【おそ松さん特集09】松原秀の第2期エピソードコメンタリー

『おそ松さん』第3期放送開始を記念し、月刊アニメージュのバックナンバーに掲載されたインタビューを再掲載して6つ子の世界の魅力をあらためて紹介する特集「おそ松さんを6000倍楽しもう!」。
今回は2018年3月号掲載のシリーズ構成・松原秀のインタビューだ。
第2期も終盤にさしかかった時期に実施されたインタビューで、第1期、第2期と作り続けることで作り手側の作品世界に対するイメージが広がりつつ、より強固にもなり、多彩なアイデアが生まれていったことがうかがえる。
個々のエピソードに対するコメントも充実しており、第2期を見返す上でのガイドにもなるだろう。

原点回帰してさらに深く鋭く!!
松原秀【シリーズ構成】

スタートはちゃんとしなきゃ!

——第2期は、松原(秀)さんご自身で全エピソードのシナリオ手掛けていますよね。

松原 はい、そうなんですよ。

——それはどういう事情で?

松原 そこはシンプルに、自分で全部書きたいなと思ったということですね。「これ書きたい」「あれ書きたい」とか、やりたいことがあったんですよ、いっぱい。たとえば、具体的には「チョロ松と一松」(第3話)とか「松造と松代」(第4話)とか「旅館」(第17話)とか。あと漠然とチビ太で1本やりたいなとか思って、それが「復讐のチビ太」(第11話)だったり。第1期でこぼれちゃったような話を書きたいっていうのと、いろんな新しいパターンを試したいっていう気持もあって……まあ、今思うと第1期があんなことになって、何かこう、アガってたんだと思います(笑)。「やりたい」とか「書きたい」みたいなのがワーッと出てきて。で、第2期の話を聞いた時に「ひとりで書きたいんですけど」と、正直な気持ちを藤田監督とプロデューサーにぶつけてみようと。最初はやっぱ、ちょっとブレーキかかりましたね。「いや、うん、まぁ、でも2クールあるからなぁ……」みたいな感じで。それは怖いっすよね(笑)。主にスケジュール面だと思うんですけど、万が一僕が体調崩したら終わりですしね。で、「まだOAまで時間もあることだし、試しにそれでスタートしてみる?」ってことではじまって。結果、何とか今まで続いてます。

——実は今、第2期は第1期よりさらにおもしろくなってると、個人的には思ってるんですよ。

松原 ありがとうございます!

——褒め言葉に聞こえるかどうか微妙ですが、「えぐ味」が強くなっているというか、攻めの姿勢が前面に出ているというか(笑)。

松原 よかったです(笑)。でも実際には、「そんなに第1期と変わらないようにしようね」みたいなところからのスタートだったんですよ。第1期があんな風に話題になって嬉しいんですけど、同時にギョッとしてちょっと怖くなったとも思うんです。だから、より真面目になったっていうか「第2期、ちゃんとしなきゃな」みたいな雰囲気で(笑)。「浮かれないでいこうぜ! まず原作は『おそ松くん』、原作者は赤塚不二夫先生」「そう、そう。そこだよね、まずは」とか確認作業から改めて(笑)。「で、何だっけ? うちらの強みは?」「ショートネタはやっぱり残そう、他の作品にはなかなかないからウチらっぽいし」「スターシステム(キャラクターたちが作中で、別の役を演じるようなエピソード)も残そう」とか。

——『おそ松さん』ってそもそも何だ、という再確認ですね。

松原 原点に戻ろうじゃないですけどね。だから、第2期について「より視聴者を驚かそうとか、もっととんでもないことをしようといった話はされたんですか?」的なことをよく聞かれるんですけど、それはなかったんですよね。もっと足していこう、みたいな意識はなかったんです。

——だから第1話で「ちゃんとしよう」「ちゃんとしよう」と(笑)。

松原 おっしゃる通りです(笑)。

——でも「ちゃんとしよう」と言いつつ、結構攻撃的でしたよね。

松原 でしたね、思いのほか。

——藤田監督からも「第2期にはこんなネタを入れたい」というアイデアは出ましたか?

