またあなたに会えますように・・・岡宮来夢「世界文化遺産 比叡山延暦寺ライブ2020」レポート


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2020年8月29日(土)に俳優の岡宮来夢(おかみやくるむ)による朗読+ライブイベント「世界文化遺産 比叡山延暦寺ライブ2020」が行われた。当日、Twitterには「#比叡山延暦寺ライブ2020」がトレンド入りを果たしており、何事かと驚いた方も多かっただろう。ご覧になった方の中には、なんだかとんでもないものを観た・・・そんな感触が残る、1日限りの特別な公演の一部をレポートする。

岡宮来夢は、1998年4月23日生まれの22歳。2019年秋に上演されたミュージカル『刀剣乱舞』~葵咲本紀~の鶴丸国永役に抜擢。経験は浅いながらも、頼もしさを感じる力強い芝居と可能性に満ちた魅力的な歌声で一躍注目を浴びた。

本イベントは、そんな岡宮が、ファンや日頃の活動を支えてくれている方へ「感謝」を形にすべく、企画された。しかも、舞台は世界遺産にもなっている比叡山延暦寺。あまりのスケールの大きさに、話を聞いた時は正直ちょっと意味がよく分からなかった。

イベントは、朗読とライブの二部構成。配信は、朗読「炎の暁に刻の思いをはぜる」から始まった。赤く傾いた衣裳に、顔や手には隈取のような化粧がほどこされた姿で登場した岡宮。おごそかに輝く仏像を背に、彼は自らのことを“猿(えん)”と名乗った。そこは「猿ノ間」だという。

昼は「東塔にある猿ノ間」、夜は「阿弥陀堂にある猿の間」・・・視聴者は、いつの間にか普通の人間には見えないはずの間に迷い込んでしまったようだ。“この地に仕える者”と称した猿は、自分を「ここから出られない、いや役目を果たすためには出てはいけない」存在なのだという。
「こうして俺と出会ったのも何かの必然たる縁(えにし)。せっかくですから、少しだけ俺の語りを聞いていってください」
そう言って彼は、炎に翻弄され続けた比叡山延暦寺の物語を語り始めた・・・。

物語の中に登場する、名だたる武将たちを“朗読”として演じ分けていく猿(岡宮)。「織田信長」を演じる第一声が、ビィーンとお堂の中に響く。思わず畏怖の念を抱かずにはいられない、有無を言わせぬ迫力。そして、時に「豊臣秀吉」「明智光秀」と演じ分けながら、“猿”として比叡山延暦寺の記憶をたどっていく。

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そして、もう一編。昼公演では「猿が語る夢綴り ―楽―」、夜公演では「猿が語る夢綴り ―哀―」を読んだ。こちらは、ある女性と、ある男の淡い恋の物語。なぜ“楽”なのか、なぜ“哀”なのか。それぞれの物語の違いをなぞっていくと、猿が手に持つ煙管や、昼夜でほんの少し変化のあった風貌、そして岡宮の表現の変化が一気に物語るようになる。

岡宮の芝居を見ていると、末恐ろしさを感じる。もちろん経験は少ない。ただ、彼は爆速と言っていいほど早く進化を遂げている。この日の昼夜公演でも、その爆速ぶりが際立った。“猿”という、夢と現の狭間のような存在を持ち前の透明感でさらりと演じて見せるだけでなく、いつか「織田信長」や「豊臣秀吉」「明智光秀」を演じている姿が観たいという欲を駆り立てるのだ。

ライブパートでは、「Wherever you are」「Don't tell me lies」「Breath of memories(昼)」/「朔を見る(夜)」「親愛なる君に」「ソライロ」の5曲を熱唱。すべてオリジナル曲で、さわやかなダンスナンバーから、カメラワーク抜群のラップ、あたたかみのある岡宮の声をこれでもかと堪能できるラインナップとなっていた。

中でも、「親愛なる君に」は自分で作詞をした楽曲だそうで、友人とのエピソードから書いた“ちょっとキツいくらいが俺たちにはちょうどいい”という歌詞は、等身大の彼を感じさせる非常にいい仕上がり。また、前半の朗読パートの流れからそれぞれの曲が物語に沿ったもののように感じてしまう一面も。これは、俳優が歌うおもしろさの一つだ。

ライブでは、岡宮の素が見られるのも魅力。昼公演では、特注のイヤモニ(イヤーモニター)を自慢したり、衣裳の一部が脱げてしまって慌てふためいたり、「いつか話そうと思っていた」という彼の学生生活のエピソードが語られたり。夜公演は、お堂の扉が開かれ外で歌った。あることから一部をアカペラで披露するなど、昼公演とはまた違った“レア”な瞬間も生まれた。

「自らをスーパーポジティブ人間」だと言った岡宮。それでも、このコロナ禍で悔しい思いをたくさんしただろう。この日の晴れ姿だって、たくさんのファンの前で披露したかったかもしれない。それでも彼は、明るく、向上心に満ちた力強い言葉で、ファンへの感謝の気持ちを語った。最後に「ありがとう比叡山!!」と叫んだ岡宮の姿は、達成感に満ちあふれていた。

朗読パートの最後は、鶸萌黄色の目で優しくこちらを見つめながら、“猿”はこう言っていた。
「また会えますように――」

さっそく、約束は果たされる。イープラス「Streaming+」で、9月12日(土)に昼の部、9月13日(日)に夜の部をライブ配信することが決まった。再ライブ配信では、特典としてライブ終了後の岡宮を直撃したインタビュー動画がついてくるだけでなく、当日は「チャット」に岡宮自身が現れる予定だ。

興味がある方は、ぜひ昼夜どちらもご覧になることをおすすめする。イベント公演だが、一つの“演劇”作品としての魅力がつまっているだけでなく、幕間にはよく晴れた滋賀の空を眺めることができる。特に夜は、暮れゆく時の流れが美しい。こんなにゆっくり、空を眺めたことは最近なかった。岡宮来夢という新星への期待を噛み締められる、とてもいい時間だった。

◆岡宮来夢『世界文化遺産 比叡山延暦寺ライブ2020』再ライブ配信

【配信元】イープラス「Streaming+」
【昼の部】9月12日(土)20:00~
【夜の部】9月13日(日)20:00~

(取材・文/エンタステージ編集部 1号 写真/オフィシャル提供)

当記事はエンタステージの提供記事です。

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