独身の彼氏に「嫁みたいな存在がいる」と言われ…別れるべき?|性活相談

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【AV男優・森林原人の性活相談 第189回】

◆彼をこのまま愛していいのかわかりません

相談者:みきさん・60歳・既婚(夫は7年前に他界)

主人を亡くして7年が経ちますが、去年知り合いにバツイチ男性を紹介してもらい、関係を持ちました。私は息子も2人いて再婚は望んでおらず、彼も気ままに付き合いたいという雰囲気だったので、食事をして体を重ねる仲でした。

ところが1ヶ月経った頃、彼が「自分には10年来付き合ってる人(私と同年齢)がいる、土日に彼女が会いに来て“嫁みたいな存在”」と言われました。ただ、彼女とはもうレスだそうで、私は悩みましたがそのまま1年も土日以外彼と会い続けています。

私の思っていた関係とは違うし、その彼女とは法的な結びつきはないけど嫁のような存在なわけだし、もうこの関係をやめた方がいいのか迷っています。

彼をこのまま愛していいのかわかりません。

結論を出すのは私だとは思うのですが、こんな年になってもどうしていいかわかりません。何か助言があれば頂きたいです。

◆森林の回答

結婚を考えず気ままに付き合いたいということですが、これは、社会的責任や役割を求められたくないということだと思います。トキメキや快楽は欲しいけど、義務や役目、親族からの認知はいまさら面倒といったところでしょうか。

一方で、自分の他にパートナーがいることが納得いかない気持ちもありますよね。これは、一対一で完結する関係を築きたいという願望の裏返しです。

整理すると、夫婦という一対一で完結し社会的責任を負い合う関係性は望まないけど、感情においてお互いがお互いの一番になっている関係性ではいたい、という矛盾があなたの悩みの出発点です。

矛盾という言葉を使いましたが、実はこれ、制度と感情を切り離せれば、矛盾せずにいられるものです。

◆一夫一妻制は後から決められたルール

制度は、社会が決めたルールです。その社会によってルールが違うので、現在の日本のように一夫一妻の婚姻制度ところもあれば一夫多妻、多夫多妻のところもあり、どのルールが正解かは決められません。

ただ、僕たちは、一夫一妻制に慣れ親しんでいるので、これが正解だと思い込まされています。一対一の関係で完結するものが人としてあるべき姿で、そこにあるものだけが本当の愛だと思いがちです。

このルールが間違っているわけではありませんが、唯一の正解ではないと俯瞰的に捉えられることが大切です。そうしないと、感情や欲望という常に揺れ動き、自分でコントロールできないものを一対一の関係の中に閉じ込めなければならないとなり、それが難しくなったときに、自分はダメな人間なんだ、人として間違っているんだ、愛ではなかったんだ、と自己否定したり、愛を履き違えることになってしまいます。

ここで改めて原理的に考えてみると、人間にとって感情や欲望が先にあり、制度は後から作られたものです。後から作られたものに当てはまらないからといって感情や欲望を否定すると、愛が愛でなくなってしまいます。

愛とは制度の中に収まるものでしょうか? それとも、制度の外にあるものでしょうか?

ここら辺から凄く難しい話になっていきます。もしわからなければコメント欄で質問してください。

◆愛とはある感情の瞬間的状態のこと

愛というのは感情です。正確には、ある感情の瞬間的状態のことです。愛している、というのは、その感情に瞬間的に気づくことです。“愛している”ことに気がつき、愛していると言葉にするのです。

愛という言葉で言い表されている感情とは、相手の全てを、良いところも悪いところも、今だけではなく過去も、強さも弱さも、あるがままのその人を受け入れ、肯定している気持ちです。

あなたがあなたでよかった。あなたが生まれてきてくれてよかった。あなたと知り合えて幸せです。といった全肯定の気持ちを相手に抱きます。それは時として、自分の社会的利益と相反することがありますが、相手があるがまま存在することを優先します。エゴが限りなく消滅していきます。

◆愛は当たり前にあるものではない

それから、愛は、社会的立場や関係性に伴いセットで存在するものではありません。親子だから当たり前にあるわけでもないし、夫婦だから当然あるものでもなく、一言も直接話したことがないアイドルとファンの間にも存在し得るものです。

母の愛を当たり前と決めつけると母も子も苦しみます。セックスをしたから愛し合えているんだと思い込むと、その思い込みに縛られ変化していく本当の気持ちに気づけなくなります。愛は制度や関係性といった社会的なものとは別のところにあるものです。

◆「愛する」とはどういうことか

相談文のタイトルに書かれていた“愛していく”というのは、愛の感情を持ち続けようと意志することです。常に変化する感情を持ち続けようと意志することは、一見矛盾するように聞こえます。ここが愛の難しいところであり、最大重要ポイントです。何度も繰り返し、ゆっくりと考え理解してください。

