毒親が亡くなったら最低限やるべきこと。相続でモメる家族の特徴とは

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 こんにちは、恋愛ジャーナリストのおおしまりえです。

◆毒親が亡くなった!どのような弊害が起きる?

親の死をきっかけに、家族がいがみ合うこともある遺産問題。通常の家庭でも起こりうるトラブルですが、毒親の場合は一体どのような弊害が起こるのか。また、トラブル回避のために出来ることはあるのでしょうか。前回記事に引き続き、NEXTi法律会計事務所の萩生田彩弁護士に話を聞きました。

※毒親=米国のスーザン・フォワード(医療関係のコンサルタント、グループ・セラピスト)が作って1989年の著書で使った言葉。学術的な定義はない。

◆最低限すべき手続きとは?

相続をどうするかは、親が裕福か貧困か、兄弟との関係が良好かなど、パターンは1つではないといいます。

親に借金があったり、多少資産があっても関わりたくない、という場合は「相続放棄」の申述(申し立て)を管轄裁判所に行う必要があります。

「既に毒親と絶縁しており、関わりたくないのならば葬儀は無理して行くことはありません。でも、親の除籍・戸籍謄本と自分の戸籍謄本を取得し、相続放棄の手続は速やかにおこないましょう」(萩生田弁護士。以下同)

相続放棄の申述は、死亡を知ってから3ヶ月以内に行わなければなりません。延長の手続をしても6ヶ月以内。いくら顔も見たくない親だとしても、対処すべき最低限の手続きといえます。

「親に資産があって相続する場合は、資産の把握から始めなくてはいけません。一方親の死後ありがちなトラブルは、兄弟とのぶつかり合いです。例えば毒親に似て兄弟の中に毒子がいたケースです。

相続前に、勝手に毒子が親の預金を全額おろしてしまう場合があります。遺産分割は調停をしたとしても今確認できる財産に限りますから、既に口座から誰かがおろしてどこにあるかが不明だと、どうすることも出来ないのです。誰かが抜けがけする可能性があるならば、親の資産把握を急ぎ、速やかに金融機関に連絡をして全口座を凍結しましょう」

◆相続を機に兄弟間でのトラブルも

また毒親に限らず、親とは疎遠だけれど、兄弟間の関係は平和だった場合でも、「自分の方が親の面倒を見ていたのに」といった介護や同居を盾に遺産問題で揉めるケースは多いそうです。

「同居や介護をしていた子は、『自分が全部面倒を見たのに』と主張し、離れて暮らしていた子は『親の近くにいてそっちばかり良い思いをしたくせに』と反論します。こればかりは決着がつきにくい問題です。

また珍しいケースでは、兄弟間のトラブルから、遺言書を子が捏造することもあります。そういったこともやりかねない相手だと思うなら、親の直筆の手紙や日記を手元に置いておくと、偽造を見抜くことができます」

兄弟間のトラブル対策は、“毒子対策”ともいえるでしょう。毒親から毒子が生まれるなんて……と思う方もいるかもしれませんが、毒親も元をたどれば自身の毒親や生育環境が影響して毒親になることが多いです。つまり、毒親の子が毒子(毒親)になる可能性は十分あるといえるのです。

◆よく揉める家族の傾向3つ

ここまで聞くと、相続については毒親と絶縁するしないかに限らず、誰もが考えておきたい問題であることが分かります。また萩生田さんに、毒親に限らずトラブルに発展しやすい家族の傾向を聞くと、3つのポイントを教えてもらいました。

●自分の兄弟の配偶者が“変なヤツ”

兄弟の配偶者が毒っけの強い人というか、少しクセが強い場合は、自分の家の問題でなくとも変に口を出し、問題をこじれさせるケースがあります。例えば父が亡くなり、兄は遺産分割を穏便に決めたいと言っているのに、兄の妻は断固として自分たちの取り分を全額主張するなどです。こうなると、家族全体を巻き込んだ大トラブルになるそうです。

●資産が実家の土地建物しかない

土地建物は分割できないので、分けようがないからこそ家族間で揉めがちです。ある子は土地建物が欲しい。ある子は現金が欲しい。でも土地建物が欲しい側の子に現金がなければ、資産を売って分配するしかありません。こうなると、結果として手放したくないのに資産を手放すこととなり、兄弟間の不満が残ることにもなります。

●家族の誰かだけにお金を出しているor貸している

兄弟間で待遇に明らかな差があると、相続の際揉めがちです。先程説明したように、親と同居した人と疎遠だった人ではお互い自分こそが愛され大事にされていたことを、遺産問題で証明しようとするのかもしれません。

◆可能であれば、絶縁よりも疎遠に

毒親に限らず、誰もが考えたい相続の問題にまで話が広がった今回。毒親との関係性は程度によるとはいえ、萩生田さんは可能であれば絶縁ではなく疎遠にし、季節の挨拶程度の関係は保ってはどうかと提案します。

「もちろん本当にひどい親に無理をして関わる必要はありません。でも距離を置くだけで済むのなら、最低限、季節の挨拶や記念日のお祝いくらい、ご自分の負担にならない程度にやっても良いのではないでしょうか。

毒親とはいえ、親は『子どもは子ども』だと思っています。縁を切る態度なら親も『もう子どもだと思わない!』と、徹底して反発した態度に出るところが、最低限、誕生日や節目の挨拶をしていただけで、ほんの少しだけ関係がよくなり、後々自分を助けることもあります。ただし、本当に関係が厳しい場合やお金がない親の場合は、この限りではありませんので注意してください!」

◆親の生活費、無理してでも出すべき?

ちょっとだけ温かくなる提案の後に、クギを刺す萩生田さん。ちなみに親に借金があったり生活費もままならない場合は、不用意に優しくすべきではないそうです。

「本当にお金がない場合、区役所の生活保護担当の課から連絡をもらうことがあります。『子どもには親に対する扶養義務がありますが、できますか?』という確認の連絡なのですが、これを情で『なんとかします』と答えると、扶養義務が発生し親を養わねばいけなくなります。

というか、役所の人は『子どもには扶養義務があるのでやってください』と強めにくるので、もし従わなかった場合にペナルティがあるかもしれないと思い、扶養を始めてしまうというケースも少なくありません。こうした場合、子もろとも共倒れのリスクが高まりますので、金銭的に厳しい場合は法律上の義務があっても『うちも無理です!』と断ってほしいです」

親や兄弟への扶養義務は、法律的にも「可能であれば」と解釈されていて、断っても別に違法ではないのです。

法律は時に毒親から自分を守る正しい戦い方を教えてくれる。今回の話を聞き、強くそう感じました。どうか毒親に苦しむ皆さんは、心理的なケアも去ることながら、本当に物理的な負担が今かかっているor今後発生しそうな場合は、早めに専門家を頼り、自分の身を守って欲しいです。

【お話を聞いた人】

NEXTi法律会計事務所代表弁護士 萩生田彩さん。東京都生まれ。2012年弁護士登録。17年より現職。著書に『遺産分割実務マニュアル』(共著)ほか。

<取材・文・イラスト/おおおしまりえ>

【おおしまりえ】

水商売やプロ雀士、素人モデルなどで、のべ1万人以上の男性を接客。現在は雑食系恋愛ジャーナリストとして年間100本以上恋愛コラムを執筆中。Twitter:@utena0518

当記事は女子SPA!の提供記事です。

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