「ワクチン完成で景気回復は考えにくい」森永卓郎が予測する日本経済の未来

日刊SPA!

2020/9/14 15:54

 もはや誰しも“失職”は他人事ではない。4~6月期のGDP改定値は戦後最悪の前期比年率マイナス28.1%を記録(8日、内閣府発表)。このまま悪化し、働き盛りの10人に1人が失業者となったとき、日本経済の未来はどうなるのか? 経済アナリストの森永卓郎氏に話を聞いた。

◆一部の勝ち組企業以外はズルズルと沈没。深刻なデフレで日本経済は崩壊

コロナ収束のメドが立たないまま失業率がこのペースで高まれば、日本は間違いなくデフレスパイラルに突入し、経済が壊滅します。

その兆候はすでに表れていて、6月の消費者物価指数(家庭で消費するモノやサービスの値動きを見る指標)は、前年同月比で0.0倍。一見横ばいですが、消費税を去年10月に引き上げているので本来なら0.5%がかさ上げされていなければならなかった。実質的にはすでに物価が0.5%も下落してしまっているわけです。

日本は’97年から15年もデフレに苦しみましたが、そこで得た教訓は、物価上昇率がマイナスにならなくても1%を切った段階で劇的に失業率が上昇するということ。過去最も失業率が高かったのは’02年の5.4%ですが、この年の消費者物価指数は0.012%しか下がっていません。つまり、0.5%も下落した日本はすでに大失業時代に突入しているのです。

とはいえ、これまで1万円で売られていたものが1000円になるような急激な物価下落は考えにくい。むしろマイナス1~2%がズルズルと続いていくというのが想定されるシナリオです。

◆コロナの影響は「失われた20年」以上?

前回のデフレ時は「失われた20年」と呼ばれ、国際競争力の低下やロスジェネ世代の存在など、その影響は20年近くたった今も残り続けています。消費者物価指数や有効求人倍率の急激な低下ぶりを見ていると、今後日本があの時代以上に長く低迷し続けてもなんらおかしくありません。

こうした未来を避けるためには、いち早くコロナを収束させることが大前提ですが、残念ながら政府にその気はないように見えます。

感染症の専門家に話を聞くと、「ワクチンが開発されたとしてもまだまだ治験に時間がかかるため、市中に出回るのは当分先」だという意見が大多数。その頃にはデフレと失業率悪化が相当な段階まで進んでいますから、「ワクチンができて一気に景気回復!」ということは考えにくいんです。

こうした深刻なデフレ下では新卒採用も抑制され、企業の年齢構成はどんどん歪になっていきます。企業の新陳代謝は失われ、今は会社にしがみついたとしても、遠くない未来に倒産して失業する可能性は低くない。

デジタル化を支える企業やゲーム・動画配信などの巣ごもり関連企業など、アフターコロナで変化していくライフスタイルの波に乗れたごく一部の企業にいない限り、失業しようが会社に残ろうが、ズルズルと沈んでいく。それが、失業率10%時代の日本の未来ではないでしょうか。

【森永卓郎氏】

経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。経済学をわかりやすい語り口で説くことに定評があり、各メディアで活躍中。近著に『グローバル資本主義の終わりとガンディの経済学』(集英社インターナショナル新書)

<取材・文/週刊SPA!編集部>

―[[失業率10%]の恐怖]―

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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