松原 「松造と松代」は、藤田さんも「俺もやりたいと思ってた」って言ってました。そこは一致しましたね。あと「三国志さん」(第7話)みたいな、原作にもあるようなスターシステムで、何も考えないでいいエピソード。それから「夏のおそ松さん」(第5話)のサマー仮面、あの「ナイスサマー!」「グレイトサマー!」は藤田さんのアイデアです。ああいう風にロジック関係なく「ドン!」と笑わせるのが、藤田さんは得意ですね(笑)。「ゲームセンターイヤミ」(第9話)も、イヤミで何か、くだらなくてアホっぽいのがやりたいって話になった時、藤田さんから「イヤミ、ゲームセンターとか行くのかな?」って言い出して。「ああ、いいですね」みたいなところから。あと、原作にある「となりのかわい子ちゃん」(第16話)をやろうと言い出したのも藤田さんです。『おそ松さん』は通常のシナリオ会議のほかに藤田さん、僕、富永(禎彦)プロデューサーと西(浩子)プロデューサーの4人で小会議みたいなのをやるんですけど、何となく担当がわかれているんですよ。僕はどうしても、6つ子のキャラクターに話のプロットを出しちゃうクセがあるんです。もちろんそういう話もやるんだけれど、それ以外に「あのパターン忘れてない?」みたいな感じで全体を見渡して、違うアイデアを出すのが藤田さん。言ってみれば、僕は『おそ松さん』の中でも比較的「(おそ松)さん」の部分の担当で、藤田さんは原作寄りというか「(おそ松)くん」的部分の担当という感じです。そして、西さんには女性目線とか、よりアニメファン的な目線で、藤田さんと僕があまり持っていない部分をフォローしてもらっているような雰囲気です。浅野(直之)さんにも手伝ってもらうこともありますね。行き詰まって起爆剤が欲しいみたいな時に、絵的なアイデアをポンと出してもらったり。第1期の時は、そういうバランスも探り探りのところがありましたけれど、今はかなり慣れてきましたし、それでよりネタが濃くなってるところもあるのかもしれませんね。

——第2期になって、シナリオ会議も充実しているようですね。

松原 『おそ松さん』の会議は藤田さんの人柄が出てるのか、「楽しく作ろう」「明るく作ろう」という雰囲気があるんですよ。会議がはじまると真面目に話さなきゃいけないし、面倒くさい作業もありますけど、それでも明るく前向きにできるように務めて。せめて打ち合わせ場所だけでも変えようって、会議室だけじゃなくて喫茶店の個室でやったり。熱海に連れてってもらって、温泉入りながら会議したこともあります。先日はフジオ・プロさんの部屋をお借りました。木のテーブルがあって、座布団があって、赤塚先生のお仏壇が見えてて。で、じゃあ一段落して呑みに行こうかってなっても。酔っ払うまではシナリオの打ち合わせが続いてたりとか。それはちょっと特徴かな、と。「夏のおそ松さん」なんかは、そのワイワイした雰囲気がエピソードにも反映されたかなと思いますね。




(C)赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会

「6つ子あるある」に正解はない!?

——6つ子の個々の新たな面や、今までになかった関係性が描かれるエピソードもありますが、では、そこは松原さんがネタ出ししていることが多いわけですね。

松原 そうですね、はい。おかげさまで6つ子たちがかなり勝手に動くようになって、「こんなのやりたいな」みたいなアイデアも、第1期以上に出るようになったんです。無理に変わった一面を見せようとか、新しい面を付け加えようとかじゃなくて、同じ奴も違う方向から見たら違うパターンが出てくるかな、みたいな描き方で立体的になればいいなと。それから、第2期でやりたいと思ったことのひとつが「6つ子あるある」だったんです。

