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第64回<怪獣ブーム50周年企画 PART-10>『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』

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●「怪獣ブーム」とは
 今から51年前の1966年1月2日、記念すべきウルトラシリーズの第1作目『ウルトラQ』が放送を開始した。『鉄腕アトム』や『鉄人28号』などのアニメを見ていた子供達は、一斉に怪獣の虜となった。すでにゴジラ映画は6本を数え、前年の1965年にはガメラがデビューした。『ウルトラQ』終了後、これに拍車を掛けたのが同時期に始まった『ウルトラマン』と『マグマ大使』。見た事もない巨人が大怪獣を退治していく雄姿に、日本中の子供達のパッションがマックスで弾けた。
 これに触発された東映も『キャプテンウルトラ』『ジャイアントロボ』『仮面の忍者赤影』と次々に怪獣の登場する番組を制作。大映はガメラのシリーズ化に併せて『大魔神』を発表し、日活と松竹も大手の意地を見せて参戦した。そして少年誌はこぞって怪獣特集記事を組み、怪獣関連の出版物や玩具が記録的セールスを計上した。これは「怪獣ブーム」と呼ばれる社会現象となり、『ウルトラセブン』が終了する1968年まで続いた。
 ちなみに『帰ってきたウルトラマン』『仮面ライダー』が始まる1971年から1974年にかけて再ブームを起こすが、これは「第二次怪獣ブーム」(「変身ブーム」ともいう)と呼ばれ、最初のブームは「第一次怪獣ブーム」として厳密に区別されている。

◆◆◆

『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』
1967年・東宝・86分
監督/福田純
脚本/関沢新一、斯波一絵
出演/高島忠夫、久保明、前田美波里、平田昭彦ほか

先月の11月12日、『シン・ゴジラ』地上波初放送を記念した特番『ゴジラ総選挙』が、当日の昼に放送された。ゴジラ映画に登場したゴジラ以外の怪獣の人気ランキングを、ファン1万人の投票で決めようというのだ。その結果、栄えある1位には女子人気も高いモスラが選ばれた。筆者のイチオシ、キングギドラは惜しくも2位だったが、他の順位に波乱が起きた。筆者が上位に予想したヘドラ(結果は10位)、ガイガン(9位)、メカゴジラ(5位)を抑えて、なんと4位はミニラ! AKB総選挙なら、ガチャピン似で有名かつミニラにも似ているとネット上で評判の峯岸みなみが4位になるようなものだ。
 筆者の少年時代、私も友人も「これはないよ」とミニラを毛嫌いした。キョロッとした目玉、父っちゃん坊やみたいな姿がとにかくキモかった。これが今、不思議と同世代の多くが存在を認めている。筆者も50歳過ぎてからミニラの関連グッズを集めるようになった。でもミニラがヘドラやメカゴジラより人気あるとは、やっぱり納得いかんなあ~(笑)。とにかくミニラは今年12月16日(67年の公開初日)で生誕50年を迎える。総選挙4位を祝して、怪獣ブーム2年目のクリスマス・シーズンを担った作品を解説しよう。

『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』上映当時のパンフレット ※筆者私物

舞台は、国連が秘密裏に進める気象コントロール実験が行われている南洋のゾルゲル島(ロケ地はグアム島)。気温40度近い常夏の島を真冬に変えようというのだが、島では隊員達が「妨害エネルギー」と呼ぶ謎の電波が観測され、ゾウより大きなカマキリも生息している。そんな島で1か月以上暮らしてきた古川隊員(ガス人間やX星人など、怪しい役をやらせたらピタリとハマる土屋嘉男)はノイローゼ気味だ。

ある日、雑用係のフリー記者・伍郎(久保明)は、入江で泳ぐ原住民らしき娘(撮影時18、9の前田美波里)を目撃。夕食時に報告して保護を訴えるが、隊員達は誰も信じようとせず、翌日お構いなしに実験開始。だが例の妨害電波が発生し、遠隔操作が効かなくなった合成放射能ゾンデが爆発を起こし気温は70度に急上昇。翌朝までに気温は下がるが、急激な異常高温と放射能により、大カマキリはゴジラサイズ(50メートル)に巨大化してしまう。

