけられてしまった。事あるごとに「私なんて……」と発してしまう、そんな自信のない主人公が、しかしある日突然「君が必要だ」と選ばれるのが『恋あた』の描くシンデレラストーリーである。

何度か見たことがあるようなベタなドラマ展開ではあるものの、面白いのは樹木以外の登場人物たちもみんな「選ばれなかった側の人たち」ばかりである点だ。

◆浅羽が樹木を選んだのは、自身との境遇の一致からか

味覚が鋭くスイーツ評に長けている樹木をコンビニチェーン「ココエブリィ」の商品開発部に招いた社長・浅羽拓実(中村倫也)。才能はあるにしてもド素人であった樹木を大抜擢したのには、彼自身の“代替可能”な存在感が強く影響を及ぼしているのだろう。

外資系の大企業からの出向という形で業績が低迷しているコンビニチェーンの改革を託された浅羽は、彼の同僚が嫌みたらしく指摘するようにほとんど左遷に近い状況だった。専務の神子(山本耕史)からは敵視され、浅羽の上司である都築(利重剛)からもうまく利用されているような雰囲気がある。

代替可能なのは浅羽だけでなく、第1話では商品部スイーツ課の課長・一岡智子(市川実日子)が急な異動を告げられたり、それによって今まで課内での発言権が薄かった北川里保(石橋静河)に商品開発のチャンスがまわってきたり、どんどん役割が入れ替わっていくのが『恋あた』前半のハイライトだった。

そんな彼らがスイーツ開発のなかで徐々に選ばれたり、あるいは選ばれなかったりするもどかしさを抱えながら、徐々に「恋する人への思い」も熱くたぎらせていく様が描かれていく。

◆動きが先行する森七菜と仲野太賀の恋

『恋あた』というドラマは比較的説明ゼリフが少なく、過去を回想するシーンなどもない。そのミニマルな演出によって登場人物たちの関係性が最初はうまくつかめないのだが、徐々にあらわになっていく4人それぞれの恋の方向性などが物語をうまくドライブさせている。

それまでも匂わせてはいたが、第4話ではっきりと浅羽と北川が過去に恋人同士であったことが明かされ、樹木はそのことに強くショックを受ける。

井上樹木というキャラクターはいつも感情に身を任せて躍動する人物で、その突拍子のなさが新谷(仲野太賀)を恋の渦に引き寄せたりするのだけど、好きな人の前ではしゅんと縮こまってしまうのが彼女らしいところだ。いつもは感情よりも行動が先行するのに、浅羽の前ではいろいろ考えて動けなくなってしまう。

“動きが先行する”といえば、樹木に徐々に惹かれていく新谷もそうだろう。いつもは冷静に物事を見ているようなキャラクターだけど、「ここぞ」というときに思ってもみない大胆な行動に出てみせる。

第1話では「どうせ私なんか…」なスイッチが入った樹木に対して、壁ドンからの「“どうせ私なんか”スイッチが入ったらまた言って。俺が再起動してあげるから」と一気に詰め寄り、第4話ではついにキスをしてしまった。なんとも油断できない、絶妙なタイミングで不意をつく男である。

◆3度共演した森と仲野の真骨頂

結局こういった恋愛ドラマの傾向からして、新谷は当て馬となってしまうのかもしれないが……、ここまでを観ていて森七菜と仲野太賀の相性の良さは特筆すべきところがあるといえるだろう。

実は彼らの共演は3度目。現在放送中の『あのコの夢を見たんです』(テレビ東京/毎週金曜深夜0時12分~)では第3話「透明人間」で仲野演じる山里の親友役を森が演じ、『恋あた』にも通じるようなハツラツとした彼女と寡黙な彼の交流を体現していた。

それともうひとつ。彼女たちふたりの空気感に心惹かれた方はぜひゼクシィのWeb CM『TIFFANY BLUE』も観てほしい。

ティファニーとゼクシィがコラボしたこのショートフィルムでは、森と仲野が恋人役を演じ、ほとんどセリフのないやりとりのなかで緊密な関係性を見事に表出している。『恋あた』では3度目の共演で醸成された空気感が、樹木と新谷の付かず離れずの距離感に説得力を付与しているのだろう。

そして本作で彼らのような“動”の突飛さに相対するのが、“静”の演技が光る中村倫也と石橋静河だ。

第4話までは要所で新谷の存在感が浮き彫りになる展開だったが、きっとここから浅羽社長の快進撃が始まるに違いない。主要キャラ4人のなかでここまで唯一感情が透けてこない役柄なだけに、どういった方向にも転がりうるだろう。

『美食探偵 明智五郎』(日本テレビ)などでも見せた破壊力の強すぎるツンデレや王子様的アプローチを、本作後半ではぜひ期待したいところである。

<文/原航平>

当記事は女子SPA!の提供記事です。

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