愛するというのは、相手を自分のものにしたいと欲望する気持ち(同一化願望)と、相手が自分のものにはならないと区別する理性的判断(理性的区別)を同時に持つことです。

前者だけになるのが恋と呼ばれるもので、相手を自分に取り込んだり、相手に取り込まれたいと思い、支配、被支配の関係性に陥ります。なので必ず破綻します。人間が誰かのものになることは一瞬はあるかもしれませんが、それを継続するのは不可能です。変化し続ける人間をコントロールし続けるのは、他者はもちろん、自分自身でも無理だからです。

一方、後者だけになると、人と人が結ばれることはないんだと絶望するだけで、人を想い、つながれる奇跡を諦めてしまいます。人嫌いの人や、恋愛はもういいですと厭世的(えんせいてき)になっている人がいますが、そんな人たちも、自分の感情や欲望をコントロールしきれるわけではありません。ある日突然恋に落ちたり、はたと自分が誰かとつながっていたんだと感動する瞬間を迎えます。

人と人が分かり合い“続ける”ことはないんですが、瞬間的に分かり合えたと思えることはあります。それはあまりに瞬間的だから幻のようで奇跡に感じられるのですが、確かにあると僕は感じています。

◆愛し続けるには感情と意思の両立が必要

同一化願望と理性的区別を同時に抱くには、熱い感情と強い意志の両立が必要であり、矛盾を矛盾のまま包括的に受け入れられるほどに人として成熟していなければなりません。この領域に達するには、ある程度の時間が必要だし、それなりの傷つきを経験しなければなりません。

失恋した苦しみを知らない人は、愛することがわからないでしょう。依存的恋愛をして傷つけ合ったことがなければ、恋と愛の違いがわからないでしょう。愛されることばかりを求めている人は、まだ愛を知りません。

愛とは瞬間的な感情の状態ですが、そこには継続していく意志が伴って完成するものです。感情と意志の両立、この視点でご自身の気持ちを見つめ直してみてください。

今回のケースに戻って考えていきましょう。

◆2人とも一夫一妻制の価値観に縛られている

みきさんは、彼のことを愛しているようです。でもこの感情を持ち続けていいのか、そう意志していいのか迷っています。そう迷わせている原因は、一夫一妻制の価値観に縛られているからです。縛られているのは、みきさんだけではなく彼もです。彼の“嫁みたいな存在”という言葉が引っかかるのは、制度から離れたところで関係性を築いていこうとしていたのに、制度の価値観を持ち込まれたからです。制度と感情、どちらが大切なんだと悩まされています。

おそらく彼は、制度側の嫁という存在の彼女と、感情側のみきさんの両方を手にしたいと望んでいます。彼にとってセックスは、制度側ではなく感情側にある行為です。みきさんに対しては、制度側の関係は望んでいないのだから、感情とセックスがあれば問題ないだろうという認識になっていることでしょう。

◆彼の一番になりたいと思っているのでは?

当のみきさんは、感情でつながっていればいいと思っていたのですが、その気持ちがどんどん確かなものになっていくにつれ、同一化願望が強まっていきました。彼の一番になりたいと思うようになっています。

一番とは、相手の肉体と精神の独占(所有)を望むことです。独占とまでいかなくても、最優先権の確保はしたいところです。これを確かなものにするには、「私の体と心はあなたのもの」という約束をお互いに交わす必要があり、それは、限りなく婚姻関係に近いものです。

感情を確かなものにしたくなると、制度による契約を求めてしまいます。それは、感情の本質である、常に変化し揺れ動く自由なものといったところを否定することになります。愛という感情が形式化、固定化してしまうのです。

◆自分がどうしたいのか見極めて

みきさんが彼を本当に愛しているのなら、嫁のような存在がいようがいなかろうが、愛しつづけるまでです。もし愛を制度側の形にしたいと思うのなら、それは、立場を望むということで覚悟が必要です。その覚悟は責任を負う覚悟であり、彼と当初関係を持つ時に望んでいたものではありません。人の気持ちは変化するのですから、そのように思っても間違いではありません。むしろ自然なことでしょう。

でも、それは本質的な意味での愛ではなくなります。三者の関係が今のまま彼のことを愛する日々を積み重ねてもいいし、三者から二者で完結する関係への変化を望み、みきさんが嫁のような存在になろうとしてもいいです。自分の悩みのポイントを整理して、自身の気持ちと向き合い、みきさんがどうしたいのかを見極めてください。みきさんの望みが叶うことを願っています。

<文/森林原人>

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【森林原人】

1979年生まれ。1999年にAV男優デビュー。出演本数1万本。経験人数9千人。セックスの虜になり道を踏み外したと思われているが、本人は生きる道を見つけられたとむしろ感謝している。著書に「イケるSEX」(扶桑社)他。性と向き合い、性を知り、性を楽しむためのサイト「リビドーリブ」とオンラインサロン「森林公園」を運営。★Twitter(@AVmoribayashi)

当記事は女子SPA!の提供記事です。

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