アニメ『GREAT PRETENDER』脚本・シリーズ構成 古沢良太、最終章は「きっと満足していただけるCASE4になっている」

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現在、フジテレビ「+Ultra」ほかで好評放送中、Netflixにて好評配信中のアニメ『GREAT PRETENDER』。いよいよ本日、10月21日(水)より、最終章となる「CASE4:Wizard of Far East(ウィザード・オブ・ファー・イースト)」が放送開始となる。

『GRETA PRETENDER』の集大成たるCASE4をさらに楽しむための手掛かりとして、脚本・シリーズ構成の古沢良太のインタビューが到着。コンフィデンスマンたちの命と誇りを賭けたコンゲームの結末は…?

古沢良太(脚本・シリーズ構成)オフィシャルインタビュー


【3つのCASEの誕生秘話】

──『GREAT PRETENDER』の脚本を執筆するにあたり、難しかったのはどんな点ですか。

古沢良太(以下、古沢) コンゲームものの難しさは、主人公と悪役がなかなか正面切ってぶつかり合えないことです。「自分は味方です」って顔をして近づいていかなきゃいけない。そういう描写を積み上げていって、最後に「騙していた」と明かされることでカタルシスが生まれる。観客にそこまで我慢してもらわなければいけないので、積み上げていく過程をどう面白く見せるかが難しい。逆に言えば、そこを楽しんでもらえれば、僕としては嬉しいです。

──今作は全23話が4章に分かれ、それぞれにフィーチャーするキャラクターの過去のドラマが盛り込まれています。この構成を採用した意図は?

古沢 あくまでも主人公たちの物語にしたかったので。今言った「積み上げていく過程」の中で、主人公たちの人生、人間ドラマで見せていきたい。そういう意図でした。

──CASE1「ロサンゼルス・コネクション」はエダマメにスポットが当たり、舞台はハリウッド。ターゲットは映画プロデューサーでもあるハリウッドマフィアでした。

古沢 CASE1はとにかく広い世界にエダマメを引っ張り出して、今まで日本でやってきた姑息な詐欺とは違う、巨悪が絡むスケールの大きな詐欺に巻き込みたかった。そうなるとやはりアメリカ、ロサンゼルスとかいいんじゃないかなって。アメリカ西海岸のカラッと明るい雰囲気が、日本との対比になって絵的にもおもしろそうですし。そしてロサンゼルスと言えばハリウッドかなと。当時、ハリウッドの映画プロデューサーにまつわる事件も実際に起きていたので、それも参考にしたりしました。

──エダマメという人物を描くときに意識したことは?

古沢 エダマメは、大人になる前の男の子というイメージです。自分の生き方に迷っていて、すぐに気が変わったりもして、時には調子に乗って痛い目にも遭って。それでもめげずに、とにかくがむしゃらに七転八倒して生きている若者。そこに共感してもらいたいと思って書きました。

──英語が訛っている、という設定には何か理由が?

古沢 理由と言われると……何でかな?(笑) どう思いついたかはもう覚えてないですが。アニメだと普通、言語の壁はないものとして進めますよね。でも、そこが何か詐欺のギミックとしても使えるんじゃないかとか、(言語の違いという)枷があるからこそおもしろくなる部分があるんじゃないかとか、そう思ってちょっとやってみたかったんです。書いているときは、「今は日本語をしゃべっている」「これは英語でしゃべっている」と考えながら書いていたけれど、途中からフランス語が出てきたり中国語が出てきたりして、「今、何語だ?」とわけがわからなくなって後悔したりもしました(笑)。でも結果的に、CASE4はそこがキーになるお話が書けたので、上手く生かすことができました。やってよかったです。

──続くCASE2「シンガポール・スカイ」はアビーが軸の物語でした。アビーはどのように描きたいと考えたのでしょう?

古沢 アビーはヒロイン的な立ち位置で、エダマメと恋愛関係になるような展開になりがちですが、個人的にはそこでドラマがベタつくのが嫌でした。だから、もっとドライな関係でいられるように、かわいげのない、野生の獣のようなキャラクターに(笑)。でも、それが逆に魅力的に見えるようになったらいいなとも思っていました。

──コンゲームの題材はエアレースでしたね。

古沢 スポーツやレースの詐欺は、昔からの定番です。最初は普通にF1のカーレースを考えていたけれど、せっかくアニメだし、飛行機にしようかなと(笑)。当時、TVでエアレースの中継をよくやっていたし、シンガポールのクールな街並みを飛行機が飛び回ってレースをすれば、アニメらしい素敵な絵が観られそうですから。

──現実のエアレースって、あんなに街中を飛ぶものなのですか?

