Uber Eats配達員、客から届いた「歩いてます?」のメッセージに心底ビビる

日刊SPA!

―[40代日雇い男「Uber Eats」自転車出稼ぎ旅【東京発沖縄行】]―

僕は普段、日雇い派遣などの仕事で稼ぎつつ、時間を見つけてはタイなどの東南アジアを中心に旅してきた。この状況では海外旅行には行けそうにないが、日本国内ならば比較的自由に動けるようになってきている。旅がしたい。でも、社会の底辺で生きる僕にはお金がない。そこで「Uber Eats」の配達で稼ぎながら国内を自転車で旅するという方法をとることにしたのである。

◆お客さんから謎のメッセージ

旅に出て34日目、僕は京都にいる。この日の天気予報は雨だったので配達を休み(実際にはたいして降らなかったのだが)、翌日の35日目から配達を再開した。

この日は配達リクエストのもっとも多くなる日曜日とあって次々とリクエストは入ってきた。しばらくしてある配達先のマンションに向かっていたときのこと。お客さんからこんなメッセージが届いた。

「歩いてます?」

◆嫌な予感

え、どういうこと? 僕はこのメッセージの意味を考察し、そして思い出したのが2日前に会った、京都でウーバーの配達員をしている卓磨さんの話である。彼は配達先でヤクザのようにガラの悪い男3人に囲まれたことがあるということだった。まさかこの配達先のお客さんも僕の配達が遅いことにブチギレているのではないか。

「おどれ、いつまで待たせる気や。歩いとんか、貴様!」

まずい。こ、殺される……。僕は恐怖に打ち震えながら自転車のペダルを必死に漕いだ。しかし、到着してみると、お客さんはごくふつうの男性だった。商品を受け取るときには礼儀正しく「ありがとうございます」と言ってくれた。

あとから気付いたことなのだが、京都市内は河原町商店街など自転車の走行が禁止されているエリアが多く、そこを通過するときは自転車から降りて歩くしかない。彼はそのことを知っていて、僕がそのエリアを歩いていると思って「歩いてます?」と訊いてきただけなのかもしれない。なんにしても、僕は少しビビりすぎていたようである。

この日の収入は7494円。これでゲストハウスの宿泊をさらに7泊延長した。

◆この旅をはじめてから2度目のパンク

36日目。前日と打って変わってこの日の配達リクエストは非常に少なかった。しかも配達の最中に自転車のパンクというアクシデントに見舞われる。約2週間前に名古屋でパンク修理したばかりだというのに……。

しかし、お客さんをあまり待たせるわけにはいかないのでそのまま自転車を漕いで配達先に向かった。パンクしたチューブがぐしゃり、ぐしゃりとさらに痛めつけられる感触がサドルから伝わってくる。配達を終えると、最寄りの自転車屋まで自転車を押して歩いた。

自転車屋の店員に見てもらうと、前回パッチ修理した箇所からチューブが裂けてしまっているのでチューブ自体を交換する必要があるという。その料金は3300円。その日約5時間ほど稼働して稼いだ3441円がほとんど吹き飛んでしまった。

やってられねえ……。

どっと押し寄せる徒労感。チューブ交換をして自転車はまた走れるようになったものの、その日はもうまったくやる気が起こらず、配達を終えることにした。

◆男ひとりで食べるパフェの味

そして向かった先はJR京都伊勢丹の「茶寮都路里」である。京都にいる間にここのパフェを一度は食べておきたかったのである。

窓際のカウンター席に通され、抹茶クリーム、抹茶アイス、白玉などがふんだんに盛り付けられた「特選都路里パフェ」を堪能する。これが1441円(税込)とそこそこいい値段がするので、この日の収支はかなりのマイナスになってしまった。が、知ったことか。

濃厚な抹茶の味と白玉のもちもちとした食感のハーモニーを楽しみながら窓の外を眺めた。間近に京都のランドマークである京都タワーが高くそびえており、その背後にはうっすらと虹が架かっていた。

【34日目】

<支出>

食費:1206円

<収入>

0円

残金:4530円

【35日目】

<支出>

食費:1744円

宿泊費7泊分:5170円

合計:6914円

<収入>

7494円

残金:5110円

【36日目】

<支出>

食費:2601円

チューブ交換:3300円

合計:5901円

<収入>

3441円

残金:2650円

<取材・文/小林ていじ>

―[40代日雇い男「Uber Eats」自転車出稼ぎ旅【東京発沖縄行】]―

【小林ていじ】

バイオレンスものや歴史ものの小説を書いてます。詳しくはTwitterのアカウント@kobayashiteijiで。趣味でYouTuberもやってます。YouTubeで「ていじの世界散歩」を検索。

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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