最新ニュース、芸能、ネットの話題をまとめ読み

 

“男の娘”たちの輝き──性欲を超えた嗜好の快楽を見た「おちんコス感謝祭」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 そこは、リビドーの甘い香りが優しく包み込む空間。11月23日、勤労感謝の祝日の午後。五反田のオフィス街の地下にある写真スタジオ。アニソンとリンクした映像がチカチカと煌めく中には、男の子と男の娘……。そう、可愛いのは、決して女の子だけの特権とは限らない。ここは、それに気づいた幸せな人たちが集まる場所なのだ。

同人サークル「おちんコス」。それは、現代におけるひとつの最先端。「おちんちん+コスプレ」を意味する新しいキーワードは、ジワジワと世間に溶け込んでいる。ちょっと検索すれば、見つかるのはTwitterの公式アカウントとダウンロード販売サイト。サイトの更新は頻繁。

『けもみみ男の娘のエッチな発情』『男だがしかし…』『おちんぽ白濁魔女のぎりぎりオナニー』。サイトまで見てしまったら、大半の人は、いつの間にかいくつかのタイトルをカートにいれて、クレジットカードの番号を入力しているはず。コスプレエッチを扱う動画タイトルも、ずいぶんと増えた。男の娘だって同様だ。でも、コスプレと男の娘を組み合わせ、その路線をストイックに追求しているのは、今のところは「おちんコス」だけ。絶えずニュータイトルがリリースされるのは「出演したい」と連絡してくる男の娘が絶えないから。

「連絡してきても、実際に撮影にまで至るのは10人のうち1人くらい」

制作者のりゅうちんは、ディスカッションから撮影、編集、そして、男優までを、ただ一人でこなしている。そこまで情熱を燃やすことができるのは、男の娘の魅力に完全に取り憑かれているから。だから「自分のアナニーを撮影してほしい」「ハメられたい」、はたまた「女装レズを撮影されたい」という男の娘たちの願望を、少しでも実現しようと励んでいる。タイトルが評価され、売れることはもちろんうれしい。でも、それ以上に自身が男の娘と出会うこと、そして、男の娘の魅力に目覚める男の子が増えることが、彼にとっての至上の快楽。

そんな同人サークルが、勤労を感謝する日に初めて開いた「おちんコス感謝祭」。それは、男の娘と男の子たちのための解放区。エレベーターを降りて、一歩入ったスタジオにあったのは、なんの枠も枷もない世界。そこにいる人々は、驚くほどに紳士で淑女。リビドーの香りの中で、各々が撮影にダンスにと楽しんでいるというわけだ。

プロのメイクさんも待機して、いつも以上に可愛くなれる男の娘。その男の娘の姿も多種多様。完全に女の子みたいになっているコもいれば、男っぽさを漂わせるコも。でも、そこに優劣なんてない。可愛さというものは多種多様。男の娘を愛でることができる人は、そのことをよく知っている。可愛いのは、女の子に近いからだけじゃない。そこを目指して、なりかけのコ。すなわち、まだメイクや仕草が甘いコの独特の可愛さ。明らかな男っぽさが消せないからこその色気。どれもが、違った美味しさに充ち満ちている。だから、そこには枷がない。

何よりも、男の娘の可愛さというものは、なりたい努力から滲み出てくるものなのだ。ふと、アニソンに身体を揺らしていた、ひときわ目立つ可愛いコに喫煙所で声をかけてみた。「どのタイトルに出ているの?」てっきり、どれかに出演しているコだろうと思い聞いてみた。アイコスを咥える姿もセクシーな、そのコは少し照れ笑いをしながら言う。

「私、出演はしていないんです……」

でも、身にまとうのは、こうしたイベントに慣れ親しんでいる雰囲気。それが気になって、あれこれと尋ねてみる。B面……すなわち、女装していない時のこととか、目覚めのきっかけとか。

「普段はフツーに会社員だけど。週の半分くらいは女装しているし、男の姿で会社に行くときにスイッチをオンにしている感じかな」

これは、少々意外な回答。てっきり、男の娘というものは衣服を身につけた時や化粧をした時に、心の中でスイッチをオンにするものだと思っていた。でも、その正反対ということは、男の娘であることが基本のライン。なるほど、その屹立が、このコの可愛さを生み出しているのか。でも、なぜそこまで確固たるものができたのだろう。話していると、そのセクシーな唇から、こんな言葉がポツリと。