——「6つ子あるある」ですか。

松原 そうですね。言うまでもなく、6つ子って「特殊」じゃないですか。ふたごの方々はたくさんいて、「ふたごあるある」もきっとありますよね。3つ子の方々も探せば、難しいかもしれないけどまあ、見つかるとは思うんです。でも、さすがに6つ子はいないだろうし、6つ子ならではの習慣とか、6つ子によくあることとか、実は誰も知らないと思うんですね。僕らもわかった気で描いているけど、それが本当に「6つ子あるある」として正解なのか、探りようがないじゃないですか。たとえば普通の兄弟で「こんなことありえないよ」ということだって、もしかしたら6つ子なら「6人もいるから、そういうこともあるよ」ってこともあるかもしれない。そういう「6つ子あるある」を探ってみたい、と。

——第3話の「チョロ松と一松」は松原さんが描きたかったと、先ほどおっしゃっていましたが。

松原 第1期が終わった頃に、まだ描いてない6つ子同士の組み合わせってどれかなって考えて。何組かあった中の「チョロ松と一松」を考えた時、「あれ、どんなシチュエーションで、どんな会話にするのかわかんない?」ってなったんですね。で、わからないのがオモロイなと思ったんです(笑)。他の組み合わせはだいたい想像がついたんですよ。「コイツとコイツだったらこんな会話だな」とか、「コイツとコイツがここに行ったら、こんな状況になるな」とか。でもチョロ松と一松はわかんなかったんで、シンプルに何も起きずに、どこの場所でもないところってことで「じゃあ家だな、家で急に2人きりになるっていうのどうだろう」みたいなとこからスタートして、結果、大変なことになりましたね(笑)。「みんな一緒の時は馴染んでたはずなのに、あれ? 2人だとぎこちない?」っていう感じ、ありますよね。

——第7話「おそ松とトド松」の合コン話もリアルでした(笑)。

松原 結局、何か好き勝手に適当にやってた奴がモテちゃって、気を遣った奴が損する、みたいな感じですよね。あと、ラストですね。「あんだけ盛り上がったのに何? このリセット感」みたいな(笑)。

——飲みの場であんなに盛り上がったのに、別の場所で再会したら異様によそよそしい女子。男子なら一度は経験しているはずです(笑)。

松原 アフレコでも男性スタッフに「リアルですね、この話」「超わかるわ~」って言われてました。「あれ? あれ? 敬語? あれ?」みたいな(笑)。あと、あのエピソードは少しだけ新しいパターンかなと思ってます。6つ子は「合コン行きたい!」とか話してても、いざとなると結局ビビって、行動に移さないんですよ。「夏のおそ松さん」でも、ナンパだ~ってさんざん盛り上がっておいて、結局行かない。でも「おそ松とトド松」では「一回、本番行きます?」みたいな話しになったんですよ。合コンに行く手前でわちゃわちゃしゃべった挙げ句「やっぱ無理だわ~」じゃなくて、ちょっと生々しく。

——口だけで実際には現場に行かないパターンを一歩踏み越えて、現場に放り込むと。

松原 そうしたら、どうなるんだろうってことですね。トド松が気を遣ってしゃべる、おそ松は最初は固まってる、みたいな。観ている方もちょっと、そわそわすると思うんですよ。僕自身、アイツらが女の子にあっさりフラれたら嫌ですし、かといって、上手くいくのも何か違うし。

——上手くいっちゃうと、『おそ松さん』が終わってしまう(笑)。

松原 そういう意味でもそわそわしますね(笑)。これも、ちょっとやりたかったパターンですね。あと、作中で「兄弟で合コンにくるなんて気持ち悪い」と言われて、おそ松が特に気にせず笑い飛ばしてますけど、あの感じがさっき言った「6つ子あるある」からの発想です。2人兄弟だったら一緒には行かないでしょうけど、6つ子だったらわかんなくない? という。

——長男と末っ子でしたしね。その距離感ならありえるかも。

松原 だからアリとしました、僕的には(笑)。

——「キャンペーン発動!」(第9話)の一松や「カラ松とブラザー」(第10話)のカラ松には、集団行動のあるある感がありましたね。ひとりだけ神経質になったり、一番のお人好しに何もかも任せたり。

