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目黒の“全日本女子プロレススポーツクラブ”――フミ斎藤のプロレス読本#131[ガールズはガールズ編エピソード1]

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199×年

「ランチタイム60分1本勝負」

「しゃぶしゃぶ・すきやき1000円」

「しゃぶしゃぶ・すきやき90分食べ放題(ディナー)。レディース1700円、男性1980円」

これがレストラン“SUN族”の定番セットメニュー。ほかにもカレーライスやお寿司のセルフサービス、ジュース類の飲み放題サービスなんてのもある。

全日本女子プロレスの本社ビルを正面からながめると、長い階段をまんなかにして建物が左右にふたつのコンプレックスにわかれているのがわかる。

向かって右側のビルは1階が道場、2階がSUN族、3階がカラオケ・ボックス“しじゅうから”の事業部と若手選手たちの合宿所。3階の右側の大きなガラス窓のすぐ上には“全日本女子プロレススポーツクラブ”という立派な看板がかけられている。

右側のビルの1階は社用車を入れておく大きな駐車スペースになっていて、選手移動用の大型バス、リング運搬用トラック、宣伝カー、選手たちが会社まで乗ってくる50ccのバイクや自転車などがここに停められている。

2階はワンフロアがすべてオフィス・スペースで、興業部も営業部も外食産業部も不動産部もこのなかに入っている。

ロッシー小川部長が座っているところが企画広報部で、植田信治コミッショナーのデスクが“全日本女子プロレス協会”の運営事務局。ほかにはファンクラブ事務局、総合企画事業室、社長室、応接室がある。

こちらの棟の3階から上は新人選手とミゼット・レスラーたちの合宿所。試合がオフの日のほうが会社のムードはあわただしい。

SUN族は、選手やスタッフにとっては仕事の打ち合わせ場所であったり、憩いの場であったりする。店内のまんなかあたりのテーブルで豊田真奈美が雑誌のインタビュー取材を受けていた。

アジャ・コングと伊藤薫が携帯電話を手にそのへんを行ったり来たりしている。いちばん奥のテーブルでは松永高司会長と松永国松社長と小川さんがお茶を飲みながらシリアスな会話をしていた。

国松社長は、格闘技路線的なものにもっと力を入れていきたいらしい。高司会長も松永健司副会長も国松社長も松永俊国副社長も、松永ブラザースはみんな格闘家上がりのおじさんたちである。

チャン・マメルタ。ミスター郭(かく)。ジミー加山。本名以外に変てこなリングネームを持っている。女子プロレス創世期には柔拳(じゅうけん=柔道対ボクシング)のファイターとして全国を巡業してまわった。インディペンデント系異種格闘技のルーツのひとつだ。

ボスたちはプロレスラーの感性をよく理解している。

「あれはいい選手なんだけど、自分でなにかをやる、ってタイプじゃないからねえ。困ったもんだよねえ」

「あの選手はしんどいですよ。心が悪いから」

「あのレスラーは、ちょっと変わるとたいへんな選手になるんだけど、まあ、本人の問題ですけどね」

江戸っ子の高司会長は“ひ”と“し”が同じ発音になる。

東京・目黒の全日本女子プロレススポーツクラブは、日本でただひとつのプロレス総合商社ビルである。道場があって、レスラーたちがいる。事務所があって、働き者のスタッフがいる。

ソフトウェアとハードウェアがいっしょになって“プロレス”が構築されていく。東京ドームで大イベントを開催したからといってローカルの〇〇駐車場横特設リングのスポット・ショーをやめてしまうわけではない。

天気がいいときは高司会長は焼きそばのタマ200個を軽トラックに積んで会場に向かう。露店がなかったらどうもプロレスの興行という感じがしない。夏になればオープン(屋外)の試合がぐっと増える。巡業の原点はお祭りだ。

松永ブラザースは、お祭り騒ぎのあれこれいっさいがっさいをひっくるめて“プロレス”と考えている。だから、リングの上で起こっていることだけを論じてもプロレスを論じたことにはならない。

「なーんだ、あんたもプロレスが好きなんだねえ」と笑われてしまうのである。

※文中敬称略

※この連載は月~金で毎日更新されます

文/斎藤文彦


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