「たわいもない」と「たあいもない」はどちらが正しい?



「たわいもない」と「たあいもない」は、どう違うのでしょうか?

普段「たわいもない」を使う人は、「“たあい”って何?」と思うでしょう。また、「たあいもない」をよく使う人も「“たわい”って何?」と気になるでしょう。

結論から言うと、「たわい」も「たあい」も同じ意味で、「他愛」という当て字があります。

どんな意味があるのか、調べてみましょう。

■「たわいもない」の意味は?

辞書を引くと「たわいもない」の「も」が入らない「たわいない」が載っています。

まず、この「たわいない」から調べることにしましょう。

◇「たわい」は「思慮分別」のこと

たわいない【たわい無い】

(1)とりとめもない。思慮がない。

(2)正体ない。

(3)張り合いがない。てごたえがない。

(『広辞苑 第七版』岩波書店)

このように、「たわいない」には「とりとめもない」「思慮がない」などの意味があるということは分かりましたが、そもそも「たわい」とは、一体何なのかが気になりますね。

「たわい」を調べると、以下の意味があります。

たわい

(「他愛」と当てる)

(1)思慮分別

(2)「たわいない」の略。一説に「酒たわい(酒に酔うこと)」の略ともいう。

(『広辞苑 第七版』岩波書店)

「たわい」とは「思慮分別」であり、「たわいない」とは、それがないことなので「思慮分別がない」という意味だと分かります。

また、正体がなくなるほど酒に酔うことも意味しています。

◇「たわいもない」は「とりとめもない」「思慮分別がない」こと

よく使われる「たわいもない」は、「たわいない」に助詞「も」を加えたものです。この場合の「も」は、「最も実現しやすく、条件としては最低のものであること」を示しています。

つまり「~もない」は、「最低限あるはずなのに、ない」ことを示し、「~さえ、ない」と同じような意味で、「普通はあるはずの思慮分別さえない」というわけです。

ただし、普段私たちが「たわいない」「たわいもない」と口にする時、さほど明解な使い分けを意識することは少ないでしょうから、ほぼ同じ意味だと考えて差し支えないでしょう。

以上をまとめると、「たわいもない(たわいない)」とは「とりとめもない、取るに足らないこと。思慮分別に欠けること。(お酒に酔って)正体がないこと。張り合いや手応えがないこと」という意味だと捉えることができます。

「たわいもない」と「たあいもない」は同じ意味

さて、「たあいもない」も調べておきましょう。

「たあいもない」は辞書に載っていませんが、「たあい」を引くと、続いて「たあいない」が見つかります。

たあい

(「他愛」と当てる)→たわい

たあいない

→たわいない

(『広辞苑 第七版』岩波書店)

「たわい」も「たあい」も、漢字で書こうとすると「他愛」という字が当てられており、「たわい」を参照するように、とあります。

つまり「たわいもない」「たあいもない」は、漢字では両方とも「他愛もない」と書きます。

そして「たわいもない」「たあいもない」は、どちらも同じく「とりとめもない、取るに足らないこと。思慮分別に欠けること。(お酒に酔って)正体がないこと。張り合いや手応えがないこと」を表しています。

■「たわいもない」はどんな時に使えるのか?(例文付き)

