進学・就職、どこまで必要? 子どもを導く「親のレール」が行き過ぎると…

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子どもの人生に親のレールはどこまで必要なのか

子どもの進学や就職など、成長過程でともなう決断に親はどこまで口を出すべきなのでしょうか。進路について反対したいときの対応や親の過干渉によりレールを敷かれた子の人生の弊害などを紹介しつつ、ほどよい導き方のポイントをお伝えします。

やり過ぎも、やらな過ぎもダメで「ソフトなレール」を

子どもがある程度、意思決定ができるまでに成長した時点でも、進学や就職などについて、親として意見したいことはあるものです。一方で、子どもの意志を尊重すべきなのではという思いもあります。唯一の正解はないのかもしれませんが、子どもの人生に親がレールを敷いてあげることはいいのか悪いのか、様々な意見があるのではないかと思います。

一般的に、「親にレールを敷かれた人生」というと、いい印象を与えないのかもしれません。「子どもには子どもの人生があるのだから」という主張はもっともです。

しかし一方で、親がレールを敷いてあげなければ、子どもは自分1人でレールを敷けるのかというとそうではないと思います。その子の人生のレールは、高校受験、大学受験、就職試験など、年齢が大きくなってから突然出現するものではなく、小さい頃から歩んできているものの延長だからです。

私は小さいお子さんを持つご家庭の育児相談を受けているので、よく習い事についての質問を受けます。とくに、習い事の選び方について、親がリードすべきか、子どもの興味を追及すべきかというようなことをよく聞かれます。これはこのレールの話ともつながることで、親はいつの時期でも、どこまで子どもの選択に関わるべきかを迷うことは多いのです。

こういうときにお伝えするのは、「子どもは世の中にどれだけの習い事があり、どれだけの可能性があるのかを知らない。だから『こんな習い事があるよ』というレパートリーの提示は親がしてあげて、最終的な決断はお子さんの興味を尊重するのがいいのでは」とお答えしています。

いわば、ソフトなレールです。年齢が上がるごとに、子どもの自主性に委ねる割合は増えていくと思いますが、高校生、大学生になっても、ソフトなレールはあっていいのではというのが子どもの心理発達を踏まえた考えです。

レールを敷いていることに気づいていないのも問題

要は、度合いの問題で、まったくレールがないのも子どもには難しく、一方でガチガチのレールでも問題です。

たとえば、ヘリコプターペアレントに代表される毒親系。ヘリコプターペアレントは、今では子どもの年齢を問わず用いられていますが、もともとは、高校生や大学生など大きい子どもに対して過剰な管理態度を見せる親を指していた名称です。

子どもの面接について行ったり、デートにつきまとったり、まるで子どもの頭上で一挙手一投足を観察し続ける様子から、ヘリコプターペアレントと名付けられたのです。

このほかにも、カーリングペアレントやモンスターペアレントなどがありますが、呼称や特徴は少しずつ違っても、多くは子どもの人生に踏み込み過ぎている点で共通しています。「子どものため」と思ってやっていながらも、実は、親自身の「こうしたい」という理想像を投影してしまっていることが多いのです。

ここまで行ってしまうと、親が作り上げたレールに乗っかっている状態になってしまうため、のちに様々な弊害として出てきてしまうことがあります。

アメリカの大学が行った調査では、母親のヘリコプターペアレント度と子どもの心の不安定さには大きな相関があることが分かっています。このレール敷きに関係する項目としては、

・自主性に乏しい
・自分1人で決断ができない

などが挙げられます。親が干渉し過ぎてしまう分、子どもが自立できていないのです。親が作ってくれた“立派な社会人”になるまでのレールはあっても、そこから自分でレールを引き継ぐことが難しくなってしまうので、許容度の低いガチガチのレールには気をつけなければいけません。

子どもにとっては、自分の親が示してくれる関わり方がスタンダードになっていくので、子ども自身が幼少期に、「うちの親、ヘリコプターペアレントかも」と気づくことは少ないものです。自分が親になってはじめて、「そうだったのかもしれない。だから生きづらかったんだ」と気づく人も多くいます。

ですので、親自身が、「自分は過干渉かもしれない」と気づいていくことが非常に大事で、そうでないと、ガチガチのレールを敷いていることに気づかぬまま行ってしまうことになります。

進路での親子のぶつかり合いはどうすべきか

ただ、親自身が適切な関わりを示してあげている場合でも、子どもとの意見の相違は起こるものです。たとえば、親が私立の四年制大学を考えていたけれど、子どもが芸術の道に進みたいと言い出した。親は国内進学、でも子どもは海外留学、など。

こういうとき、「ダメだ」の一点張りでは、子どもはなかなか納得できません。「うざい」「めんどくさい」となりがちです。おまけに、自由度を奪われたと感じたときに起こる“心理的リアクタンス”も働き、「親の言いなりにだけはならない」と余計にこじれてしまうこともあるでしょう。

自分で決断したことの方が、責任を持って行動できますし、なにより子どもの人生。基本的には、子どもの意見を尊重するのが望ましいと言えます。

ただ、どんな進路でも反対すべきでないのかというとそうではないと考えています。子どもたちにとっては魅力的に映っても、人生経験の長い親から見たら、短絡的な決断に見えることもあるかと思います。そういうときは、心理療法などで使う、“メリットとデメリットの比較表”などは、感情的な会話を避けるためにもおすすめです。

やり方としては、子どもの希望する進路のメリットとデメリット、親の希望する進路のメリットとデメリットを思いつく限り書き出し、可視化して比較していきます。書くことで、お互いが見えていなかった部分も見えてくることもあり、堅実な話し合いがしやすくなります。

自分で決める力を育てておくことが何より大事

以上、親がレールを敷くことの是非についてお伝えしてきましたが、大事になってくるのは、そのときになって、その子に決断力が備わっているかどうかではないでしょうか。

先に挙げた調査が示しているように、小さい頃から、親が管理し過ぎると、自分で考えなくて済む分、自分で考えて行動する力が乏しくなります。それまでに自分で決断した経験が乏しいと、判断を誤ることもあれば、行動に起こせないこともあるでしょう。

どこまで関わるべきかというさじ加減が難しいために、間違って干渉し過ぎてしまうことがあるのですが、親の役割は子どもの知りえない情報を提供していくことだと思います。子どもよりも人生経験が豊富な分、世の中の情報も多く持っていますし、サーチする方法も知っています。

あとは、ママ友間の情報交換や学校との関わりなど、大人ならではの情報ソースもあります。子どもたちに「世の中にはこんな○○(習い事、学校、会社、職業など)があるよ」というバラエティーを見せていくわけです。

福沢諭吉が残した言葉で「自由在不自由中」というものがありますが、「自由は不自由の中にあり」という意味だそうです。ある程度の大枠は親が提示し、そのどこを通るかは子ども自身が決める、このような関わりが子どもの将来を見据えた距離なのではないでしょうか。
(文:佐藤 めぐみ(子育てガイド))

当記事はAll Aboutの提供記事です。

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