スーパー・エキセントリック・シアターが描く純粋な愛の形とは!? 『世界中がフォーリンラブ』稽古場レポート

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2020年10月9日(金)より東京・サンシャイン劇場にてスーパー・エキセントリック・シアターの第58回本公演 ミュージカル・アクション・コメディー『世界中がフォーリンラブ』が開幕する。初日を目前にした10月1日(木)、劇団の稽古場に潜入し、三宅裕司、小倉久寛らの熱気あふれる稽古の模様を見る事ができた。

稽古が始まる前に、全劇団員が稽古場に集まった。座長であり演出を務める三宅を中心に大きな円になって座り、スタッフから様々な指示を受けていた。実はこの日が初めての通し稽古となるとのこと。それまでは密を避けるため、細かい場面ごとにその場面に出る出演者だけが集まってそれぞれに稽古をしていたらしい。故に作品のすべてを把握しているのは三宅と一部のスタッフのみという状態でこの日を迎えた事になる。

スタッフの一人から当日のワイヤレスマイクの扱いについて細かい説明が入る。一人ひとりに箱に入った状態で除菌済みのマイクが公演中、毎日渡される、マイク部分のカバーを自分で外して終演後は箱に閉まってスタッフに戻す……といった感じ。コロナ以前にはまずなかった段取りの説明を劇団員たちは真剣に聞き入っていた。

すべての事前説明が終わると劇団員たちは素早く所定の場所につき、出番ではない人たちは稽古場から外に出て別室のモニターで自分の出番が来るのを待っていた。

通し稽古が始まる。音響スタッフがオープニングの音楽を鳴らす。オーケストラ調の壮大なメロディはまさに開幕を告げようするかのような華やかさで稽古場を包み込んだ。
『世界中がフォーリンラブ』稽古場より
『世界中がフォーリンラブ』稽古場より
『世界中がフォーリンラブ』稽古場より
『世界中がフォーリンラブ』稽古場より
『世界中がフォーリンラブ』稽古場より
『世界中がフォーリンラブ』稽古場より
【あらすじ】
昨今、巷では有名人の不倫や浮気だけでなく、熱愛報道が頻繁に報じられている。日に日にその数は増えており、しかもこれは有名人に限ったことではない。一般人による熱愛や不倫などの色恋沙汰、さらに痴漢やセクハラなどのトラブルまでもが多発しているのだ。
この状況を疑問に思った厚生省の専門家チームが調査したところ、ある事実が明らかになる。痴漢して逮捕された男の体内から未知のウイルスが検出されたのだ。 このウイルスに感染すると、最も活性の高い男性ホルモン・テストステロン(女性の場合はエストロゲン、オキシトシン)の産生量が増え、異性を惹きつける体臭フェロモンを大量に発散する現象が起こる。結果、積極性や性衝動を高め、興奮作用のある神経伝達物質(ドーパミン)を促して、人間をいわゆる“肉食系”へと変貌させてしまうのだ。

このウイルスは猛威を振るいあちらこちらで恋愛トラブルが多発し、世界中が偽りの愛だらけの異世界になってしまった。
この世界のピンチにワクチン開発のために立ち上がったのが老舗の「大日本武田薬品工業」とベンチャー企業の「テクノバイオ薬品」であった――。

至るところに時事ネタがふんだんに盛り込まれ、時には今のコロナ禍で見受けられたマスコミの報道姿勢に対する痛烈な皮肉もあり、何度もニヤリとさせられた。またそれぞれの役名が日本を代表する製薬会社の社名や薬品名を使っており、よくぞこんなにあるものだな、と拍手を送りたくなった。
『世界中がフォーリンラブ』稽古場より
『世界中がフォーリンラブ』稽古場より
『世界中がフォーリンラブ』稽古場より
『世界中がフォーリンラブ』稽古場より
『世界中がフォーリンラブ』稽古場より
『世界中がフォーリンラブ』稽古場より

とにかく劇団員たちの動きが常に俊敏で驚かされた。ステージに見立てたエリア内を様々なところから出ては歌い踊り姿を消し、また出ては舞台セットを設置&撤去して舞台袖でじっと次の出番まで待機している。比較的若手が多い劇団員だが中には歴戦の勇者と言わんばかりの中堅選手もいる。そんな人たちが若手に負けず劣らずのスピードで動き回っているからこそ思わず注目してしまうのだ。
『世界中がフォーリンラブ』稽古場より
『世界中がフォーリンラブ』稽古場より
『世界中がフォーリンラブ』稽古場より
『世界中がフォーリンラブ』稽古場より

そんな中、物語の中心人物となっている二人~大塚ポカリス役の富山バラハスと武田有奈役の山城屋理紗の活躍は必見だ。役どころでは日本とモンゴルのハーフという富山だが、実は生粋のモンゴルっ子。そうとは思えないくらい流暢に日本語を操り、たくましい肉体を武器に存在感をアピールしていた。また山城屋は社長令嬢らしく、上品さと芯の強さ、そして時々見せる世間知らずな素振りがキュートだった。
『世界中がフォーリンラブ』稽古場より
『世界中がフォーリンラブ』稽古場より

この二人に有奈の父親であり、大日本武田製薬の社長・武田勉三郎役の三宅と、うさんくさい霊媒師・宜保無道役の小倉がどう絡んでいくのかも見どころだろう。
『世界中がフォーリンラブ』稽古場より
『世界中がフォーリンラブ』稽古場より
『世界中がフォーリンラブ』稽古場より
『世界中がフォーリンラブ』稽古場より

物語の途中で三宅と小倉の二人だけの場面が今回も存在する。まるでアドリブのように三宅が小倉をいじり倒し、小倉が困りながら三宅のオーダーに応えていくのだが、これは決してアドリブではなく、台本通りにやっているとのこと。あの小倉の本気で困り果てる様が計算された芝居と聴いてまた驚かされた。
『世界中がフォーリンラブ』稽古場より
『世界中がフォーリンラブ』稽古場より

おふざけ&笑いが多かった前半と比べ、途中から徐々にシリアスの分量が増えてくる。ロミオとジュリエットさながらの男女の愛、また父と娘、母と息子との親子愛など様々な愛の形を経て、物語のテーマである「純粋な愛」とは? と観る者に問いかけてくる。SET流の純愛物語、胸があたたかくなる事請け合いだ。

取材・文=こむらさき

当記事はSPICEの提供記事です。

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