古沢 いや、飛ばないです(笑)。でも、あれくらいの荒唐無稽さもアニメなら許されるんじゃないかなって。実際、鏑木(ひろ)監督たちがエアレースを観に行ったり、シンガポールにロケハンに行って飛ぶコースを細かく考えてくれたりしたので、見応えのある映像になりましたよね。

──そしてCASE3「スノー・オブ・ロンドン」はアートビジネスが題材で、一転してしっとりしたフランス映画のようなドラマになっていました。

古沢 CASE2がかなり派手になりそうだったので、シンシアの話だし、ちょっと大人のドラマにしたいと思いました。だから美術品を題材にして。そして、恋の話ですね。

──CASE3でシンシアを描く時に考えたことは?

古沢 メインキャラの中では唯一の大人の女性なので、大人の余裕と色気と……でも、お母さん的な存在に完全になってしまうのも嫌で。大人の女性も少女だった時代があるし、今でも少女の部分は持っているはず。CASE3は、それが感じられるようなエピソードにしたいと思いました。それとシンシアは、キャラクターデザインの貞本(義行)さんにビジュアルイメージを聞かれたとき、メリル・ストリープの名前をあげたんです。そこからの発想で、詐欺師で演技が上手いというのもあるし、若い頃に演劇をやっていたんじゃないかな、と。そして、『フェーム』とか『フラッシュ・ダンス』とか、そういう青春映画のような雰囲気のエピソードにしたいと思いました。

【謎めいた男の過去が……】

──各エピソードのコンゲームの仕掛けは、どのように組み立てていったのでしょうか。

古沢 うーん……無理矢理ひねり出しています(笑)。たくさん考えて、書いて、そして監督たちに読んでもらって、意見をもらって書き直して……と繰り返し。とにかく一生懸命に書いたという感じです。あとは(詐欺の)ターゲットが何を求めているか、なにをほしがっているか、ですね。人は何を目の前にぶら下げられると食いついてしまうのか。それをドラマの軸にすることは、ずっと考えていたと思います。

──騙される側の欲望ですね。

古沢 そうですね。ただ、欲望のない人間はいないし、必ずしもそれは悪いものでもない。むしろ、自分の欲望に純粋に生きている人や、それを隠さずに表現して生きている人は素敵だなと思うようになりました。欲望に従順な人たちが世界を前に進めてきた。そんな気もします。

──いっぽう、騙す側の主人公たちを魅力的に描く上でのポイントは?

古沢 まあ、詐欺師であるとかないとかとは関係なく、人間としてキュートで、どこか孤独を抱えている人たち、ということでしょうか。そして、詐欺にしろ何にしろ命がけで何かをする姿――そんな彼らのあいだの不思議な人間関係が、魅力的に見えたらいいなと思って書いていたと思います。

──そして、いよいよCASE4「ウィザード・オブ・ファー・イースト」がスタートします。ここではやはりローランの過去が描かれるのでしょうか?

古沢 そうなります。ローランはセクシーで頭が切れて、そして、とにかく謎に包まれた得体が知れない男として、ここまで描いてきました。どこまで考えているのか、考えていないのかもわからない。完璧主義なのかマヌケなのかもわからない(笑)。そんな謎に包まれた男のままにしておくのもいいかなと思いつつ、まあでも、せっかくCASE3までひとりひとりのドラマを掘り下げてきたので、CASE4はしっかりとローランの物語を描きたいと思いました。そこで、ドロシーというカギを握る新キャラクターが登場します。

──CASE3のラストで、ローランがペンダントに「なぁ、ドロシー」と話しかけていました。そのドロシーですね。

古沢 ドロシーという女性はとても重要な、いわば“最後のヒロイン”ともいえるキャラクター。僕自身も楽しんで書きました。CASE4ではローランの過去が解き明かされます。ローランとドロシーとの物語がすべてのはじまりであるということ、そして、そこに運命に導かれるようにエダマメも関係していくこと……すべてがわかると思います。コンゲームのターゲットは東京と上海の犯罪組織です。エダマメやローランはヤクザ同士の抗争という危険な世界に潜り込んでいくことになります。クライマックスに相応しい手に汗握る展開と、濃密な人間ドラマを楽しんでいただきたいです。きっと満足していただけるCASE4になっていると思います。

当記事はSPICEの提供記事です。

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