年内解散総選挙に向け一気に動き出した与野党 野党は消費税減税を争点に据えよ

しらべぇ


「総選挙は10月25日にあると言われているが、実際は11月に行われる。創価学会・公明党もすでにそれに向けて動き出している」

山本太郎前参院議員が率いるれいわ新選組が4日に行った公認候補者発表の記者会見で、永田町を50年近く取材し、政界の裏の裏まで知り尽くす堀田喬カメラマンはこのように発言した。

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■野党共闘の条件は消費減税




れいわ新選組の公認候補発表は4月で止まっていた。コロナ禍が続き、都知事選があったためだ。この日、立てたのは、大阪の候補者1名と、都内候補者3名と千葉の候補者1名。

山本氏は冒頭で「今日は久しぶりの候補者お披露目ですが、再開したのは10月25日に総選挙があるともいわれているから」と解説。

「野党共闘の条件として、私たちは消費税5%への減税を主張しています。最後に(立憲民主党と)協議したときに、私は明文化するように主張しました」と語る。

しかし、「党内手続きがある…ということだったので、話は止まったまま。枝野幸男代表も選択肢として消費税減税か廃止を主張するようになった。私たちは共闘の条件を『消費税の廃止』にするようなことはしません。今でも消費税の5%への減税で一致しようと思っています」と主張した。


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■候補者は50名程度擁立


候補者について山本代表は、「当初は全国で100名ほどの擁立を考えていましたが、現在の状況を鑑みると50名程度の擁立になると思う」と説明。

その発言を受けて堀田カメラマンは11月に総選挙だからまだ時間はあると諭したのだ。同じく田中角栄が総裁選に出た頃から永田町を取材する記者は私にこうささやいた。

「選挙は冬だ。複数の筋から情報を得ている。安倍ちゃんも冬の選挙が好きだったが、菅義偉官房長官が首相になったら、冬に選挙を仕掛けてくる。間違いない」

■泉氏「提案型野党第一党めざす」




いつになるかは分からないが、年内総選挙に向けて、政界が動き出したのは間違いない。れいわ新選組の会見があった4日には立憲民主党・国民民主党・社会保障を立て直す会・無所属フォーラムの合流新党の代表選に2人が会見で出馬を表明した。

一つは国民民主党の泉健太政調会長であり、もう一人は本命と目される立憲民主党の枝野幸男代表の会見だ。

政調会長として合流新党の綱領・政策作りを担った泉氏は、「政権与党の監視は当然必要。しかし、(野党が)もっと政権構想を明らかにしなければならない」「一人一人が自由闊達に意見を述べる場があり、風通しの良い政党組織・党運営を実践していきたい」と主張。

また、「長期政権を許してきた大きな理由はまさに野党にある。実力が備わった野党でなくてはいけない。その第一歩が(私が掲げる)『提案型の野党第一党』であることだ」と決意を述べた。

■巨大野党誕生が政界に与える影響




枝野氏は会見で「(合流新党は)誰もが希望を持てる未来を国民とともにつくる政党になる」「すべての情熱と力を注ぎ、先頭に立って右でも左でもなく前へ進む」と説明。

「離合集散の歴史に終止符を打つとともに、一体となって国民生活の実態と向かい合い、寄り添っていくという政党文化をつくりあげます。政権の選択肢となり、政治に緊張感を取り戻すための不可欠な条件」と述べた。

合流新党に参加する国会議員は149名。これは2009年に政権交代を果たす前の勢力とほぼ同じ規模だ。数だけ見れば、政権を交代しうる体制になったと言える。自民党にとって脅威であることは言うまでもない。あとは国民から期待が集まるかだ。

■消費減税が与党との差別化に


泉、枝野の両氏は経済政策で目玉政策を提案している。泉氏は「コロナ収束までの消費税の凍結」を、枝野氏は「年収1,000万円程度までの中間層を中心に所得税の時限的な減免」「消費税の時限減税もしくは凍結」「貧困層への現金給付」の3つを掲げた。

ともに消費税減税・凍結を目玉に据える構えだ。れいわ新選組だけでなく、日本共産党も社民党も消費税の5%への減税を掲げる。とりわけ消費税減税という一点で野党が固まり、目玉政策とする。国民のウケもいいし、自民党との差別化になる。次期総選挙に向けた未来が見えてきた。

■石破茂元幹事長の秘策




同じ4日には自民党総裁選に挑戦する石破茂元幹事長の政策発表会見があった。石破氏をめぐっては興味深い動きがある。

安倍政権の元内閣官房参与でアベノミクスを牽引した経済ブレーンで、消費税増税に反対して辞任した藤井聡京都大学教授は会員制メルマガで、石破氏と1時間にわたって対談したことを明かし、次のように書いている。

「当方は、この総裁選における最大の争点はもちろん「消費減税」であると考えています。これまで石破氏には(ならびに、菅官房長官にも岸田政調会長にも)、何度も消費減税の必要性を解説して参りましたが、昨日ももちろん、その話題となりました。おりしも、石破氏は、『消費減税の検討も必要』と公言しておられます」


筆者は会見後、石破氏の経済ブレーンであり会見に同席した伊藤達也元金融相に直撃した。伊藤氏に「石破さんが消費税減税に前向きと言うことでは良いか」とズバリ聞いたところ、「そういう認識でかまわない」という発言を得た。

■石破氏の戦略に誤算も




自民党総裁選は、全国で党員による予備選挙が実施されることとなった。党員に根強い人気があるとみられていた石破氏だが、誤算もある。新聞社がポスト安倍にふさわしい人物として行った調査では、菅義偉官房長官が石破氏をリードしている。全国紙の自民党担当記者は語る。

「それまでの調査では石破氏が圧倒していただけあって、同陣営にとっては今回の調査はかなりショックだったようです。石破氏としては党員票で圧倒した勢いで国会議員にも浸透するという戦術でした。


党員票でも菅氏に差をつけられれば、来年の総裁選の芽もなくなってしまう。そこで、劣勢を挽回すべく、石破氏が消費税減税を旗印にする可能性も出てきた」

■次期総選挙の争点は消費税に


次期総選挙の争点が消費税減税となると予想するのは前出の堀田喬カメラマンだ。堀田氏はれいわ新選組会見後、山本氏に次のように諭した。

「3日の夕方にゲリラ的におこなった御茶ノ水駅前の街宣活動を私は遠くから見た。事前に一切告知していないのに、多くの人が足を止めた。私はあなたがまだ人気であると確信した。やはり、消費税廃止を前面に出していることが大きいんだと思う。野党の旗印を消費税減税にしようとする提案は間違っていない」

田中角栄首相からも可愛がられた超ベテランカメラマンが、その臭覚で消費税減税が有権者に浸透すると嗅ぎ取っているわけである。

■野党の進むべき道


しかも、石破氏が提案できても、自民党は掲げられない政策である。石破氏が「諸費税減税の検討」を口にしただけでも、自民党議員の圧倒的多数は猛反発する。そう考えれば、野党の進むべき道は自ずと明らかになろう。

消費減税もしくは凍結・廃止を前面に掲げて大同団結し、選挙の争点とする。コロナ禍で冷え切った消費を喚起するためにも、この主張は正当性がある。総選挙に向けて走り出した政界で、野党が賢明な旗印をかかげることを願う。

・合わせて読みたい→立憲離党の須藤元気参院議員が都知事選・山本太郎候補を応援 「積極財政で国に影響を」

(取材・文/及川健二

当記事はしらべぇの提供記事です。

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