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昏睡状態の人と対話する「コーマワーク」を使って自分の身体の声に気づく方法

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ある日、突然に自分が「昏睡状態になる」ということを想像したときはありますか?

縁起でもない言い方かもしれませんが、人間の致死率は100%。これを覆した人は未だかつて存在しません。そして「そのとき」は年齢に関わらず訪れます。

死へのプロセスを歩み始めるときの状況は様々ですが、だんだんに言葉を発することが少なくなり、刺激に対する反応も鈍くなる、意識があるのかないのか判別ができない…。そんな「昏睡状態=コーマ」を段階的に経て、意識の「あわい」をたゆたいながらあの世へと移行していく…、というのは誰もが自身の未来に体験し得ることです。また、自分の近しい人がそのような状況に陥ることを経験した人も多いでしょう。

実は、そのような状況で「昏睡状態の人とコミュニケーションをとる手法がある」と言ったらあなたは驚きますか?

もちろん、健常者のような言語的なコミュニケーションではありません。しかし、その手法を多くの人が知っていれば、私たちが最期を迎える瞬間まで人としての意識的な交流を持てる可能性があるのです。

今回は擬似的なコーマ体験で、ご自身の身体意識とのコミュニケーションを活性し、人生の味わいを豊かにする方法をお伝えします。

この文章を目にしている時点で、もちろん昏睡状態である人はいないわけですが、「もし、仮に、自分が昏睡状態だったら?」という想像力を働かせながら読んでみてくださいね。

「コーマ=昏睡状態」と「コーマワーク」


まず、コーマワークとは何かをご説明しましょう。

コーマワークはユング派の系統を組む、アーノルド・ミンデルが提唱する「プロセスワーク心理学」における一分野です。

コーマ=昏睡状態、というと身構えてしまうかもしれませんが、人は毎日「睡眠」という小さなコーマに近い状態を繰り返しています。

コーマは、深い湖の底から水面の様子を見ている状態に近いかもしれません。水面で呼びかける声が聞こえ、どんなにリアクションしても、そのもがきは届かない。思いが伝わらないもどかしさ。

例えば、クタクタに疲れて眠ったとき、半分意識は覚醒しているけれども身体が金縛りのように全く動かない、という経験はありませんか? 表現したいものはたくさんあるのに、身体が言うことを聞かなくて驚き、焦るあの感覚。

コーマの人が、昏睡の奥で感覚をキャッチできているレベルはさまざまだと思いますが、先日のライフハッカーの記事「危篤状態の人は、実は周りの話をすべて聞き取っている」にもあるように、聴力は最後まで感覚として残っている可能性があるなどと言われています。とはいえ、どこまで感覚が残っているかの本当のところは、コーマ状態にある当人しかわかりません。

そうした深い湖の底でのもがきが水面に伝わり、静かだったはずの湖面に波紋が起こったとき、呼びかけた人たちがその思いをキャッチしていく、それがコーマワークです。

もちろんすべての人ではありませんが、こうした働きかけの積み重ねが刺激になり、昏睡状態から復活する例もあるのです。

また、もし昏睡状態から戻ることがなかったとしても、最期の瞬間まで誰かとコミュニケーションをとれているということは、この世界を去りゆく人にとってもそれを看取る人にとっても、大きな癒しとなるのではないでしょうか。

自分の感覚のチャンネルを探る


コーマワークでは、昏睡状態にある人の感覚がどこにあるのかを探っていきます。

例えば、朝目覚める瞬間のことを思い出してみてください。あなたの感覚はどこに一番重きが置かれているでしょうか。

人が、刺激に対してその反応を返すフィードバックの手法は、視覚、聴覚、動作・姿勢、身体感覚などいくつかのチャンネルに分かれており、それらの感覚のどこが優位なのかは人によってクセがあります。「光を見て起きる」のか、「音で朝が来たことを知る」のか、「身体的な動き」が優先するのか、など。

こうしたことを元気なうちにチェックして、身近な人や愛する人と共有しておくと良いですね。この反応のチャンネルのクセを知っておくことで、ご自身がコーマ状態に入ったときにアクセスする糸口になるからです。

コーマワークの現場で行われるのは、こんな語りかけです。

◯◯さん、こんにちは。

あなたは今、何か見ていますか?

あなたは今、何か聴いていますか?

あなたは今、何か感じていますか?

あなたは今、何か動いていますか?

