VRアイドル「えのぐ」初の個別インタビュー Vol.1 日向奈央「次元を超えてライブしていると思っている」

SPICE

2020/9/12 18:00


2018年に「VRアイドル」としてデビューした4人組アイドルユニット「えのぐ」。実際の会場で音楽LIVEや握手会を開催するなど、リアルな現場での活動を大事にしてきた彼女達は、2020年8月8日、9日の二日間に渡ってワンマンライブ『えのぐワンマンLIVE2020 -次章-』を開催した。

SPICEでは今回短期集中連載として、鈴木あんず、白藤環、日向奈央、夏目ハルの各メンバーに初となる個別インタビューを敢行した。共通の質問の中で彼女たちが生きて、思っている息吹を感じてもらいたい。

vol.1は日向奈央、ダンスと歌を得意とする日向からみた「アイドル」とは?

「えのぐ」の日向奈央です。よろしくお願いします!めっちゃ緊張してます(笑)。

――この間のライブを拝見したんですけど、すごく良かったです。

ありがとうございます!

――この厳しい状況下で2デイズのライブでしたが、感想いかがですか?

滅茶苦茶楽しかったです。でもライブのMCでも言ったんですけど、コロナで自粛している間にすごい体力が落ちてしまって。2か月ぐらいで今回のライブまで体力を戻して、さらに新曲の振り入れもしたんです。

――曲数も結構多かったですよね。

ユニット曲含めて4曲ですね。でもライブ初お披露目の曲も3曲あったので合計7曲、初めてライブでやる曲があったんですよ。「どうなるんだろう?」って思いながらライブの準備をしてたので、すごい忙しかったと言うか(笑)。

――バタバタしてた?

してましたね!忙しいけど楽しいライブだった、みたいな感じです。

――でも本当にやれて良かったですね。

はい!7月7日の七夕のときに、今回のライブのキービジュアルに、みんなでお願いごとを書いたんです。私はそこに「現地開催できますように」って書いたのが、叶って良かったなみたいなのもあったし(笑)。

――本当に叶いましたね。

そうなんです、それにみんなが現地に来てくれたのも嬉しくて。配信で見てくれることももちろんすごく嬉しいけど、現地に観に来てくれた人が多かったのは励みになりましたね。


――今回の4名個別インタビューに関してはテーマをいくつか共通でお話を伺おうと思っています。その一つが「えのぐの皆さんにとってアイドルって何?」というものがあります。

アイドルって何、ですか。

――みなさんは「バーチャルアイドルグループ」じゃないですか。僕ライブを観て感じたのは、言い方悪いかもしれませんが、全員がアイドルでいることに対して圧倒的に本気だなと思ったんです。だからえのぐにとってアイドルって何?ってすごい訊いてみたくて。

そうですね……なんか、キラキラしてる人たちっていう印象ですかね。ステージの上で可愛い服を着て、素敵な楽曲をみんなで歌って、踊って、「うわあキラキラしてる!」みたいな人たち。でも実際やってみると、努力の結晶のたまものと言うか。

――努力の結晶ですか。

私は自分のライブを観返すと、他の人のライブ観てる感覚になるんですよ。別のアーティストのライブを観てる感覚になるというか。

――客観視してしまう?

そういうタイプですね。反省点とかそこから見つけ出しちゃったりとかするんですよ。「ここのピッチがダメだったなあ」とか(笑)。良い部分があると「めっちゃいいな!」ってなるんですけど「ああ、やっぱここがな~」みたいに反省することが多くて。

――客観視で見た“日向奈央”は、自分の中でちゃんとアイドルしてます?

うん……結構してますね。自分が思ってるよりしてると思います。

――どういうところでアイドルを感じます?

