ウェディングプランナーの裏側。カップルのフリして他社の式場を“偵察”

日刊SPA!

 “一生に一度”の一大イベント、結婚式。参列者に見守られ、新郎新婦は新たな人生を共に歩み出す……。そんな門出となる日の事前準備から新郎新婦の相談に乗り、心強い味方となってくれる「ウェディングプランナー」。だが、その裏側では苦労が絶えないという。

◆カップルを装って…他社潰しに躍起

ウェディングプランナーは、営業マンでもある。自社の式場を顧客に選んでもらうべく、競合他社との熾烈な争いがあるという。ホテル内の結婚式場でウェディングプランナーとして働くしょうたさん(Twitter:@shotablog0612)が話す。

「すでに私たちの式場であげることが決まっているカップルと打ち合わせをしている時でした。式場を決めるまでに、いくつか式場見学をしていたそうなのですが、そのカップルが隣のカップルを見て、『あれ、あの人たちに以前、別の式場で対応してもらいました』と言ったんです」

いったい、どういうことか。一部の悪徳な会社は他社を潰そうと、“カップルを装って”偵察に来るという。

じつは、そのカップルたちは有名サイトを通じて見学や打ち合わせの予約を取り、わざわざ偵察にやってきた偽カップルだったのだ。

「実は、ブライダル業界の暗黙の了解で、自分が働く式場以外で結婚式を挙げる場合は、他の式場で働いていることを打ち明けなければならないんです。でもその隣のカップルはそんなことは一言も言っていなかったので偵察だな、と」

どこの式場にもマイナス面があるが、そのマイナス面を実際にライバル会社に足を運び、あぶり出しているのだ。

「偵察した人たちは、見学にきたカップルに対して、『自分たちの式場はこんないいところがある』というプレゼンではなく、『他のホテルは立地が悪い、料理がよくない』などとマイナスな面ばかりを伝えるんです。なんか、同じウェディングプランナーとして悲しくなります」

◆裁判沙汰に発展するケースも

他にも、ある式場では、結婚式中に某有名テーマパークのメインキャラクターを登場させられる、と嘘を言ったそうだ。当然、そんなことが実現できるはずもなく、大クレームに発展。裁判沙汰になっているのだとか。

「『今日契約すれば100万円引き!』と言って、値引きいっぱいする分、単価の高いコースばかり案内して、結果的により高くなったり。一部の人は会社の利益しか考えないので、残念な気持ちになります。何しているんだろう、と」

ウェディングプランナーは、純粋にカップルの門出を祝うだけではないのだ。

◆若きカップルが失踪、その時ウェディングプランナーは…

約10年前、ウェディングプランナーとして働いていた大宮道子さん(30代・仮名)も違う意味で“偵察”をしたことがあるそうだ。

「結婚式を3週間後に控えるカップルと連絡がつかなくなったんです」

大宮さんと20代前半のカップルは3回ほど打ち合わせをしていた。それまでは順調に話が進み、会場を抑え、次の打ち合わせでは料理やお花を決めようとしていた。全体の4割~5割は決まっていたのだとか。

しかし、その打ち合わせの日、若き二人は式場に姿を現さず、それから1週間、大宮さんは二人が住む自宅や、実家などにも電話をしたが、全く連絡がつかなかった。

「そもそも、やるのかやらないのか分かりませんでした。事件に巻き込まれたのかもしれませんし、一体どういうことだろうと。仮にやらないなら、キャンセル料を頂かないといけませんでした。数か月前に連絡がつかなくなるのなら、損害は比較的少なくて済むのですが、3週間後に結婚式をしたい、というカップルはそういないので、結婚式1組分、少なくとも300万円の損害になってしまいます」

どうするべきか。担当レベルでは解決できない問題となり、本社と相談。悩んだ末、当時の上司とこんな行動に出た。

「お二人の自宅に行って、ピンポンしたんです」

◆まるで探偵の仕事

ピンポンしたが、留守だったのか、出てこなかった。「もしかしたら帰ってくるんじゃないか」と電信柱の影に隠れて待ったそうだが、会えなかったそうだ。

「近くにある青果店などにも二人について聞き込みをして、『ちょっとわからないですね~』なんて言われたりして。まるで探偵というか、刑事みたいで。自分、何しているんだろうと悩みました。

それから、契約の際にご実家の住所を書いてくださっていて、そちらにも行ってみました。ピンポンしてみましたが、窓は開いてるけど出てくる気配はなかったですね。上司と窓を覗いてみては、出てくるかなぁとやっていました」

結局、会うことができなかったそうだ。その後も、粘り強く、毎日連絡をしたが、泣き寝入りとなってしまった。

「当時はとにかく驚きました。前代未聞でした。なかなか3週間前にキャンセルとなることはないし、音信不通はありえないことですし。

今もし二人に会えたら、来なくなった理由を教えて欲しいです。20代前半だったので、予算に不安が出てきたのなら金額を抑えた上で、なるべく要望に近いやり方も考えられたかもしれません」

人生の晴れ舞台だけに、大きな金額が動く結婚式。そこには多くの人たちの思惑が交差しているのだ。<取材・文/星谷なな>

【星谷なな】

5歳の頃からサスペンスドラマを嗜むフリーライター。餃子大好き26歳。 たまに写真も撮ります。Twitter:@nanancypears

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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