【INTERVIEW:夜韻-Yoin-】一瞬の隙に降りてきたもの

OKMusic

2020/9/14 12:00

動画配信サービス「GYAO」、ストリーミングサービス「AWA」のフォローアップのもと、日本工学院専門学校の学生がアーティストインタビューを行う、ネクストブレイクアーティストをプッシュするコラボレーション企画『G-NEXT』。

今回の選出アーティストは、8月5日にメジャーデビューシングル「Seafloor」をリリースした夜韻-Yoin-。SNSを中心に注目を集め、一度耳にしたら余韻が離れない癖になる音楽性で、数多くのリスナーを魅了している。シンガーソングライターのあれくん、クラシックピアニストの岩村美咲、オルタナティブロックバンドのギタリスト涼真。それぞれ違う畑で活動する3人が織り成す楽曲について、彼らにとっての音楽とは何なのか、今後の活動への想いなどを訊いた。

■夜に浸れる音楽 聴き心地の良いリズム

ーーまず、結成までに至った経緯を教えていただけますか。

あれくん:僕がふたりに声をかけたんです。元々、僕の個人活動でバンド曲のレコーディングをしてる際に、涼真くんはギター、美咲さんはピアノを担当してくれていて。2人は演奏技術やセンスがあるうえ、それぞれ違うジャンルの畑で活動していたので融合させれば“おもしろいものがつくれるんじゃないか”と思ったのがきっかけで結成しました。

ーーそうなんですね。そのグループ名を《夜韻-Yoin-》にした理由というのは。

あれくん:アーティストのライブが終わった後、“楽しかったな”と余韻が残るときがあるじゃないですか。それと、夜に浸れる音楽を作りたかったので“夜”。聴き心地の良いリズムやテンポ感の曲を作るという意味での“韻”。これが相まって“夜韻”となりました。

ーー“Yoin”とローマ字で表記されているのは、海外も視野に入れてのものですか?

あれくん:それもあります。それと単純に“夜韻”だけだとわかりづらいなっていう(笑)。

ーーなるほど(笑)。グループ名にも、デビュー楽曲「Seafloor」の歌詞にも“夜”とありますが、みなさんは“夜”に対して、どのような印象や価値観を持っているのでしょうか。

涼真:夜に対する思いは特別には無いんですけど、強いて言うなら“クリエイティブな瞬間”ですね。それって、学校があったり仕事があったりすると確保するのが難しいので、アーティストの特権だと思ってて。そういう意味では大事にしたい時間でもありますね。あと僕ら全員、夜に強いタイプなので(笑)。

岩村美咲(以下、岩村):間違いない(笑)。

あれくん:僕も似てるところがありますね。夜って街や人が活動をやめて静かになるじゃないですか。その分、音が聞こえやすくなくなるので、神経を研ぎ澄ますことによって自分の中にあるものを発揮しやすくなるというか。なので、アーティスト活動における“夜”は馴染み深い時間です。

岩村:夜って、ちょっと気持ちが落ちてしまったり、ひとりで感情移入しやすい時間だと中学生の頃から思ってました。大人になってからはお酒に酔うような時間も入りますけど。そういった状態で聴く音楽って、日中に聴く音楽よりも違った価値観で聴けると思うんです。夜韻ではそういった“夜”の奥深さを大事にしたいなと思いました。

ーーそういったコンセプトを持った活動の中で、メジャーデビューが決まったときはどういった感想を持ちましたか?

あれくん:正直、決まるまでのスピード感がすごくて、当時、具体的な感情はなかったです。でも一般人のままだったら絶対に経験できなかったことだと思うので、幸福感とか、特別感とかはありました。

岩村:コロナ禍なので、メジャーデビューはリモートの画面越しで知らされたんです。それは印象的で忘れられないですね。

ーー少し遡った話になりますが、メンバー各自がソロ活動を並行している中で、あれくんのYouTubeチャンネルの総再生回数が、4月の時点で1000万回突破、登録者数は10万人突破したというのを受けて、多くの人の目に触れていると実感した時、率直にどう思いましたか。

あれくん:幸せだなっていう感じですね。なんか、お茶の間でアイス食べてるような気持ちです(笑)。今まで普通に生きてきて、こういう瞬間があるって自分の中で分かってなかったので、恵まれてるなっていうのを感じますね。TikTokも基本的には目を通したりはしていて、こういう言葉の使い回しの時にこういう振り付けとかアプローチをするんだなとか、逆に自分が作詞するにおいての参考資料になったり。いろいろ考えながら見るようにしていますね。本当に幸せだなって思います。

ーー共感できる歌詞を書かれるなって個人的に感じたのですが、心の中にあるものを書いてるというよりは、パッと浮かんできたものを書いているのですか?

あれくん:降りてきたものをそのままですね。直感を信じていて…、2曲作ったとしてどっちを選ぶか迷ったら、どっちも売れないと思うんですよ。だから自分が直感で持っているものを大事にしています。

ーー涼真さんにお聞きしたいのですが、アップロードされている“弾いてみたの動画”で、演奏以外にも映像の光の当て方だったりとか、アングルがとても魅力的だなって思っているんですが、どんなことを意識してますか?