松原 そうですね。あるあるだけど、6つ子だからちょっと特殊な感じもある、という感じですね。

——第2期になってより強く感じますけれど、ある意味、あの6つ子の中には社会の縮図があるのかなと。

松原 ああ、なるほど(笑)。普段自分たちが思ったり感じたりしていることが、どうしてもシナリオに出ますからね。周りの人にも「笑えるけど、よく考えたら結構、生々しい話だよね」と言われます。

——そういう意味では「チョロ松事変」(第14話)が……。

松原 はい、来ましたね(笑)

——あれも、社会のあちこちで起きている事件ですよね(笑)。

松原 「デビュー事件」ですね。あのエピソードは、茶髪になったチョロ松の雰囲気が絶妙でした。

——色の微妙さも、前髪のぎこちなくラフな感じも、「あ、確かに無理してデビューするとこういう感じになりがち」っていう(笑)。

松原 あれは浅野さんの仕事ですよね。あざとすぎない絶妙なダサさで、ちょうど「ダッサー」って笑いやすい雰囲気でおもしろかったなぁ。




(C)赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会

トド松、衝撃の戦力外通告!?

——6つ子が掘り下げられる一方、飛んでいるエピソードの飛びっぷりも増してきて。たとえば第8話「十四松とイルカ」は強烈でした。

松原 「イルカ」は僕も好きなエピソードですね。プロットはシンプルだったんです。十四松がイルカショーを見て感動して、「働かせてください」と言いに行く。ただし、インストラクターじゃなくて、イルカとして。で、なんとか入り込んで、意地悪されたり蔑まされたりしながら頑張って、最後はイルカとともに海に脱出して、歌が長めに流れて終わる——というプロットで、藤田さんは即OKでした(笑)。

——「彼女」も再登場してファン的にもちょっと嬉しかったですし、他のインストラクターが十四松以外のじょし松さんというキャラの使い方にもバラエティ感がありました。

松原 十四松がイルカになっちゃうという話だから、これは「日常話」というよりスターシステムを使った別世界の話かなと思ったんです。実際、雲がイルカの形になってたりして、絵的にも別世界感が表現されてたと思いますが。で、それなら女性インストラクターはじょし松でいいんじゃないかなと。そして十四松を助けてくれるインストラクターをどうしようかと考えて、そうだ「彼女」がいる、と。最初の登場エピソード(第1期第9話「恋する十四松」)がああいう雰囲気だったので難しいところもありますが、あくまで「別世界の話」だとわかってもらうようにすれば、「彼女」の再登場を喜んでくださる人も多分いるだろうなと思いました。あと、藤田さんに「『彼女』、ボケさせていいですか」っていう相談もしました。「彼女」も『おそ松さん』の登場人物なんで、ひとりだけボケてないのも何かかわいそうだなって(笑)。「彼女」にもウケてもらおうってところから、ああなりました。

——年末の「戦力外通告2017—クビを宣告された末っ子—」(第13話)もヒドかったです(笑)。なぜトド松は、あんな目に?

松原 いやまあ、作中で描いたロジックの通りなんですけど。打ち合わせでも「アイツ、実は彼女いるんじゃねーか?」とか「チューくらいしてんじゃねーか?」みたいな疑問を感じることが前からありまして。「合コンってお前、誰とどういうつながりがあってセッティングできてんの?」とか……ちょっとトッティのことが怖くなってきて(笑)。

——第1期ではギリギリ「上手くやってる風で、実は上手くはいってない」みたいなラインでしたけど、確かに第2期に入ってから何か、なし崩しになってる感はありました。

松原 そうです、そうです。いよいよ怪しいんですよ。ホントにどういうつながりかわからないんですけど、男女の集まりに参加してたりとか、女の子と2人でデートしてたりとかするんで、「おいおい」と。「これでも6つ子と呼べるのか?」みたいな話が会議で出まして。で、「じゃあもう、トド松は戦力外っすね」「おお、いいワード出たね! 戦力外選手のドキュメント番組っぽいの、やる?」「やりましょうか」みたいな感じでした(笑)。