伍郎が名付けたカマキラスは3匹いて、妨害電波が出ている辺りを鎌で掘り、埋まっていた巨大な卵を突いて割ると、中から不気味な怪獣が転げ出てくる。伍郎「あれはゴジラの赤ん坊じゃないか?」。全然ゴジラに見えないけど(笑)。カマキラス達が這い這いしているミニラ(人形)の背中を鎌でガシガシ突ついて虐めていると、突然「ザバ~ッ」と海からゴジラ出現! 2匹のカマキラスが放射能白熱光で殺され、残る1匹は慌てて飛んで逃げる。妨害電波の正体はミニラが親を呼ぶテレパシーだったのだ。

ソノシート(朝日ソノラマ) ※筆者私物

巣が決まり、そこで身長18メートルに成長したミニラは、パパゴジラの特訓を受ける。まず十八番の放射能白熱光をゴジラが手本を示す。だがミニラが吐いてみると、「ポポポポ」と煙草で作る輪っかみたいな放射能。ここは語り継がれる迷シーンだ。

やがて伍郎は、例の娘の隠れ家である洞窟を発見する。娘は涼しい洞窟にいたため、実験失敗の高温に耐えられたのだ。娘はゾルゲル島で調査中に亡くなった考古学者の遺児サエコで、7年間も1人で生き延びてきたと聞き驚く隊員達。

サエコの洞窟を臨時基地として使わせてもらう一行だが、熱病に罹った古川が「帰る! 帰るんだあ!」と錯乱して発砲。これが博士の腕に被弾する。限界を悟った博士は撤退を決めるが、今度は45メートルもある蜘蛛の怪獣クモンガがワシャワシャと谷底から這い上がってきて、ミニラと洞窟の真上で戦い始める。洞窟崩落の危機に博士は、こうなったら怪獣どもを凍らせてしまおうと一か八か実験を再開する。

『週刊少年マガジン』1967年11月19日号(講談社) ※筆者私物

地上では、ミニラもカマキラスもクモンガの吐く糸でグルグル巻きにされている。クモンガは口から毒針を出し入れしてミニラを狙う! ここでゴジラが登場し、クモンガとの凄惨な死闘が展開する。そこへ雪が降り出す。海へ脱出するゴムボートの中で、土壇場での実験成功に古川が感涙して「博士......」。古川に撃たれた博士が無言でウンウンと頷く。この2人のやり取りは、怪獣映画でも人間ドラマをおろそかにしない隠れた名シーンだ。

猛吹雪の中、クモンガを倒したゴジラ親子は巣へ帰ろうとするが、ミニラは雪中に何度も倒れ込み、やがて動けなくなる(すごく可哀そう)。空を見上げ「ギャオオ~ン(訳・何じゃこりゃ~!)と吠えたゴジラは、ミニラに歩み寄り優しく胸に抱く。ミニラもヒシとゴジラにしがみ付く。抱き合う親子に雪がシンシン積もり、1つの巨大な雪ダルマとなっていく......。ところでママゴジラはどこ?

『週刊少年キング』1967年12月24日号(少年画報社) ※筆者私物

巨大な怪獣と人間を同画面で見せる大胆なカットが多用され、これが効果的にスクリーン映えした。カマキラスとクモンガは、ピアノ線に吊られた手足を動かす「操演」と呼ばれる大掛かりなマリオネット。5メートルもあるクモンガは20人で動かしたそうだ。これが実に面白い動きを生み、日本のアナログ特撮の頂きを見せつけた。

そして、チョコマカとした絶妙な動きでミニラを好演したのは「小人のマーチャン」という芸名の俳優。『ゴジラ総選挙』での話。番組にゴジラ有識者として出演した友人のなべやかん君は、専門書にも載っていない超絶なウンチクを披露したが、一般視聴者には理解できないので放送ではほとんどカットされた(笑)。また共演者の釈由美子さん(『ゴジラ×メカゴジラ』主演)から「ミニラにはどなたが入っていたのですか?」と聞かれたやかん君は、「小人のマーチャンです」と普通に答えた。もちろんこの件も、オンエアされなかった事は言うまでもない。

(文/天野ミチヒロ)

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