歌い方を変えたりとか、ダンスをちょっと崩したりとかしてるときって、「ここでこれをやろう」ってあんま決めてないんですよ。決めてるところと、決めてない本番のテンションでやっちゃうところがあって。決めてるところは大体どのライブでも「ここで盛り上げる!」って思ってるんですけど、決めてない本番のテンションでやったものを見ると、「わ、すごい!自分いま、アイドルしたな!」みたいな感じの印象を受けますね(笑)。

――現場で生まれるアドリブ的なものですかね。

そうですね、空気感とかもあるし、ステージの照明とか、お客さんのペンライトとかを見て、それで感じたものがアドリブとして生まれることがあるんです。これもう二度とできないでしょ!みたいなものは「うわー、いますごい自分アイドルだったな!」って思ったりします。

――人によって、ステージとプライベートは分けてますっていう人もアーティストさんでもけっこういると思うんですけど、奈央さんはどっちタイプですか?

私は変わらないタイプだと思いますね。ライブっていうスイッチは入るんですけど、生放送やラジオの時の自分と、ライブをしてる自分は、あんまり変わらないなっていうイメージはありますね。


――やっぱり、じゃあ常にどこかしらアイドルを感じていると言うか。

えーっ、なんだろ(笑)。メンバーと一緒にいると、いつも生放送やライブの感じでワイワイしてるんですけど、でも一人になると、とたんに静かになったりするんですよ。どういうのがプライベートなんでしょうね(笑)。

――でもみんなでいるときは、「えのぐの日向奈央」になってしまう?

うん、そうですね。配信してないときでも、例えばみんなで帰ってる時も、メンバーといると、えのぐとしての私みたいな感じになる。あははは!

――元々、ステージで歌ったり踊ったりアイドル的な活動に憧れは?

ありました。私、有名になりたいなって思いが昔からあったんですよ。音楽がすごい好きだったのと、私の家庭がすごい音楽一家で、家族みんな何かしら楽器できる環境で育って。小さいときからずっと音楽がある生活をしてたんで、有名になるなら音楽が良いなって思ってたんです。

――でも例えば、バンドマンでもいいだろうし。いわゆるボーカリストでもいいけど、アイドルっていう道に、今いるわけじゃないですか。そこに対してはどう思う?

もうそれに関しては自分で全肯定みたいな感じですね(笑)。元々、プリキュアが好きなんです。かっこかわいい女の子がめっちゃ好きで。

――プリキュア最高ですよね。

最高です!もうほんっとに!ほんっとに良くて! プリキュアの変身したときの衣装、めっちゃ可愛いじゃないですか。

――可愛いですね。


アイドルさんって、そういう衣装多くないですか?ちょっとフリフリっとした、でもかっこいいみたいな感じの衣装が多くて。「うわーっ、羨ましいなあ!」って思ってたので。いまアイドルになれて、可愛い衣装もいっぱい着れてるので、すごい嬉しい気持ちはあります。

――じゃあ、自分の中で、求めていた自分には近づいた?

だいぶ、近づいてきています!

――僕は単純に先日のライブを拝見して、「あ、時代が来たな」って思ったんです。

ははははは!来てますか!(笑)

――歌や曲も良かったという以上に、えのぐの4人がものすごく近くに居ようとするのを感じたんですよ。「あなたのそばにいて応援するよ!」っていうのは、多分、鏡返しで、アイドルはそばにいてほしい、応援してほしいって思ってるんじゃないかなって思ったんです。

うん、うん。

――すごく突っ込んだ話ですけど、物理的なVRアイドルの壁ってあるじゃないですか、そこにジレンマを感じることってあるんですか?ライブとかでお客さんと向き合ったり、生放送で向き合ったり、そういう時にあまり距離感は感じてない?

そうですね、あんまり感じないですね。やっぱライブしてるときに見えてるので、お客さんのことが。ペンライト何色にして、って言ったら変えてくれるし。「盛り上がってますかー」って言ったらペンライト「ウェーイ」って振ってくれる様子も見えるので、「今、みんなと一緒にライブできてる!」みたいな感じで。私は心の距離感はそんなに無いですね。


――もう一つの共通質問として、今回はそれぞれ自分以外のメンバーの印象を訊いていきたいと思っています。

おーっ!うわーっ、ドキドキするこれーっ!めっちゃ緊張しますね!

