街とアート特集:ギャラリー5選(東京編)

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古くから都市や街はときに歴史や属性として、またときに個との対比としてアートのモチーフとなってきた。「街/公」という歴史や概念に向き合い、新たな視点を示唆するアート作品は、見る者に気づかずに内在させていた自身のバイアスや、アイデンティティと向き合うきっかけを与えてくれる。パンデミックによって公共政策が力を持つと同時に、個々の行動規範が話題に上がることが多い今、アートを通じて改めて“公”と“個”との関係について考える特集。その第一弾は、東京のギャラリー5選(掲載はアルファベット順)。


約束の凝集 vol. 1 曽根裕|石器時代最後の夜(企画:長谷川新)展示風景gallery αM、2020年、撮影:守屋友樹

gallery αMhttps://gallery-alpham.com/東京・馬喰町は、多くのギャラリーが密集するアート好きなら一度は訪れたいエリア。その中にある「gallery αM(アルファエム)」は、武蔵野美術大学が運営する非営利ギャラリーだ。「ジャンルを問わず質の高い表現と可能性を有するアーティストに作品発表の機会を提供すること」とともに、「社会に斬新な価値を発信できるキュレーターに展示企画の場を提供すること」をコンセプトに掲げている「gallery αM」。毎年異なるゲストキュレーターが、ひとつのテーマで年間5~7回の展示をシリーズとして行なうユニークなスタイルをとっている。複数の展示を通して、根底に流れるキュレーターの視点や問題意識に深く向き合うことができる貴重な場だ。現在は、インディペンデントキュレーターの長谷川新による展示シリーズ「約束の凝集」の最初の展示、曽根裕の個展「石器時代最後の夜」を開催中。

<展示情報>「約束の凝集」 vol. 1 曽根裕|石器時代最後の夜2020年8月29日(土)-11月14日(土)

gallery αM(東京都千代田区東神田1-2-11アガタ竹澤ビルB1F)開廊時間: 火水木金土 13:00~20:00休廊: 日月祝

[caption id="attachment_100245" align="alignnone" width="650"]

Exif_JPEG_PICTURE[/caption]佐藤雅晴の個展「死神先生」の展示風景(撮影: KEN NAKAHASHI)

KEN NAKAHASHIhttps://kennakahashi.net/ja新宿三丁目駅から徒歩1分、ビルの5階にひっそりと佇むギャラリー。2014年に「matchbaco(マッチバコ)」の名で開廊し、2016年にギャラリストの名前を冠した「KEN NAKAHASHI」として再スタートした。森栄喜、エリック・スワーズ、松下まり子、佐藤雅晴、任航(レン・ハン)など、国内外の若手作家を中心に、絵画や写真、立体、メディアアートまで幅広い作品を取り扱う。展示スペースには大きな窓があり、そこから差し込む自然光が天候や時間帯によって作品の表情を様々に変えていく。外の並木の緑も美しい。生と死、性のあり方といった人間の根幹に迫るテーマを扱う展示が多いのが特徴的な「KEN NAKAHASHI」。東京・新宿の喧騒と隣り合わせにありながら、普段の生活から一歩離れて「人間とは何か」という根源的な問いに静かに向き合う時間を過ごせる場所だ。

<展覧会情報>森栄喜 個展「シボレス | 鼓動に合わせて目を瞬く」2020年8月5日(水) - 9月6日(日)

KEN NAKAHASHI (160-0022 東京都新宿区新宿3-1-32 新宿ビル2号館5階)開廊時間: 水木金 11:00~19:00、土日 11:00~17:00休廊: 月火※事前予約が必要 https://airrsv.net/kennakahashi/calendar