涼真:いい映像にしようっていう意識はあります。僕、演奏動画のためにカメラ買って持ってるんです。動画編集ソフトとかそういうことが出来たら、日常をかっこよく発信できるっていうのがいいなって思ってて。照明に関しては、家にめっちゃ間接照明があるんですよ。電球色っていうんですかね? BARっぽいっていうか、なんかいいなぁって思って買うんですけど大変なことになってて…スイッチだらけみたいな(笑)。

あれくん:曲聴く前に、サムネイルとか絵を最初に見ることになるじゃないですか、音を聴く前に絵が良ければ良いほど、たぶん惹き付けられると思うので。

涼真:1番かっこよく写っている瞬間をね。

ーー(笑)。岩村さんはピアノを演奏するにあたって心がけていることはどんなことですか。

岩村:7月にソロのアルバムを出したんですけど、その曲をつくるときにすごい壁にぶち当たって、そのとき何回も自分に言い聞かせたのは“私らしさ”っていうのを封印しないように。かつJ-POPに通用するようなリズムやハネ方だったり、夜韻でも勉強させてもらってるんですけど、そういうのを融合できたらもっとパワーアップするんじゃないかなって思ってます。動画とかは綺麗さダイナミックさを一番大事にしてます。

■主人公になったかのような没入感を 視聴者に与えられたら

ーーデビュー曲である「Seafloor」について伺いたいのですが、この曲を作り始める際に構想していたコンセプトはありましたか?

あれくん:ソロ曲と同じように、「Seafloor」も一瞬の隙に降りてきたもので、もともとコンセプトを決めていたものではなかったですね。

ーーその瞬時に降りてきたものを、どのような過程で作曲されたんですか?

あれくん:メロディを作る時から涼真くんと一緒でした。僕が大枠を作って、それを涼真くんがトラックに入れて編曲してもらうという過程で。その作業は2時間くらいで終わりました。

涼真:僕は、あれくんが感じてる世界観をできるだけ新鮮なまま出そうっていう気持ちで作りましたね。でもそれがプレッシャーになったわけではなくて、本当に楽しみながら作りました。“よし、波の音いれちゃおう!”みたいな感じで(笑)。

ーーその世界観を形にする上で、どのようにテーマに対して意識を向けたのでしょうか。

涼真:“海に落ちていく”や“海辺”というテーマが絶対的にあったので、メロディが入らなくても、落ちていく様子が見えてくるようなアレンジが正解だと思って編曲しました。海の中を意識したとき、“3D感”がすごく大事になると思って、ゲーム音楽だったりそういう表現が得意な人とかに聴いたりしました。そこから着想を得て普段の自分の曲では使わないクリシェというコード進行を使ったり、リバーブを使って聴く人が落ちていく感覚になれるようなアレンジを心掛けました。

ーー「Seafloor」の歌詞や2人で完成させたデモ音源を聴いて、岩村さんはどう思いましたか?

岩村:曲のLow-Fi感とあれくんの歌詞の世界観がマッチしてて、その重すぎない絶妙さに感動してしまいました。“2時間で作曲したの? ”と疑っちゃうくらい(笑)。そこからピアノを入れるにあたって、“海の中に落ちていく情景”をどう表現していくかというのを意識しました。

ーー2コーラス目の感情を露わにしたようなセリフがとても印象的でした。そういった要素を入れる理由はどういったものですか?

あれくん:普通の曲にはあまり無いセリフを入れることによって、自分が主人公になったかのような没入感を視聴者に与えられたらなと思ったり、もともと僕が感情を込めるのが得意だって言われていたこともあって、今回の「Seafloor」にも入れさせていただきました。

ーー海の底に落ちていく描写が印象的なミュージックビデオでしたが、その制作にはどういう携わり方をしましたか?

あれくん:最初、イラストレーターさんに僕が考えたイメージを4枚描いていただきました。そこで、もっと何かプラスできるのではないかと思って、アニメーション制作の方にも頼んで、細かい描写の再現をしてもらって。最終的な映像が返ってきたとき、意味わかんないくらい再現されてて感動しました。

岩村:“イラストが生きた”って言ってたんです。

あれくん:描かれた絵に、命が吹き込まれる瞬間を見たかのようでした。

ーーリスナーに注目してほしい映像や歌詞のギミックはありますか?

あれくん:セリフにリンクして、男の子の影が女の子の姿に変わっている描写にも注目していただきたいです。それに、曲が終わった後に映る女の子は、次の曲の伏線だったり。あと、“この世界に愛なんてなかった”というセリフだけ、声を2パターン録って左右に振り分けて出力したという、こだわった点があります。

ーーでは、YouTubeの概要欄に歌詞と共にコードを載せていますが、その理由や意図していることは?

