オラクル株高騰で一時取引中断! TikTok提携の背景と米国の反応まとめ

20200914TikTok
百戦錬磨のCEO(右)に続き、Microsoftもレース脱落… Image: ギズモード・ジャパン

Oracle正式発表で株取引が一時中断になる大騒動。

米企業に身売りしないと米事業閉鎖だ!とトランプ政権に脅されているTikTok。決断のタイムリミットが来週に迫るなか、運営会社のByteDance(バイトダンス)はMicrosoft(マイクロソフト)の買収提案を蹴ってOracle(オラクル)と戦略提携する意外な動きに転じました。

米メディアの報道後、中国・中央電視台(CGTN)は「MicrosoftもOracleもダメだ!」と全面否定。AI禁輸で中国政府がSTOPをかける可能性も否めず、まだ予断を許さない状況ではありますが…。

なぜOracleなのか、少し背景を整理してみましょう。

対Amazonクラウド戦争、JEDI戦争の延長戦?


Oracleといえば、Amazonの脱Oracle計画が昨年10月に完了し、おのれベゾスとラリー・エリソン会長が歯ぎしりしている局面です。

公共事業の入札でもガッチンコ対決しており、特に火花を散らしたのが米中AI戦争の要となる総額100億ドル(約1兆565億円)の米国防省軍用コンピューティング事業、コードネーム「JEDI」です。

OracleとIBMは振り落とされて、入札はAmazonとMicrosoftの一騎打ちとなったのですが、Oracleはこれを不服として訴えて敗訴、控訴してまた敗訴。連続負けを喫したにもかかわらず、これによって政府が決断をモタモタと先送りしている間にMicrosoftが要件を満たして本命AmazonからJEDIを奪い取るという一大番狂わせが起こり、ちゃっかりMicrosoftのパートナーとしてぐいぐい食い込んでいるんですね。

この入札でクリティカルな役目を果たしたのがトランプ大統領でありまして、2018年夏、ジェームズ・マティス国防長官(当時)に「Amazonを潰せ」と直接指示していたことが告発本で明らかになっています。これらの証言を武器にAmazonは、不正な政治介入があったのではないかと国防省を訴え、JEDI事業の着手に待ったをかけたのですが、今月4日にその訴えは退けられて、おのれトランプとジェフ・ベゾスがわなわなと手を震わせている局面です。判決を不服とするAWS公式声明はこちらで読めますが、行間に怒りが満ちています。そりゃそうだ…。

Amazon憎しのOracleラリー・エリソン会長は、Amazon傘下のWashington Timesを目の敵にするトランプ大統領ににじり寄り、今では別荘で政治資金集めのパーティーを開く数少ないシリコンバレーの企業人です。Oracleのサフラ・キャッツCEOはトランプ政権移行チームにも参画しているので、パイプは盤石。

Amazonのコンシューマ事業を失った今、OracleにとってTikTokのサーバ事業は喉から手が出るほど欲しい案件というわけで、そんな風に対Amazonクラウド戦争、JEDI戦争の文脈で捉えると「なんでOracleがここに出てくるんや!?!?」という謎は解けそうです。

アメリカの反応


でもおかしな話ですよね。もともとMicrosoftと円満に商談が進行していたところにトランプが難癖つけてちゃぶ台返ししてこんなことになってるのに、サーバを委ねる戦略提携でいいのならこの一連の騒ぎは一体なんだったのか…。同じ疑問の声は米国の識者からもあがっていますよ。



ByteDanceは初夏の時点で@Microsoftに少数株を譲ってクラウドホスト事業で「技術提携」する話を進めていた。そこにトランプ政権が割り込んできて米国事業全支配権を売却しなければならないと言い出したんだったよね? なのに今度は@Oracleなら「技術提携」の商談を認める方向だという。なんかおかしくないか? (アンドリュー・ロス・ソーキン、NY Times論説委員/『 リーマン・ショック・コンフィデンシャル 』著者)



大騒ぎして怒っていたのは何の意味もないことだった。単にトランプの取り巻きに旨味のあるクラウド事業話を振るための空騒ぎ。OracleがTikTok米事業契約を競り落とした。(カーラ・スウィッシャー、ReCode共同創設者/AllThingsDigital)

Oracleの狙いはソーシャルグラフにもあるのではないかというツイートも散見されました。



OracleのIDグラフ(OracleのDMPを駆動する秘密のソース) はすでにかなり強力で、米オンライン人口の90%近くを特定できるまでになっている。TikTokのレイヤーが加わったらその可能性は今の比ではない。長期のゲームプランはFacebookレベルまで精度を高めることだろうしこれは譲れないだろう。(@moenichedeeさん、eコマース企業成長戦略VP)

TikTokはGoogleと向こう3年間、クラウド事業で提携する大型契約も結んでいます。そっちはどうなるの!?!?という疑問もあるし、まさにTikTokの頭上でガメラ対ギャオスの空中戦、総力戦の様相ですよ…。

花形CEOも逃げる泥沼


Disney長年の役員としてPixar、ルーカスフィルム、21世紀FOX、Marvel買収で手腕を発揮し、Disney+を成功に導いた功績を買われてTikTok CEOに抜擢されたケヴィン・メイヤー氏は、3か月ともたずにCEOを辞めました。MITアメフト部、ハーバードMBA出身の鋼のメンタルでも逃げる魑魅魍魎の渦巻く世界がこの世にはあるのね…。



大統領令では20日までにTikTok米事業売却プランを発表しなければ29日までに事業停止、ディールは11月12日までに完了させることと期限を設けています。ここから一歩も引くつもりはないとのこと。締切りは15日とも報じられていて、大統領自身、15日、15日と連呼していますが、スティーブン・ムニューシン財務長官は「あれは間違いで正確には20日だ」とTVで訂正していますよ。



いやあ…「一部の人」っていうか大統領令出した大統領自身がそう言ってるんでみな15日と報じてるんですけどね…。結果はいかに?

Sources: WSJ, ロイター, CGTN

当記事はギズモード・ジャパンの提供記事です。

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