――じゃあ、鈴木あんずちゃんから。

あんず!えーっ……笑い上戸の、しっかり者!って感じです。MCとかライブの感想とか、大体あんずが最後になるんですけど、あんずが言う言葉ってすごい重みがあるので、ずっしりくるんです。そんなあんずは、1回ツボに入ると、ずっと笑ってるみたいな(笑)。 あんずを笑わせるのは楽しいなっていつも思ってます。

――では、白藤環ちゃん。

環!なんだろうなあ、環は、すごい、MCで引っ張ってくれる存在と言うか。MCじゃなくても、総合的に見て、えのぐを「行くよ!付いてこいよ!」って引っ張ってるような。環がいれば、環が「できるよ!」って言ったら、なんでもできる気がします。

――それ、グループにとって滅茶苦茶重要なポジションですね。では、夏目ハルちゃん。

ハルは、あんずとは違う支え方をしてくれる人。すごいおっちょこちょいでたまに何言ってるかわかんないんですけど(笑)。 ハモリとかはハルが担当してくれてて、そういう楽曲の面でも、3人が取っ散らかってるときに、ハルがシュッとまとめてくれることが多いんです。そういう意味では、支えてくれるなって。あだ名がハル姉なんですけど、本当にお姉さんみたいな感覚に思うときはあります。

――じゃあ、日向奈央自身はえのぐの中でどういう存在だと思います?

えーっ、何だろうなあ……。

――こういう存在でありたい、でもいいですけど。

こういう存在でありたいという部分だと、この新衣装「ステラ」をお披露目したときに、「ひなおは、歌とダンスでえのぐを引っ張っていきます」って宣言したんです。なのでこれからも歌とダンスでえのぐを、環とは違う引っ張り方をしていきたいなって思いますね。

――そんなえのぐですが、フルアルバムを遂に出すことになりました。念願の一枚ですよね。


そうですね。他のアーティストさんのアルバムが出るってなったら、「わー、買わなきゃ!」ってなるので、自分たちのアルバムが出るってなったときに「マジデスカー!」ってちょっとオタクの笑みがこぼれるみたいな感じはありますね(笑)。

――やっぱり「配信でリリース」っていうのと、「アルバムが出ます」っていうのは重みが違う?

ぜんぜん違いますね。アルバムは手元にモノとして残るし、ファンにとってすごい大事なものだと思うんです。そういうアイテムがえのぐにもできるって事がすごい嬉しいです。

――かなりオリジナル楽曲が増えてきたと思うんですが、思い入れがある曲ってあるんでしょうか。

私は「常夏パーティタイム」がめっちゃ好きなんですよ。去年のTOKYO IDOL FESTIVAL 2019(TIF2019)で初めてお披露目した曲で、初めてのTIF出演、しかもホットステージの一発目で出させていただいたんです。会場にえのぐを知ってる人が1~2割とかしかいなくて。

――そうですね、ちょっとアウェイだったのかもしれないですね。

はい、「常夏パーティタイム」はタオルを振り回してもらう曲なんですけど、最初は私達を知ってる人しかタオル振ってなかったのに、曲が進むにつれてタオルを振る人の数が増えていく光景は、本当に思い出に残っていますね。あと、この曲はオチサビを私が歌わせていただいているんですけど、そのときにみんなでケチャ(編集部注:ヲタ芸のひとつ、ライブ中にステージ上のアイドルに向かって手やペンライトを振って祈りをささげるような動作のこと)をしてくれて。「ヤバイ!ケチャしてくれてる!」みたいな。しかも、えのぐをしらない人も多い!?」みたいな。それはもうすっごい嬉しくて!

――僕らからすると、「TIF出てるの凄いな」って普通に思っちゃいましたからね。やっぱり特別な空間でしたか?

めっちゃ特別でした!

