King Gnu「三文小説」は大人が心に抱く不安を優しく包み込む人生讃歌

UtaTen

老いと孤独から生まれる不安


ハイクオリティなメロディと、共感しやすい現実的な歌詞で人気の4人組ロックバンド・King Gnu。

2020年10月30日、前作からおよそ9ヶ月ぶりとなるシングル『三文小説』の配信を開始しました。

ドラマ『35歳の少女』の主題歌として書き下ろされた楽曲です。

▲King Gnu - 三文小説

タイトルにある「三文小説」とは、三文の価値もない低級な小説を軽蔑して表すときの言葉

ドラマのストーリーとリンクさせて書いたという歌詞の意味を読み解きます。

登場人物は「君」と、一緒に過ごしている男性です。

歳を取ると次第に交友関係が薄れていくことを、多くの人が感じているのではないでしょうか。

特に友人がたくさんいた人ほど、世界に置き去りにされているような気分になるかもしれません。

しかし、たとえすべての人に忘れ去られたとしても、彼は「随分老けたね」と言いながら彼女のそばにずっといると伝えています。

年齢とともに増えていく皺。若い頃の自分ではなくなっていくことが不安を煽ります。

それでも彼は「そのままの君で良い」と、彼女の存在を以前と変わらず認めているようです。

「増えた皺の数を隣で数えながら」というフレーズからは、刻まれた皺さえ愛おしく思っている様子が感じられますね。

見方を変えれば人生は前向きになる




他の人の華々しい人生と比べると、自分の人生が平凡な「三文小説」のように思えることもあるでしょう。

とはいえ、彼女とのふたりの人生を大切にしている彼にとっては、ずっと手元に置いておきたいほど価値のあるもの。

何か内容に問題が生じれば、より良くなるように励んでいこうと語っています。

ここで出てくる「一人」とは、社会と離れることを指していると考えられます。

自分の人生と真剣に向き合うためには、孤独にならなければいけない時があることを示しているのでしょう。

世界に置き去りにされたのではなく、それが自身にとって重要なことだから距離を置いたのだと考えると、前向きな見方ができる。

それが周囲から見れば「過ち」だとしても、彼は彼女と生きる決意をしていると感じられます。



サビに出てくる「三文芝居」も、お金を払う価値がないような完成度の低い芝居のことを指す言葉です。

現実はうまくいかないことばかりで、何もできずに足踏み状態が続く時もあります。

しかし、ふたりでいるから楽しいのです。

彼女は老いていく自分に自信が持てなくなっているようですが、彼はそんな彼女が向けてくれる何気ない表情や言葉に力をもらっています。

残酷な現実も、思い通りにならない人生も、大切な人がそばにいれば小さな幸せが見つかるのでしょう。

大切な人と共にいられる幸せが人生に希望を与える




「泪雨」は文字通り、”涙”を示していると思われます。

人生の中で、時には涙が止まらないようなつらく悲しい出来事に直面する場面もあるでしょう。歳を取れば取るほど、そんな嫌な経験は増えていきます。

しかし彼は、それを人生の新しい章の始まりと捉えています。

つらい現実を避けることはできませんが、ここから人生が変わるという考えを持つなら、涙も決して悪いものではありません。

前向きな考え方をする彼も、以前は違ったようです。彼女の「頼りない背中」を見ながら、何もできなかった過去がありました。

しかし、その日の後悔があったからこそ変わりたいと思い、実際に変われた。

彼が成長できたのも、彼女がいたからでした。



そして、彼女にとっての彼も同じように大切な存在であることが分かります。

良い時も悪い時も彼がそばにいてくれるから、不安があっても安心できるのです。

『三文小説』は残酷ながら誰もが直面する現実の中にある、ほのかな希望が感じられる内容となっています。

年齢を重ねることへの不安やもどかしさを、ふっと和らげてくれますよ。

TEXT MarSali

当記事はUtaTenの提供記事です。

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