岩村:やっぱり、カバーしてもらいたい。

あれくん:二次利用、最近っぽいですよね。

涼真:コードがあったら嬉しいですもんね(笑)。

ーー涼真さんのYouTubeチャンネルに、オフボーカルがアップロードされていますが、それも二次的利用を狙ってたり?

涼真:そうですね。第三者が関わることによってどう変化していくのかが気になりました。でも、トラック自体を普通に聴いてほしいっていう気持ちもありました。アレンジャーにとってのオフボーカルやパラデータって財産なんです。それを沢山の人に聴いてもらいですね。あと僕、インストが好きなんですよ。“そんな楽器入ってたん!?”という驚きもありますし。だから僕の中では“同業者向け”という意図もあります。

ーー通ずるものとして、昨今“夜好性”と言われるネット発のユニットやアーティストの存在感が高まっていますが、それらに対してライバル心などはあったりますか?

岩村:無いです。普通に大好きです!

あれくん:将来、僕たちと一緒に音楽ができる機会があればいいなと思っています。

涼真:でも、同じ括りにされるという意識はあんまりないですね。

あれくん:インスピレーションを受けることはあります。でも“似たような曲を作ってるか”って言われたらそうでもなくて。それを真似るのはアーティストとして、プロとして、やってはならない。僕たちは唯一無二として、“夜韻-Yoin-”という、新しいジャンルとしてやっていくぞ、という心持ちです。

ーーまだ難しい環境下ではありますが、今後、夜韻-Yoin-としてライブをする予定などはありますか? また、ライブについてメンバー同士で話したりすることは?

あれくん:今後のライブの予定はまだわからないですけど、ライブはしたいですよね。この2人がやっぱり現場出身なので、ライブしたい!したい!って言ってて。僕はずっと画面越しでやってきたので、熱がすごくて押しつぶされそうなんですけど(笑)。

涼真:いやーライブしたいっすね。

あれくん:ひしひしと(笑)。

涼真:ひしひしと(笑)。3人ででかいステージ立って、バックスクリーンに“夜韻—Yoin—”って出て。

あれくん:ふわぁって、スモーク出て…。何も見えなくなって(笑)。

涼真:超楽しみですよね! 一発目がどうなるのか。

岩村:一発目、楽しみですね!

ーー現時点で考えている今後の夢や目標はありますか。

涼真:日本一じゃないすか。

あれくん:日本一、世界一取って美味しいご飯を食べたいねっていうね(笑)。日本一、音楽業界を賑わすじゃないですけど…、誰でも知っているようなアーティストになるのが共通の考えだと思います。

涼真:実力派になりたいっすよね。音楽好きが唸るようなプロサウンドっいうか…、ハイクオリティなサウンドを認めてもらいたい、そしたらすごくないですか?

岩村:ひとつのジャンルとして確立じゃないですけど、時代の歯車を回したいなって思っていてバズってる人じゃなくて、“夜韻、いいよね。こういうのっていいよね”みたいにひとつの確立した“夜韻—Yoin—”っていうジャンルになるのが目標です。

ーー最後になりますが、漠然とした質問です。あなたにとって“音楽”とは?

涼真:常に音楽と一緒に生活してきて、色んな感動があったんですけど、“自分の人生を形として残せるもの”だと思っています。それっていろんな形があるじゃないですか、それを絵にする人もいたり、写真にするひともいたり。自伝じゃないですけど、自分がいた証、というか作品として残るっていうのが、オリジナル曲を作って世に発信していく立場じゃないと味わえないもので、すごくいいことだなって。自分の人生を形として残すひとつの表現の手段だと思ってます。

あれくん:涼真くんがいったこともそうなんですけど、言葉だけだと人の心の隙間に入るのに限度があるんですよ。でも音楽って自然と入っていくものがあって“心の隙間を縫う”じゃないですけど、癒しを生む効果であったり、そういうのだと思ってますね。音楽は何があっても絶対になくならないものだし、自分を救ってくれるものだったり、テンションを上げてもらう材料になったり。僕はそういう見方をしています。

岩村:音楽はこれだってまだ断言できないし、一生自分の中で正解はないなって思うんですけど、気持ちが落ちた時に聴くと癒してくれたり、共感したり、救ってくれるもの。自分が音楽のことで挫折とか嫌なことがあって落ち込んでる時に救ってくれたのが、結局音楽だったりするんです。あと、音楽をする為に生まれてきたんじゃないかって思ってて。なので、命ぐらい大事にしたいものです。

涼真:結論がでかい!

あれくん:やっぱり、人生ですよね! 本当に僕らの活動してきて…、それこそ音楽がなかったらここまでこれなかったし、音楽があったからこそいろんな経験ができるものだと思っていて。この間3人で秩父旅行して満喫したり(笑)。それくらい、仕事ってだけじゃなく、楽しくやらせてもらってます!

\n取材:須藤大晴・椎名康予(日本工学院専門学校 蒲田校/コンサート・イベント科)
撮影:石原汰一

配信シングル「Seafloor」

2020年8月5日配信

\nhttps://www.universal-music.co.jp/yoin/

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当記事はOKMusicの提供記事です。

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