以下の「たわいもない」の4つの意味別に例文を挙げながら、使える場面や状況を考えてみましょう。

(1)とりとめもない。取るに足らない。

(2)思慮分別に欠けている。

(3)正体がないほど酔っている。

(4)張り合いや手応えがない。

◇(1)「とりとめもない。取るに足らない」の意味で使う場合

☆例文

・「何の話だ?」と課長に尋ねられたので、「たわいもないことです」と答えました。

この意味で使われる「たわいもない」が、最もよく使われているでしょう。

「たわい」が「思慮分別」という意味なので、「思慮のない → 深い考えはない → 取るに足らない」という意味で使います。

特に重要でもない話題で盛り上がった時や、誰かに「何のこと?」と聞かれて「大したことではない」と返す時などに使います。

◇(2)「思慮分別に欠けている」の意味で使う場合

☆例文

・もういい大人なんだから、たわいもないことをするんじゃないよ。

他人への思慮が足りない、大人としての分別が感じられないという時に使います。

◇(3)「正体がない」の意味で使う場合

☆例文

・昨夜は疲れていたのか、ビールを飲んだだけなのに、たわいもなく朝まで寝てしまった。

「正体がない」とは、精神や体が正常な状態にない、というような意味です。

この例文のように、意識がもうろうとするほど酔いつぶれた時などに「正体がない」という意味合いで「たわいもない」と使います。

◇(4)「張り合いや手応えがない」の意味で使う場合

☆例文

・彼ほどの選手がたわいもなく負けてしまうとは、よほど対戦相手が強かったのだろう。

張り合ったり、盛り上がったりすることなく、あっけなく負けてしまった時や、やりがいを感じられない時に使います。

■「たわいもない」の類語・言い換え表現

「たわいもない」と同じような意味を持つ類語や表現がいくつかあります。

4つの意味それぞれと似たような意味を持つ言葉を、言い換えの表現とともに紹介します。

◇「とりとめもない。取るに足らない」の意味で使う時:「大したことではない」

「重大ではない、取るに足らない」という意味で使います。

☆例文

・その件については、別段大したことではありませんよ。

◇「とりとめもない。取るに足らない」の意味で使う時:「由無い」

「よしない」と読みます。

「取るに足らない」ことでは似ていますが、「理由がない。意味がなくつまらない」という意味で使います。

☆例文

・今さら取り上げるのも、由無いことです。

◇「思慮分別に欠けている」の意味で使う時:「後先構わず」

「どうなるか少しも考えないで」という意味です。

「たわいもない」では「他愛」、つまり他人への思慮分別が欠けている意味で使うのに対し、「後先構わず」は行為の後についての思慮が欠けている意味で使います。

☆例文

・彼女は、しょっちゅう後先構わずの行動で、他人に迷惑を掛けてしまう。

◇「正体がないほど酔っている」の意味で使う時:「前後不覚」

「前後の区別もつかなくなり正常な判断ができなくなること」という意味です。

☆例文

・あれほど前後不覚に酔ったのは、初めてだった。

◇「正体がないほど酔っている」の意味で使う時:「酔い痴れる」

「よいしれる」と読み、「正体なく酔う」という意味です。さらに深酔いして意識を失った状態が「酔い潰れる」です。

☆例文

・プロジェクト成功を祝って飲む美酒にすっかり酔い痴れてしまった。

◇「張り合いや手応えがない」の意味で使う時:「あっけない」

「張り合いがない」の意に加え、時間的に短いニュアンスも加えたい時に使います。

☆例文

・コロナ禍で休校した分を取り戻すべく夏季講習が増えたため、今年の夏休みはあっけないものだった。

◇「張り合いや手応えがない」の意味で使う時:「敢え無い」

「あえない」と読みます。

「手の施しようがない。手応えがなくはかない。あっけない」という意味です。

☆例文

・必死で企画書を作ったにも関わらず、敢え無い結果だった。

■同じ漢字で違う読みの言葉もある

いかがでしたか?

「“たわいもない”と “たあいもない”は似ているけれど、同じ意味なのかな?」

そう思ったことをそのままにしておくか? あるいは調べるか? ちょっとした一手間で、使える知識を増やすことができますね。

今回の「たわいもない」と「たあいもない」は、同一漢字で読みが異なる言葉でしたが、意味は同じです。

したがって、言葉としてはどっちを使うのも正しいと言えます。

しかし、同じ漢字でも読みが違えば、別の意味になるケースもあります。

例えば「上手」は「じょうず」と「かみて」という読み方があります。

「じょうず」の場合は「物事に巧みなこと」、「かみて」の場合は「上座の方、舞台の見物席から見て右の方」という意味になります。

他にも、「一角→いっかく、ひとかど」「大家→おおや、たいか」などの熟語がそうです。

他には何があるでしょうか? よかったら、考えてみてくださいね。

(前田めぐる)

※画像はイメージです

当記事はマイナビウーマンの提供記事です。

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