円の行方、ドルの行方 第258回 5・10日を利用したトレード法


5・10日(ゴトウビ)とは、5の倍数の日、つまり、5、10、15、20、25、30日です。

これらの日に、輸入企業は輸入決済のドル買いを行うため、5・10日の9時54分の仲値決めに向けてドル/円が上昇する傾向があります。

輸入企業の輸入決済のドル買いとは、輸入企業は、海外から原材料や製品を輸入します。

その輸入代金を、海外の輸入元にドルで支払うために、銀行からドルを買うことを、輸入決済のドル買いと言います。

そして、仲値とは、銀行が、顧客向けに提示するその日のレートの基準値で、毎朝決めています。

多くの銀行が、9時54分という中途半端な時間に仲値を決めています。

ただし。9時54分が絶対というわけではなく、銀行によっては、10時とか11時にするところもありますが、それは稀です。

いずれにせよ、こうしたわけで、5・10日の仲値決めでは、ドル/円が上昇する傾向があります。

それでは、この5・10日の上昇傾向を収益機会にできないかと、特に輸出の売りが多く出ると言われる月末の9月30日にあえて試してみました。

8時半ごろには、ドル/円を買って待機していました。

輸入の買いと思われるドル買いは、8時45分頃から入りはじめ、9時になると一段と強くなりました。

ただし、9時20分頃から40分頃にかけて、輸出企業の売りと思われるドル売りが入り上値を抑えてきました。

しかし、9時45分頃からドル買いは強まりました。

途中、9時50分頃に、輸出の売りも大きく入り、一時緩みましたが、輸入の買いがぶり返し、仲値決めの9時54分には105.80近辺まで吹き上げ、仲値は決まりました。

このどさくさに紛れて、私は買いポジションを手仕舞いました。

その後、高値圏でしばらく揉み合っていましたが、既に輸入の買いの支えはなくなっており、10時過ぎには下落となりました。

こうして見ますと、輸出が多いとされる月末でも、仲値に向けては素直に上昇しました。

この5・10日の9時頃から仲値にかけての上昇によって、大きく儲かるわけではありませんが、割とリスク少なく利益が得られると言えます。

ただし、こんな場合もありますのでご注意ください。

前日の海外で大きく下げた翌日の5・10日は、やはり、マーケットが弱気になっているため売りがきつく、仲値決めでは一時戻す場面があっても、基本的には重たかったことがあります。

要は、5・10日だから、なんでも仲値決めに向けて上がると見るのではなく、やはり、その日その日の相場状況を見るということが大事だということです。

さて、今回は輸入取引を取り上げましたが、輸出と輸入という実需取引の相場に与える影響は無視できません。

「実需取引よりもファンドなどの投機的な取引が何倍も大きくなり、投機がマーケットを席巻しているので、ファンドの動きに注意が必要だ」

これは、良く耳にする言葉で、確かに一理あります。

ファンドは、レバレッジを効かせて実需の取引の何倍も大きな金額を振り回し、相場を動かそうします。

しかし、ファンドが常に成功しているわけではありません。

特にドル/円で言えることですが、実需の取引とは、輸出企業であればドルを売りっ放し、輸入企業ならドルを買いっ放しで済みますが、投機筋は必ず売ったら買い戻さなければならないとか、買ったら必ず売らなければならないという縛りはあります。

したがって、投機筋が派手に売り買いして、実需の玉を飲み込んでポジションを傾けると、ボディーブローのように抱え込んでしまったポジションがジワリと後から効いてきて、投機筋のロスカット的な手仕舞いの動きにつながることが結構あります。

投機の取引は、例えて言えば、抗生物質のような即効性はあるが副作用もある薬のようなものなのに対して、実需の取引は、漢方薬のようなジワリと効く薬のようなものです。

したがって、投機の取引、実需の取引の特性を知った上で、状況に応じたトレードする必要があります。

ストラテジスト 水上紀行 バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀において為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売された。詳しくはこちら。 この著者の記事一覧はこちら

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