KOTARO NUKAGAhttps://www.kotaronukaga.com/天王洲アイルの運河沿いにある「TERRADA ART COMPLEX」は、ワインや美術作品やワインの保管を行う寺田倉庫が運営するアートコンプレックス。「KOTARO NUKAGA」はその一角で存在感を放つギャラリー。「一般化もしくは常識化された物事について、アートを通して改めて考えるきっかけを与えること、あるいはアートそのもののあり方について考える事」をギャラリーのビジョンとして掲げ、国内外の気鋭のアーティストを紹介する展示を行う。所属アーティストは、インカ・エッセンハイ、カルロス・ロロン、田窪恭治、ニール・ホッド、松山智一など。今年からは、ウェブサイト上でVRを用いたオンラインビューイングも提供している。天王洲は毎年開催されている「TOKYO ART BOOK FAIR」の会場となったり(今年はバーチャル空間での開催)、2018年に「建築倉庫ミュージアム」がリニューアルオープンしたりと、アートに特化したエリアとして近年注目を集めている。2020年9月には「TERRADA ART COMPLEX II」もオープン予定で、ますますこのエリアから目が離せない。

<展覧会情報>「UNLEASHED SPEED UNLEASHED SPEECH (MISFITS)」Curated By Stefan Brüggemann 2020年9月5日(土) -10月10日(土)

KOTARO NUKAGA(東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 3F)アーティスト: オリオール・ヴィラノヴァ(Oriol Vilanova)ジェイ・レヒシュタイナー (Jay Rechsteiner)ガーダー・アイダ・アイナーソン(Gardar Eide Einarsson)ステファン・ブルッゲマン(Stefan Brüggemann)

開廊時間: 火水木土 11:00~18:00、金 11:00~20:00休廊: 日月祝※開廊時間、入場制限等につきましては随時変更させて頂く可能性があります。


Installation view from "Released Scenic Space" at Tomio Koyama Gallery, Tokyo, 2020(C)︎Kishio Suga photo by Kenji Takahashi

小山登美夫ギャラリーhttp://tomiokoyamagallery.com/森美術館、国立新美術館、21_21 design sightなどアートスポットが豊富な六本木には、ギャラリーも多く集まっている。中でもコンテポラリーアートを紹介するギャラリーが複数入居するビル「complex665」は要チェックだ。その中のひとつ「小山登美夫ギャラリー」は、オノ・ヨーコ、菅木志雄、杉戸洋、トム・サックス、リチャード・タトルなどのビッグネームから若手作家まで、ジャンルにとらわれずに紹介。1996年に江東区佐賀町で開廊して以来、日本における現代アートの基盤となる潮流を創出し続けている。内装設計を手がけたのはムトカ建築事務所。アーチ型の天井や、木材、レンガ、コンクリートなど多様なテクスチャーを持つ素材のミックスにより、ホワイトキューブでありながらどこか温かみを感じる個性的な空間となっている。

<展覧会情報>菅木志雄 個展「放たれた景空」2020年8月19日(水)- 9月26日(土)

小山登美夫ギャラリー(東京都港区六本木6-5-24 complex665ビル2F)回廊時間: 11:00~19:00休廊: 日月祝


Photo by Norihiro Ueno. Courtesy of SCAI THE BATHHOUSE

SCAI THE BATHHOUSEhttps://www.scaithebathhouse.com/ja/多くの美術館が密集する上野からほど近く、都内でも有数の古い町並みを残す谷中エリア。その中にある「SCAI THE BATHHOUSE」は、約200年の歴史をもつ銭湯「柏湯」の建物を利用したギャラリーだ。李禹煥、森万里子、遠藤利克、赤瀬川原平など、現代美術のシーンを牽引してきたアーティストから、名和晃平やアピチャッポン・ウィーラセタクンなど次世代のアーティストまで、国内外問わず広く紹介している。自然光を活かした造りの広い展示スペースでは、大型の絵画や彫刻作品もゆったりと鑑賞できる。銭湯の趣をそのまま残した外観と、現代的な内装のコントラストも面白い。ウェブサイトのエリアガイドのページには、美術館や観光スポット、カフェや甘味処といったお店などがマップにまとめられており、上野・谷中の散策プラン作りに役立てられるのも嬉しい。

<展覧会情報>森万里子 個展「Central」2020年9月11日(金)-10月17日(土)

SCAI THE BATHHOUSE(東京都台東区谷中 6-1-23 柏湯跡)開廊時間:12:00 - 18:00休廊: 日月祝 ※展示替えの間は休廊※事前予約制

text Narika Niihara

当記事はNeoLの提供記事です。

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