森山未來によるリーディングパフォーマンス『「見えない/見える」ことについての考察』全国ツアーがスタート~日常を失った世界に問う「本当に見ること」とは

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映像、演劇、ダンスなどの枠を問わず自在に活躍する森山未來のリーディングパフォーマンス『「見えない/見える」ことについての考察』が、2020年10月14日(水)横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホールにて開幕した。10月~11月にかけて全国7カ所で38公演行われる本公演の、初日の公演をレポートする。

『「見えない/見える」ことについての考察』は2017年11月、東京藝術大学 Arts & Science LAB.の4階にある球形ホールで初演された。森山はキュレーター、美術批評、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教授である長谷川祐子の提案により朗読を行うことになった。その際、ポルトガルの作家でノーベル文学賞を受賞したジョゼ・サラマーゴの『白の闇』(翻訳:雨沢泰、河出書房新社刊)、フランスの哲学者モーリス・ブランショの『白日の狂気』(翻訳:田中淳一 ほか、朝日出版社刊)を用いリーディングパフォーマンスを発表した。このたびは森山のソロパフォーマンスとしては初の全国ツアーである。

(C)RYUYA AMAO
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観客は入り口でイヤホンを配られる。会場に入ると、舞台上に縦長の白いマットが敷かれている。正面奥にはスクリーン、その手前には椅子とマイク、左右にはストロボとアンブレラがセッティングされている。そして舞台手前には脚立があり写真機が置かれている。そこへ森山が上手からおもむろに現れる。
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森山は語り出す。目が見えない人は、真っ暗で見えないのではなく目が真っ白になるということを。失明者がどんどん増えるが、ワクチンがなく増殖が止められない。死体を埋めなければ病原菌が繁殖してしまう……。今まさに世界で起こっている感染症拡大と通じる事態なのだ。
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キュレーターの長谷川による初演時概要の引用によれば「『白の闇』に、モーリス・ブランショ作の『白日の狂気』がメタテキストとして絡ま」ることになる。森山の朗読とスピーカーからの声、イヤホンからの響きが交錯する。バッハのピアノ曲の調べ、森山の繊細な所作によるダンスにも切に迫るものがある。そして照明が明滅し、スクリーンに赤・緑・青が虹のように映る。視聴覚が攪乱され、現実と非現実の境が確かではなくなる。その果てに何が起こるのか。救いはあるのか。そこはぜひ実際にこのパフォーマンスに接して感じてほしい。
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見えているようで、見ていないもの。見えていないようで、見えているかもしれないもの。「見えない/見える」の境界とは? <森山未來の声と身体、光で感じる新感覚の朗読パフォーマンス>という惹句に偽りはない。そして<日常を失った世界に問う「本当に見ること」とは >何かと思いを巡らしつつ感性をも深く研ぎ澄まされる特別な体験になるだろう。
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文=高橋森彦

当記事はSPICEの提供記事です。

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