——あとは「復讐のチビ太」も、松原さんがやりたかったエピソードだと先ほどおっしゃっていましたね。

松原 原作を読めば読むほど「チビ太すげーな」って気持ちが高まってきたんですよ。原作のチビ太って、すぐに6つ子に負けて泣くんですけど、絶対に這い上がってやり返す。もの凄く怖いリベンジャーなわけです。だからキレたらメッチャ怖いだろうなって。原作にも「復讐してやる」っていう話があるんで、それをベースにチビ太がブチ切れて6つ子を追いかけ回す……しかも本当に怖くて、ちょっとホラーも入ってるみたいなエピソードはどうでしょう? と相談して通りました。

——「旅館」もホラーでしたし、それ以外にも小ネタ的にホラー風味が入ることも多いですが、ホラーはお好きですか?

松原 怖いと笑っちゃうんですよね。ちょっと「狂気」を感じさせるようなところも含めて、「怖い」と「おもしろい」は紙一重、表裏一体だなと思います。気をつけないと、ただ「怖い」だけで終わっちゃうんで、難しいですけど。そういう意味では「旅館」は、お客さんの反応が楽しみ半分、心配が半分です。中盤からラストの流れは確かに怖いんですけど、僕はあれオモロイと思うんです。コントだと思って描いているんで。打ち合わせでプロットを出した時の反応をいまだに覚えてますけど、「こういう設定で、旅館に座敷童が出てきて、『あたいはあのおっかあに殺された』と打ち明けます」って、僕は笑えると思ってしゃべってるんですけど、みんな「えっ……!?」ってなったんです。でも、藤田さんだけが笑ってました(笑)。

——(笑)。

松原 なので、視聴者のみなさんにも笑ってもらえていたら嬉しいのですが……もしスベっていたら藤田さんも共犯です(笑)。




(C)赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会

きたるべきバレンタインの狂気

——「狂気」と言えば、全体が何か狂っているというか、オチが投げっぱなしというか……そんなエピソードもパワーアップしていますね。例えば「合成だよん」(第8話)。「合成」というネタだけで、意味もなく延々反復していく。あとは「びん」(第15話)もびんのフタが開かないというだけ(笑)。

松原 そうですね(笑)。まあ、サブタイトルの通りですね。みなさんが「何だ、この話?」と思ったエピソードは、サブタイトルに戻ってもらえるといいかもしれないですね。サブタイトルをもう1回、確認してもらって「あ、なるほど合成の話ね」「びんの話ね」。と(笑)。

——特に衝撃を受けたのは第12話の「返すだス」なんですが。

松原 はい、僕も大好きなんです。

——ダヨーンがデカパンのパンツを奪って逃げて、追いかけて……あとは何の意味もない(笑)。

松原 ほら、やっぱりサブタイに戻るとわかりますよ。つまり「パンツを返せ」って話です(笑)。あれはもう、プロットも口頭でした。「デカパンとダヨーンの話、やってないですね。やりましょうか」って、1時間後くらいに、僕からポロッと出たアイデアです。「ダヨーンがデカパンのパンツ持って、延々と逃げる話、どうですか?」「それでいこう!」って(笑)。

——あの回は脚本とか、どうなっているんですか?

松原 前半から時計塔のあたりまでは確か、脚本に書いてあります。ここで「ホエホエ~」って言って欲しい、ここで「返すだス~」って言って欲しいって、セリフも書いてあったはずです。後半は2人の感情はこんな感じってことだけ書いてあって、描写は監督や絵コンテの方にお任せしてたと思いますね。

——衝撃だったのは、途中でデカパンが逆ギレして。ダヨーンがパンツ返そうとしても無視するじゃないですか。で、そこからどうなるのかと思ったら、何事もなかったかのようにまた追っかけ始める(笑)

