成果を上げながら定時で帰る仕事術 第70回 自分ひとりだけ定時で帰ることに抵抗感がある人に伝えたいこと


本連載の第69回では「絶対に定時で帰りたい人がすべきこと」と題し、定時で帰らなければ困る状況を自ら作ってしまいましょう、というお話をしました。今回は「職場で自分だけ定時で帰ることが忍びない」という人に向けたメッセージをお伝えします。

「自分の仕事が終わっても上司や同僚が残っているとなんとなく帰りづらい」
「周りを差し置いて自分だけ定時で帰るのは忍びない」

このように感じて、既に仕事が終わっているのになかなか帰れず残業してしまうということはありませんか。

職場の雰囲気的に定時で帰りにくいという気持ちはとても分かります。周りは全員残っている中、自分ひとりだけ「お先に失礼します」と言い出すのは勇気が要りますよね。

しかし、それでも仕事が既に終わっているのであれば残業せずに帰るべきです。以下、6つの理由をお伝えします。
○1. そもそも労働基準法で定められているから

労働基準法32条 ②には、以下の記載があります。
「使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について8時間を超えて、労働させてはならない。」

つまり、そもそも会社は8時間を超えて仕事をさせてはならないという原則があります。その上で、会社が社員に残業をさせるには労働基準法36条の以下の文言に沿って残業させることが認められることになっています。

「使用者は・・・労働組合・・・労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては・・・その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日労働させることができる。」

わざわざ労使間で協定を結んで届け出なければ残業させられないということは、本来会社が残業をさせること自体をあくまでも例外的な扱いとして捉えられるのではないでしょうか。つまり、定時で帰るのが原則で残業は例外ということですね。
○2. 会社にとってプラスになるから

仕事が終わらなくて残業すると会社から残業代が支払われます。残業代はもらえる方は嬉しいものですが、その残業が十分な価値を生み出さないものであれば、会社にとっては本来払う必要のなかったはずの余分なコストでしかありません。

その日にやるべき仕事が終わっているのであれば、定時で帰ることはこの余分なコストを発生させないために必要なことです。
○3. 周りの人も定時で帰りやすくなるから

実は言葉に出さないだけで、あなたと同じように定時で帰りたいのに帰れないという人が他にもいるかもしれません。周りが残っているから帰りにくいという同調圧力によってお互いに牽制し合って帰れないという膠着状態を打開するには、誰かが率先して帰るしかありません。

そこで、まずあなたが率先して定時で帰ることによって膠着状態を打開し、周囲の定時帰りのハードルを下げて「自分も定時で帰っていいんだ」という雰囲気を醸成しましょう。
○4. 余分な仕事の発生を抑えることになるから

定時の時点でその日に自分がやるべき仕事が既に終わっていた場合、その後オフィスに居残って何もせずに「ぼーっと」過ごしているという人はいないのではないでしょうか。その際、その日に終えるべき仕事がまだ終わっていない同僚の仕事を手伝うのであれば意味はありますが、そうではなく自分で別の仕事を作って始めるのであれば要注意です。

そのような場合には単に「それっぽいが実は価値を生まない不要な仕事」を作り出してしまっていることがあります。使い道のない資料を作ったり使い道のないデータ収集などをしてしまうと、その資料やデータのレビューや保管、共有、廃棄など付随する仕事が芋づる式に発生していまいます。そのため、余分な仕事はやらずに帰ってしまった方が遥かに生産的です。
○5. 残業しなくても仕事が終わることを立証できるから

多くの社員が実は仕事が終わっているのに、単に「なんとなく帰りにくいから」という理由で残業していたとしても、会社の上層部にはそれが伝わっていない場合があります。そのため「うちの社員は仕事が多くてやむを得ず残業しているのだろう」と認識している可能性があります。

しかし、あなたが求められる成果を上げながら定時帰りを続けることで「あの人が定時で帰れているのであれば、ひょっとすると他の社員の残業は仕事量の多さによるものではないのでは」という気づきを与えることに繋がり、ひいては組織全体の生産性向上のきっかけになるかもしれません。
○6. 「定時で帰る=やる気がない」と見做す文化を変えられるから

最近は減ってきたかもしれませんが、定時で帰る人に対して「あいつはやる気がない」と見做す人がいるかもしれません。しかし、私に言わせてみればそれは逆です。「定時という決められた時刻までに求められる結果を出す」ためには、相応のやる気が必要です。逆にやる気がない方がダラダラと仕事を続けてしまい、定時に終えられないのではないでしょうか。

定時で帰りながらもしっかりと仕事を終えることで「定時で帰る=やる気がない」という考えを覆してやりましょう。きっと、それによって組織自体も徐々に無駄な残業を良しとしない方向に変化するのではないでしょうか。

以上、定時で帰るべき6つの理由をお伝えしました。仕事が終わっているのに周りに遠慮して定時で帰れないという人にとって、定時帰りの後押しになれば幸いです。

相原秀哉 あいはらひでや 株式会社ビジネスウォリアーズ代表取締役 慶應義塾大学大学院修了後、IBMビジネスコンサルティングサービス(現日本IBM)入社。グローバルスタンダードの業務改革手法、Lean Six Sigmaを活用したコンサルティングを得意とし、2012年に日本IBMで初めて同手法の伝道師 "Lean Master"に 認定される。その後、幅広い組織や個人の生産性向上に寄与するべく独立。生産性向上による働き方改革コンサルティングや、コンサルティングスキルを実践形式で学べるビジネスブートキャンプを手掛ける。 この著者の記事一覧はこちら

当記事はマイナビニュースの提供記事です。

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