Phone 12シリーズは、プロダクトメーカーの意地と誇りをかけてスマホ巨大化に終止符を打ってきた

Image: Apple

Appleは、プロダクトメーカーだったんだな…モノづくりが好きなんだな、やっぱり。そう思わされたのが、iPhone 12シリーズの発表でした。

スマホが普及して10年以上の時が経ち、進化の旗振り役を担ってきたAppleですが、iPhone 12、iPhone 12 Proは進化の方向性を見直して、過不足なく誰もが満足できるiPhoneを誕生させたように見えます。

「バッテリーのもちか、サイズかのジレンマ」から解放された“小さなiPhone”

Image: Apple

今回発表された中で、まず注目すべきはiPhone 12 miniの存在。片手にするっとおさまる直線的なデザインは、iPhone 5を思い出します。

ここ数年、新しいスマホが出るたびに巨大化していくのを複雑な気持ちで眺めていたユーザーとしては嬉しいサイズ感です。

大きな画面だと迫力ある映像が楽しめるし、端末が大きいと大容量のバッテリーが積めるというメリットもあります。スマホが大きくなり続けていたのは、私たちが満足してスマホを1日中使えるような持続力をもたせるためでもありました。

iPhone 12 Pro Maxは大画面ニーズに合わせた大きめサイズになっていますが、4つ出た新機種のうち3つは女性でも安心して片手操作ができる大きさです。
Image: Apple

特にiPhone 12 miniは、4月に発売されたiPhone SEよりも小さいにもかかわらず、バッテリー駆動時間はビデオ再生時間15時間(SEは13時間)。小さいボディなのにタフに使える仕様になっています。

特にカメラ機能のアップグレードは最高。広角カメラと超広角カメラ、インカメラでナイトモードが使えるので、夜間の撮影がぐっと充実します。フラッシュという存在が亡き者になってしまいそう。
iPhone 12シリーズで撮影できる「超広角」のナイトモード
Image: Apple

妥協なしの高性能モデルを小型化。これを可能にしたのが、Appleの新しいチップA14 Bionicです。小さなボディで高性能、バッテリーライフを維持させたiPhone 12 miniは、Appleが自社開発のソフトウェアで電力消費効率をアップさせることに成功したことを示す端末になるでしょう。

米Engadgetによる担当副社長のティム・ミレー氏のインタビューではこんな風にA14 Bionicの話が書かれています。

ミレー氏は「私たちはエネルギー効率に焦点を当てようとしています・ なぜなら、それは私たちが構築するすべての製品に適用されるからです」とも語り、A14チップがiPhoneからMacまで搭載されるアップル独自開発チップ、Apple Siliconの一環であると示唆しています。

Appleはこれまでも「小さな端末におけるバッテリーライフ」には苦心してきました。その代表例が、一辺が数センチしかないApple Watchです。Apple WatchがSeries 4になるまで「常時点灯」を実現できなかったのは、小さなボディの中に一日もつバッテリーを詰め込むことができなかったからと言われています。

プロダクトメーカーとしてのさまざまな経験値が「小さくて高機能なiPhone」を誕生させました。

一眼レフカメラへの“尋常ではない執着”

Image: Apple

スタンダードなiPhone 12と、プロ仕様のiPhone 12 Proは何が違うのか。チップは同じA14 Bionicを採用しているので、一番大きなポイントがハードウェアとしてのカメラ性能かなと思っています(ボディの素材も違いますが)。

iPhone 12は12メガピクセルの超広角、広角カメラの2つのカメラを搭載しているのに対し、iPhone 12 Proは12メガピクセルの超広角、広角、望遠カメラ。3つの焦点距離のカメラを用意し、そこに新しくLiDARスキャナを搭載しています。LiDARスキャナはNASAが火星探索に使っている、空間を3D認識するためのセンサーです。
Image: Apple

これによって、暗い場所でも最大6倍速くオートフォーカスが可能になり、ナイトモードでポートレートが撮影できるようになりました。
Image: Apple
Apple
Image: Apple

iPhone 12 Pro Maxはさらに光学手ぶれ補正を搭載。Apple曰く「ハイエンドな一眼レフカメラのレベルを目指した」そうです。センサー自体を動かすことで、鮮明さを保ちながら縦横の動きを相殺していきます。
Image: Apple

センサー(実は47%大きくなっている)自体を、X軸Y軸に動かすことで、鮮明な描写を保ったまま、縦横さまざまな手ぶれに対応するといいます。自動車に乗りながら、並走する馬をなめらかに捉えることも可能だといいます。デジタル処理というよりも力技。
手ブレ
Image: Apple

ソフトウェアの機能向上で夜間での撮影クオリティをあげたり、HDRのレベルを押し上げつつ、センサーサイズを大きくしたり、光学手ぶれ補正を搭載したり物理的な面でのアプローチを両立させたiPhone 12 Pro。

Appleは、2018年のiPhone XS発表時でも「一眼レフカメラの再現を求め、社内では溢れるほどのカメラを研究している」と言っていましたが、スマホという小さなデバイスで、常に一眼レフカメラを追い求めているのがわかります。

iPhone 12 Proシリーズは、ソフトウェアでベーシックなニーズを堅牢に固めた上に、さらにプラスしてハードウェア屋としての挑戦を載せたデバイスです。これもAppleがよく言っていることですが、クリエイターの表現の可能性を増やしたい。そのために力技を盛り込んでいるのです。

こんな動画撮りたいな、あんな写真を撮ってみたいな。そういう表現の欲求も伸ばしてくれるのがiPhone 12 Proなのかもしれません。

じゃあ、私はどれを選べばいいのか

iPhone 12シリーズではタイムラプスもナイトモードで撮影可能
Image: Apple

iPhone 12シリーズはiPhone 12、iPhone 12 mini、iPhone 12 Pro、iPhone 12 Pro Maxとこれまで最多の4つの展開となりました。さらに今年4月には手頃な価格のiPhone SE 第2世代が発売されたばかりです。何種類もの機種が混在するライナップを見て、シンプルさがないと思う人もいるでしょう。でも、iPhoneが発売されて12年が経った今、老若男女が使う存在になったことをAppleに忘れて欲しくはありません。

ラインナップを見ていると、大きくなればいい、スペックを高めるだけでいい、というような進化の流れを上手くチューニングしてきたように思えます。

スマートフォンを手軽に楽しみたい人はiPhone SEを選べばいいし、主に集合写真や身近な人たちとの撮影を楽しみたい人はiPhone 12シリーズがいいでしょう。逆に、表現にこだわりたい、仕事で使いたいと考える人はiPhone 12 Proシリーズを買うと、オンオフ問わずに活躍してくれそうです。

AppleはiPhoneだけでなく、OSやチップ、ラップトップにタブレット、スマートウォッチまで多くのモノづくりを手掛けています。他の製品開発で培った経験や部品を一番の売れ筋に詰め込んだ。これがiPhone 12シリーズです。
Image: Apple

そういえば、先日発表された第4世代iPad Airでは、小さな電源ボタンの部分に指紋認証を搭載して話題になりました。あの小さな面積で、複雑な指紋を認識する技術はこれからiPhoneにも搭載されるのか。

気が早すぎますが、次のiPhoneへの期待を持ってしまうような、未来にワクワクする感覚を久しぶりに思い出しました。

Source: Apple, Engadget

当記事はギズモード・ジャパンの提供記事です。

あなたにおすすめ

ランキング

ランキングをもっとよむ

注目ニュース

注目記事をもっとよむ

あなたにおすすめ