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夫死亡の相続で妻を襲った不幸…子のためにつくった子名義の銀行口座で大トラブル!

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 元国税局職員さんきゅう倉田です。好きな土地の評価方法は「路線価方式」です。

確定申告には、所得税、法人税、消費税、相続税、贈与税とあります。それぞれ、税務調査をする部門が異なります。僕が在籍していたのは法人課税部門なので、確定申告書でいうと、法人税と消費税が担当でした。確定申告がない税目もありますので、担当税目はほかにもありますが、申告書を閲覧するのはその2つになります。

今回は、基本的にはお金持ちしか確定申告をしない相続税に関する調査事案を紹介します。

相続税法の改正で2015年から、基礎控除(相続税を払わなくていい金額)が下がり、相続税の確定申告をする方が増えました。15年中に亡くなられた方は約25万3000人おり、このうち相続税の対象となった方は約3万2000人でした。割合としては12.7%で、前年は7.5%だったので5.2ポイント増加しています。

相続人(基礎控除額以上の財産をもらった人で、相続税の確定申告をした人)の数は14年の4万4114人から7万3046人へと1.7倍になり、相続税額は6514億円から7615億円へと1.2倍になりました。つまり、今まで相続税と関係なかった人たちにも、相続税の確定申告義務が発生し、税務調査が行われる可能性が生まれたのです。

【税務調査】

今回の紹介する調査は、朝10時から被相続人の自宅で行いました。調査官は2名で、立会は相続人である妻、子2人、税理士です。挨拶を済ませ、仏壇に案内してほしい旨を伝え、手を合わせて線香をあげてから調査を始めました。

世間話をし、亡くなったご主人の経歴、趣味、人間関係をそれとなく確認します。たとえば、趣味が高価な物品の購入を伴う場合、相続財産として漏れている可能性があります。愛人がいれば、そちらに財産を残していることも考えられます。そういったことを、資料を確認する前に、警戒されないように聞き出します。今回は、そういったことはないようでした。

1時間ほど話し、相続財産となった土地の権利証や預金通帳、生命保険金を確認しました。そこで提出された預金通帳は2冊。それ以外に通帳がないか、相続人全員に確認しましたが、ないとのことです。亡くなったご主人の通帳と印章の保管場所は、居間のたんすの中ということなので、居間を確認させてもらいたいと頼みました。しかし、妻は、預金通帳はすべて提出していると主張し、渋り続けます。税理士も嫌がっていましたが、調査官二人で説得し、確認することができました。

案の定、たんすの中には定期預金の通帳が2冊ありました。名義は子供のものでした。1000万円ずつある定期預金について妻に確認すると、ご主人が生前子供のために残したものということでした。しかし、子供はすでにこの家を出ており、管理しているのは亡くなった被相続人と考えられます。

税理士の顔を見ると、バツの悪そうな表情でした。税理士は、名義ではなく実際の預金の保有者がご主人であれば相続財産に含まれると説明し、妻は追徴税が発生することを予期して、「どうしよう」とか「まいったわ」と独り言を言っていました。しかし、それだけでは終わりません。亡くなる2年前に、被相続人の預金から500万円の引き出しがありました。これについて妻と子に確認すると、「知らない」と言います。これは宿題にして、この日の調査を終えることにしました。

【税理士からの連絡】

1週間後、税理士から税務署へ電話がありました。預金から引き出した500万円は、子の住宅取得資金として贈与したもので、もうひとりの子に隠していたので調査時には言えなかったようでした。贈与税の申告もしておらず、定期預金2000万円分の相続税の修正申告と合わせて、贈与税の確定申告をすることになりました。申告期限を過ぎていますので、無申告加算税や延滞税が賦課されました。

【ポイント】

今回のように、名義が亡くなった人のものではない口座の預金も、その保管方法や管理によっては相続財産に含まれます。相続時に税理士から確認があるはずなのですが、すべての税理士が相続に慣れているわけではないので、自身で知識を身につける必要があります。

また、年間110万円以上の贈与には贈与税の申告が必要です。住宅資金であれば、特例を使って非課税とする方法もありますし、貸付金にして数年かけて返済していくこともできます。無申告であれば、どちらも選択できませんので、大きなお金を移動させるときは、税法を確認しましょう。
(文=さんきゅう倉田/元国税職員、お笑い芸人)

●さんきゅう倉田
大学卒業後、国税専門官試験を受けて合格し国税庁職員として東京国税局に入庁。法人税の調査などを行った。退職後、NSC東京校に入学し、現在お笑い芸人として活躍中。

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