――あそこ出るのに、すごい高いハードル感じてるアイドルさんもいるだろうし。そこ出て変わるコたちもめっちゃいるからね。曲が伝わってる感はあったかな。

はい、たぶんあったのかなって思います。でも正直不安もあって、私達はVRアイドルだから、リアルのアイドルさんが好きな方は受け入れてくれないんじゃないかって。皆ケータイいじってたらどうしようってめっちゃ思ってたんですよ。

――あーそれは怖い……。

そう思ってたんですけど、みんなペンライト振ってくれたり、ジャンプしてくれてる人もいて……。TIFが終わったあとのツイッターでも「バーチャルアイドル、凄い時代だな」ってツイートしてくれてる人もいたんです。それからえのぐを知ってくれて、応援してくれてる人もいるんですよ! 本当に少しでも伝わって良かったなって。


――そしてアルバムに収録される最新曲「Dreamin’ World」拝聴しました。作詞作曲がi☆Risの若井友希さんが担当されています。凄くえのぐのことを見て描かれた曲だって感じがしたんです。

はい、ひなおの好きなフレーズで、「君の世界とリンクさせて」って歌詞があるんです。確かにえのぐはバーチャルの存在だけど、会場に来てくれてる人と一緒になって次元を超えてライブをしていると思ってるんです。「ここは今、みんな同じ次元だ!」みたいな感覚というか。そういうのを想像して「うわぁー!好きだなー!この曲!」って思っちゃうんです(笑)。 早くライブで歌いたいですね。

――今おっしゃった「君の世界とリンクさせて」って歌詞、えのぐのこれからのテーマでもあるのかなって思うんですよね。

そうですね。今、正直現地開催は難しいです。でも画面越しだと、私の感覚ではあまりライブ観てる気持ちにはならないというか。「今からライブ観ます!」っていうより「ライブDVDを観ます」みたいになっちゃうんですよね。でも現地開催ができるようになったら、がっちり心をリンクして、もうバチバチに楽しいライブやりたいなって今から楽しみなんです。

――確かに配信で映画観るのと、映画館で観るの違いますもんね。

はい、それぞれの良さがあると思うんですよ。現地開催って部分だと、安全にできるようになったらもっと一体感が生まれて良いライブができるんじゃないかなって。

――VRアイドルが「もっと一体感作れると思います」って言うのが、すごく希望を感じますね。

本当ですか!?

――この状況下って、人に会うのも難しいし、気軽にSNSとかでつながれるけど、本当の意味でつながるのは難しい気がしてるんです。でもそんな今、えのぐが「貴方とつながりたいんだ!」ってステージで叫んでいたのが凄く印象的だったんですよ。

本当ですか!?なんか嬉しいな(笑)。


――では、ありきたりな締めかもしれないですけど、えのぐはこれからどうなっていきたいですか?

ちょっと前に、「おしゃべりフェス」っていうイベントに参加させてもらって、1対1でファンの方とお話する機会があったんです。ファンの方の顔を見ながらZoomでお話したんですけど、その中の一人の方が「武道館」って書いてある背景を背負っていたんです。「えのぐに武道館連れてってもらいたいです!」って言ってくれたんですよ。そこから「みんなを武道館に連れていきたい」って思うようになりましたね。まずはそれが目標かな。

――VRアイドルの単独武道館公演は、多分、歴史に残りますね。

あはははは!

――どのアーティストにお話伺っても「武道館だけは特別な空間だ」って言いますね。力場があると言うか。

そうなんですか……わーっ……じゃあ早く立てるように、めっちゃ頑張ります!

――じゃあ、その目標に向かうえのぐの一員である日向奈央は、どういう存在になっていきたい?

んー……なんだろうなあ。やっぱり、歌とダンスは外せないかな。私、憧れてる言葉があって、「喉から音源」って言われるのにすごい憧れるんですよね……(笑)。

――喉からCD音源ってやつですね(笑)。

そうそう!そうやって言われてる人たちを見ると、生でもCDと変わらない歌をライブで提供できるってすごいなって思うんですよ。だから、えのぐの楽曲の中で、「ひなおは歌が一番うまいね」って言われたい。みんな上手い中で、その中でもダントツで上手いって言われるようになりたいです。

――本当の意味で、歌で引っ張りたい。

そうですね。今はダンスも、みんなよりちょっと出来てるぐらいだと思うんです。そうじゃなくて、本当にバッチバチに踊れるようになって、えのぐのことを引っ張っていきたいって思います。だからもっと自分をブラッシュアップ、磨き上げていきます!これからもえのぐを、日向奈央を見ていてほしいです!



インタビュー・文:加東岳史

当記事はSPICEの提供記事です。

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