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三十路すぎの独女を追いつめる言葉……「ずっと独身でいるつもり?」 ♯6

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結婚式に参列して花嫁の美しいドレスを見るたび、「次は私の番よ!」と心に誓うという人も、「いつかはしてみたいけど、まだいいかな」もしくは、「結婚はしたくない!」と思っている人も……。2016年11月に急逝した雨宮まみさんのエッセイ『ずっと独身でいるつもり?』(KKベストセラーズ)を読んで、今一度、自分の結婚観について思いをめぐらせてみてはいかが?

■ 流行語「こじらせ女子」の生みの親

【本棚ダイアリー】vol. 6

私がライターの雨宮まみさんを知ったのは、デビュー作の自伝的エッセイ『女子をこじらせて』(幻冬舎文庫)を読んだときでした。そこにつづられていたのは、AVライターとして性産業界を見つめながら、女性であることを楽しめず、つねに生きづらさを抱えてきた女性の半生と魂の叫び。ものすごく共感できる部分と、「そこまで深く考えなくてもよいのでは?」「もっとラクに生きたらいいのに!」という気持ちが混ざり合って、心がざわざわしたことを覚えています。同時に、「こんなに赤裸々に自分の内部を描けるなんて……。すごい書き手が現れたぞ!」と、同業者としては嫉妬すら覚えたのでした。

2013年には、その本から派生した「こじらせ女子」という言葉が流行語大賞にノミネート。その言葉とともに彼女自身も一躍、時の人になりました。今回紹介するエッセイ集『ずっと独身でいるつもり?』は、2012年7月から2013年8月までウェブで連載していたもの。つまり、「こじらせ女子」ムーブメントど真ん中の時期に執筆された文章なのです。テーマは「結婚」。30代独身女性のリアルが満載です。

まえがきは、こんな一文から始まります。

独身で三十歳を過ぎた人間に、投げかけられる言葉は決まっています。「あの人、なんで独身なんだろうね?」「あの人、だから独身なんだよ」大きく分けてこの二つです。本人が結婚したいと思っているかどうかにかかわらず、いいトシになって結婚をしていなければ、一度や二度は言われる、いや一度耳にしたことがあるならば、陰で三十回は言われているであろう言葉がこれです。

冒頭から雨宮節、さく裂です。誰しも他人に対して思ったことがあるでしょうし、私自身、陰できっと言われただろう言葉だからこそ、余計にグサグサと胸に突き刺さります。本編では、過去の恋愛やお見合い体験を振り返り、うまくいかなかった原因や結婚に至らなかった理由(性格の不一致だったり、恋より仕事という姿勢だったり、住む場所だったり)を冷静に分析しています。それらは雨宮さん個人の問題のようであり、ひも解けば、日本社会が抱えている問題でもあるのでした。

ひとつのトピックス(ページタイトル)について数ページの短い文章で構成されているので、気になるページから読むことができるのも嬉しいです。少しだけ、トピックスをご紹介しましょう。

・「独身慣れ」したら結婚は遠のく?・甘え下手が結婚を遠ざける?・結婚しないと寂しくて死ぬ?・「本当にその人と結婚がしたいの?」・期日を決めると結婚できる?・真面目な女は結婚できない?・「いつか」を目指して生きない・クリスマスに思うこと・幸せという名の暴力

いかがでしょう? これらを読むだけでもドキッとしませんか。

■ 婚活の迷路をさまよう女性の本音

私が「超絶あるあるだ!」と思ったのは、「これをすると結婚できない」(P.160)です。女子会ばかりしているのはNGとか、仕事に夢中になりすぎているとか、猫を飼うと男を遠ざける、など。「○○だから結婚できないんだよ」と、主に既婚者から放たれるアドバイスという名のお節介の数々……。雨宮さんは「一抹の真実はある」と記しつつも、細かい禁止事項ばかりを積み重ねていては不自由になるばかりと断言しています。

また、「自由に生きるのはいけないこと?」(P.171)では、ツイッター上の「タバコを吸う女性は、チャンスを自分から減らしているのに気づいていないんだろうか(中略)」という文章に、「そんなことを言うような男には愛してもらわなくて結構、対象外だと思ってくれて結構。金輪際私には近づかないでくれ」と噛みつきます。

固定観念に縛られまくった世論や、「こうすればモテる」「こうすれば結婚できる」といった恋愛ハウツー系の教訓に対し、しなやかに異論を唱えるのです。とはいえ、「これだから男ってダメよねー」「女たちよ、立ち上がれ!」といった直球のフェミニズムではなく、男性目線で物事を決めなければいけない風潮に不自由を感じている女性たちに寄り添うような優しいスタンスです。それは婚活迷路をさまよいながら、自分なりの正解を探しつづけたひとりの女性の本音であり、「幸せになりたい」と願うすべての女性を勇気づけるメッセージでもあるのでした。

先にも書きましたが、この本を読めば「恋がうまくいく」とか「結婚できるよ」といったハウツー系の内容ではありません。ただし、自分自身が本当に結婚したいのか、したくないのか、また結婚するならどんな相手がいいのか、自分自身の「幸せ」の基準とは何なのか、将来的にどんな自分になりたいのか……。そういったことを心に問いかけるきっかけになる本だと思います。「女子をこじらせている」自覚がある人や、婚活に疲れてしまったという人は共感の嵐かも!

もう雨宮さんの新作を読むことはできないけれど、彼女が遺してくれた優しい言葉を抱きしめるように、私もときどき読み返したいと思います。

■ Iformation

『ずっと独身でいるつもり?』(KKベストセラーズ)¥1150+税

(C)kaipong/Gettyimages(C)stanze/Pixabay(C)mictian/Gettyimages(C)Say-Cheese/Gettyimages

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