「出演してないんだけど、撮影はしてもらったんです。プライベートAVみたいな感じに」

リリースはしないけど撮影された幻の「おちんコス」タイトル。ただ一度、彼女も参加したイベントでだけ上映する機会があった。今のところ、生涯一度だけの、自分がセックスしている映像の披露。それは文字通り、顔から火が出るような恥ずかしい時間だった。でも、観客からは大好評だった。さまざまな映像を持ち寄って投票するという、そのイベント。彼女のタイトルは2位となった。

「帰りの電車の中で高揚感が止まりませんでした。何者にもなれなかった自分が、何かになれた気がして……」

偶然の決意が、彼女に確固たる芯をつくったのか。でも、なぜ撮影してもらおうと思ったんです? 返ってきたのは、これまた意外な言葉。

「30歳を前に……20代最後の思い出にと思って」

そんな言葉を聞いたときに、相手が返すことができるのは「すごく若く見えますね」という一言くらい。でも、それはお世辞やおべんちゃらの類いではない。実際に彼女の肌は、瑞々しく輝いていた。決してセクシーな衣装を身につけているわけではない。でも、何かが輝いている彼女の存在は、語っていた。

<男の娘というものは、誰かが技術を用いてなれるものじゃない。本人の意志によって生まれるものなのだ。>

いわば「なりたいものになれる」を実現したのが男の娘たち。では、そんな彼女らに魅了されている男の子は、何を求めているか。高揚している男の娘たちに比べて、彼らはどこか控えめな印象。誰彼となく話しかけたりすることもなく、その場にいることだけで満足しているようにも見える。

会場にいた、以前にも出会ったことのある、出演タイトルが人気の男の娘、ちびとり嬢や朝日みくる嬢。エッチなお店にも出勤している彼女らに、出演作を見て来るお客さんが多いのか尋ねてみる。答えは2人とも同じ。

「そういう人もいるけど。そうじゃない人が多いかな」

余計に興味を惹かれる言葉。ならば直に聞いてみないといけない。会場に、勝新太郎のTシャツが目立つ、とても満足げな顔をしていた男性に声をかけてみた。彼の男の娘の目覚めは「いがらしゆみこの息子さん」だという。

「まだまだ自分は研究中なんですけど。可愛ければ男でもいいんじゃないかと思っています」

このイベントを知ったのも、Twitterで可愛い男の娘をフォローしていたら、タイムラインで告知が流れてきたから。直接的な性欲よりも、可愛いコを愛でたいという素朴な欲求の中に、男の娘という新たなジャンルが加わったということか。

ほかにも幾人かと話をしてみたけれど、多くの男の子が求めているのは、個人的な関係性や性的な欲求よりも、可愛さ。だから、さまざまな魅力を放つ男の娘と、同じ場にいるだけでクラクラするほど楽しいというわけだ。

でも、ずっとそうだろうか。彼らもふと、さらに先にある楽しい世界を見てみたいと思う機会に遭遇するだろう。でも、彼らのスタンスは変わらないだろう。男の娘とは、決してギラギラと欲望のまなざしを向ける存在ではない。多くの人にとって男の娘は「なりたい自分」を追求する存在。憧れであり尊敬の対象。そして、自身の世界を拡張させてくれる依り代。

無数のまなざしは、男の娘をより魅力的に輝かせる。とめどもなく広がっていく世界。誰が、その魅力に抗うことができようか。
(取材・文=昼間たかし)

【出展情報】
コミックマーケット3日目 東Y47b
詳細はTwitter(@otocosfeti)にて
https://twitter.com/otocosfeti

外部リンク(日刊サイゾー)

Yomerumoをフォローする

Yomerumoから人気記事をお知らせします!

Twitter

ライフ最新記事

記事一覧

注目ニュース

> もっと見る


掲載情報の著作権はニュース提供元企業等またはGMOアドマーケティング株式会社に帰属します。記事の無断転用を禁じます。
すべての人にインターネット
関連サービス