こうした呼びかけに対して、本当にわずかではありますがコーマの方の身体が反応することがあります。

それは呼吸だったり、まぶたの痙攣だったり、鼻の膨らみや、身体の硬直かもしれません。皮膚の色や、人工呼吸器の数値が変わることもあります。

どんな反応であっても良いのです。大切なのはシグナルに気づくこと

例えば身体に触れて相手が身体を避けたとしても、コーマワークにおいては非常にポジティブな反応です。逆に、ネガティブなのは「何も起こらない」ということ。つまり、なんらかの形で「微細に身体が反応をする」ということが、非常に大事なのです。

「コーマワーカー」と呼ばれる昏睡状態の人とコミュニケーションをとるプロフェッショナルな人たちは、そうした反応を緻密に読み取っていきます。もちろんとても忍耐がいることですが、昏睡状態の人と同調するために呼吸を合わせて自身も深い瞑想的な状態に入り、繊細な「声かけ(言葉)とタッチ」を使って相手の反応をより引き出し、拡張するようなテクニックを使っていくのです。

擬似コーマワークで身体の声に気づこう


思考が優位になりやすい現代人は「身体の声」を無視しやすい状態にあります。

本当は「イヤだなぁ」と思っていたり、胸やお腹にモヤモヤしたものを感じたりしながらも、様々なしがらみや利得などを考慮して「YES」と言ってしまうシーンは実に多いものです。そうした積み重ねは澱のように心に溜まり、自覚もないままに心身にストレスとして蓄積していきます。

昏睡状態になった人の表現は頭ではなく「身体」で表現されます

そこにあるのは「思考」ではなく、生命の根源からくる反応。

こうした自分の内側の反応や身体感覚を知ることは、さまざまな選択肢に囲まれた現代の生活において、自分自身の羅針盤となっていくはずです。

擬似的なコーマワークで自分の反応を読み取ってみましょう。あらかじめ下記の流れを頭に入れ、自分に問いかけたいことを決めておけば一人で行うことができます。

<コーマ体験ワーク>

1. 擬似コーマに入ってみましょう。まず心地よい状況で仰向けになり、リラックスして目を閉じます。あなたはコーマ状態ですから一切身体を動かすことはできません。呼吸だけは止めずにおき、身体の内側に意識を向けましょう。

2. 誰かが、自分の名前を呼んでいます。あなたは必死で反応したいと思いますが、身体を動かすことはできません。そのとき、どんな反応が全身に起こるでしょう? それを感じてみましょう。

3. 自分を呼んでいたのがすごく苦手な人だったとき。どんな反応が全身に起こるでしょう? それを感じてみましょう。

4. 自分を呼んでいたのが最も愛する人だったとき。どんな反応が全身に起こるでしょう? それを感じてみましょう。

5. 自分に対して質問してみたいことを心の中で問いかけてみてください。どんな反応が全身に起こるでしょう? それを感じてみましょう。

6. 自分の内側で起こる反応を観察できましたか? 十分だと感じたら、まぶたを少しずつ持ち上げ、目を開けていきましょう。この世で初めて光を見るような気持ちを味わってみてください。

7. 昏睡から覚めたあなたは、どんなことを表現していきたいでしょう。ご自身で気づいた、感じたことなどの体験を、紙に書き記してみてください。

コーマ体験はいかがでしたか? こうしたワークを続けていくと、身体的な直感が研ぎ澄まされていきます。また、自分でも思いもよらない本音に気づいたかもしれませんね。

多くの人が忘れていますが、私たちは毎日が生と死の間にあります。毎日目覚める時、新しい人生が始まる中で、何をしていきたいか考えるきっかけにもなると思います。

「究極の寄り添い」コーマワークに興味を持った方へ


今、この時にも世界で何百万人という人が昏睡状態にあります。もうすでに、ご自身の身近な方がコーマであるという方もいるかもしれません。そうしたシチュエーションにおいて、意識が通じない人の意識を知ろうとするコーマワークは「究極の寄り添い」であるかもしれません。また、言語を学ぶことで世界が広がるように、来るべき未来に備えてコーマワークというコミュニケーションの手法を学んでおくことは、必ず人生の役に立つはずです。

12月に世界的なコーマワークの第一人者であり、心理学博士であるゲリー・リース氏が来日します。12月8日には「シンポジウム 死の間際に“目覚める”こと~多様な意識状態への新たな支援を探る~」、そして12月9日~10日は「コーマ(昏睡状態)に”目覚める”こと~コーマ・セラピストのスキル、メタスキル、癒しの力」が開催されます。

コーマの方とのコミュニケーションや、コーマワークに興味を持たれた方は、ぜひシンポジウムやオープンセミナーに足を運んでみてください!

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小松ゆり子/パーソナル・セラピスト
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音楽、カルチャー、リラクゼーションを融合する「relacle」「CHILL SPACE」スーパーバイジング・ディレクター。南青山のプライベート・アトリエ「corpo e alma」を中心にセラピー・セッションやセミナー活動を行う。東洋的な押圧とロングストロークやストレッチングを多用し、植物や鉱物の力をフュージョンさせたオリジナルメソッド「VITAL touch therapy」を提唱し、密度の濃い「パーソナル」なスタンスでオーダーメイドの施術を行っている。約12万人以上を動員する音楽フェスティバルSUMMER SONICで10年連続セラピーブースを展開するほか、新宿のシェアオフィス「HAPON」でのオフィスリラクゼーション、アパレルブランド「かぐれ」でのセラピーや講座など他業種とのコラボレーションも多数。現代人が都会でバランスを保ちながら生き抜く知恵やプリミティブな五感を取り戻す方法をさまざまな角度からナビゲートする。

Image: GlebSStock / Shutterstock.com

Source: 日本プロセスワークセンター 1, 2, 3

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