松原 あのへんのシーンは、僕はもうゲラゲラ笑いながら脚本を書いていたところです(笑)。ダヨーンが走って逃げ出して、延々返さない。途中、返すそぶりとかするけど、でも、返さないんだろうな、と。そのうちデカパンはキレる。不安になってダヨーンが返そうすると、デカパンは「もう知らん、もうお前なんか!」。で、どうなるんだろう……まあ、多分また逃げて、「結局返さねぇんだろうな、アイツ」みたいな。そういう意味では、ことさらぶっ飛んだものをやろうと思っているわけじゃあないんですよ。

——確かに、じゃれ合っているうちに本気のケンカになっちゃったとか、子どもの頃とかによくありますけど。でも……何かがおかしい(笑)。

松原 「イルカ」のアフレコで鈴村(健一)さんに言われたのは、「いや、いい話だよ、これ。あきらめずに頑張る話。ただひとつだけ間違ってる——なぜこいつはイルカになろうとする!?」と(笑)。

——そこだけ普通だったら、いい話なのに、という(笑)。あと、問題作ということで触れたいのは、またも年始に登場した「連続テレビドラマ 実松さん 第九話」(第14話)。

松原 登場しましたね。

——年明け1発目で「また『実松さん』で始めよう」というのは、いかにも藤田監督が考えそうなことですが(笑)。内容は予想の上をいく衝撃だったというか……。

松原 普段の6つ子の世界とリンクしちゃいましたね。全話通して、藤田さんのアイデアが出発点になることはもちろんあるんですけれど、今回の「実松さん」だけは、ちゃんと藤田さんからペラ1枚のプロットが送られてきて、話の流れはもうできてました(笑)。

——特にノリノリで(笑)。

松原 会議して「『実松さん』やりましょうか。この前(第1期)は三話だったし、今回は九話くらいかなぁ……あ、でも今日は時間なんで、内容は次の会議で考えましょう」みたいな終わり方だったんです。で、翌日の昼にはもうメールでプロットが送られてきてました。プロット読んで、笑っちゃいましたよ。「6つ子出てくるんだ、マジか!?」と思って(笑)。夕焼けの中でおそ松と2人きりで話して、「『それが無理なことは、本当はお前もわかってるだろう?』みたいな、切ないことを言う」とか、その時点でもう書いてありました(笑)。藤田さん、「実松さん」になるとノるみたいです。

——では、今のところで、松原さん的にノって書けたエピソードは?

松原 ノッて書けたのは、「アフレコ松さん」(第10話)。「大丈夫かなぁ、怒られねぇかなぁ」と口では言いながら、悪ふざけ的に超ノッて書きました(笑)。あとは、さっき出た「イルカ」と「旅館」も、ノって書けました。「イルカ」は「これは大丈夫、きっとみんなも喜んでくれるな」ってポジティブな方向でノれました。「旅館」は「自分的には超笑えるけど、わかってもらえるかなぁ……」って不安に思いつつノりました(笑)。

——これから先も、ノリノリのエピソードを期待したいですね。

松原 近いところで言うと、いよいよバレンタインデーの話がきますね。サブタイトルもずばり「バレンタインデー」(第19話)です。

——数々のリア充的行事を破壊してきた6つ子が、ついにバレンタインデーに牙をむくわけですね。見どころを教えてください!

松原 さぁ、どうなるでしょう——どうなってしまうんでしょう!? はたして牙をむけるかどうか(笑)。見どころは、どう言えばいいんだろう「そうか、そっちにいっちゃったか……」かな(笑)。

——意味深ですね(笑)。クライマックスに向けてのエピソードにも、期待と不安が膨らんでます。何しろ第1期の「手紙」からセンバツ(「おそまつさんでした」)への衝撃の流れがありましたから。

松原 どうなるんですかねぇ……いや、もちろんもう内容知ってるんすけど、言えないです(笑)。

——つまり、「言えないくらいにすごいことが起こる!」ということでよろしいでしょうか?

松原 はい、そういうことで大丈夫ですので、楽しみにしていただければと思います(笑)。よろしくお願いします!
(初出=アニメージュ2018年3月号)



(C)赤塚不二夫/おそ松さん製作委員会

当記事はアニメージュプラスの提供記事です。

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