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ソニー、一部品メーカーから「SONY」に完全復活…ヒット商品量産の体制確立

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 世界全体の株式市場が上昇基調となるなか、10月24日まで日経平均株価は16連騰を記録した。なかでも注目したいのがソニーだ。近年のソニーはスマートフォン向けの画像センサー(CMOSイメージセンサー)分野に経営資源を投入し、収益の改善を実現してきた。この結果、2018年3月期の連結純利益は前期比5.2倍の3800億円に達すると見込まれている。そうした収益力の回復に加えて、同社はアイボの再チャレンジで世の中をワクワクさせる製品を生み出すことを考え始めたようだ。それこそがソニーの原点ともいえる。注目に値する変化かもしれない。

●ソニーは新しい文化を生み出してきた企業

かつて、ソニーという企業は革新的な製品を生み出し、人々の「欲しい!」という心理を刺激してきた企業であった。見方を変えれば、ヒット商品を世に送り出すことで需要を取り込み、成長を遂げてきた企業だ。それが、本来のソニーの強みだった。

1970年代の後半に発表された「ウォークマン」は、ソニーのアイデンティティーをよく示すプロダクトだ。それまで、音楽を聴くといえば部屋の中で楽しむことが多かったはずだ。しかし、ソニーは小型かつ高音質のプレイヤーを開発することで、いつでも、どこでも好きな時に、歩きながらでも音楽を楽しむことを可能にした。

その社会的なインパクトは大きかった。ウォークマンの登場は、ただ単に新しい製品の登場というだけでなく、“音楽を歩きながら楽しむ”という新しいライフスタイルを創造した。それゆえ、ソニーの製品を持つことに特別な感覚を抱く人も多かった。

しかし、1990年代以降、新しいライフスタイルや価値観を社会に提供するというソニーのアイデンティティーは色あせてしまった。同社は、金融、映像やゲームなどのコンテンツ事業に力を入れはじめ、米ゼネラル・エレクトリック(GE)のようなコングロマリット企業を目指したものの、この戦略は想定されたような結果を出すことができず、業績は悪化した。

この結果、2006年には犬型の家庭用ロボット「AIBO(アイボ)」の生産が停止された。ソニーが得意としてきたポータブル音楽再生機器の市場では、アップルがオンラインのコンテンツプラットフォームであるiTunesを開発し、それをiPodやiPhoneと接続するコンセプトを確立した。

そのアップルは、かつてのソニーのように、製品を通して新しいライフスタイルを生み出し、経営の再建と成長を見事に遂げた。

●部品メーカーからの脱却を狙うソニー

iPhoneを開発して以降のアップルの躍進は、産業界全体に大きな影響を与えてきた。わが国の電機メーカーの状況を見れば一目瞭然だが、iPhoneの需要が半導体などの売り上げを左右する状況が出現したのである。

1990年代後半以降、リストラを進めてコストを削減し、利益を捻出してきたソニーにとって、iPhone特需ともいうべきこの状況は業績を立て直すために見逃せないチャンスだった。同社はパソコン事業の売却など構造改革を進め、経営資源を画像センサー分野に集中的に投入してきた。その結果、ここへきて業績が回復した。

画像センサーはスマートフォンなどの完成品に必要な部材だ。また、画像センサーは自動車の自動運転技術の開発にも不可欠であり、今後も需要の拡大が期待されてはいる。しかし、そのセンサーは、スマートフォンという完成品に搭載されて初めて、わたしたちの暮らしに影響を与えることができる。

そう考えると、現在のソニーは新しいプロダクトをまとめ上げ、ライフスタイルを変えるほど社会的影響力を持った企業にはなっていない。スマートフォンなどIT機器の部品メーカーとしての存在のほうが大きい。

ただ、今回のアイボの再チャレンジ発表は、ネットワーク社会が発展していくなかで、同社が原点回帰を重視していることの表れといえるだろう。犬型のロボットが人々に支持され、社会の革新につながるか否か、現段階ではっきりとしたことは言えない。重要なことは、新しいコンセプトをさまざまなプロダクトに反映するプロセスを重ねることだろう。それが、いつかヒット商品を生み出すことにつながるはずだ。

かつてのソニーは、ウォークマンやハンディカムなどのヒット商品を生み出して、需要を創造することができた。それが同社の成長につながった。アイボの発表が、ソニーがヒット商品を生み出すための新しい一歩を踏み出したといえることを期待する。

●ヒット商品の創造を目指せ

1990年代初頭のバブル崩壊以降、わが国の企業の多くが、株価や不動産価格の急落、経済成長率の低下で成長を目指すマインドを萎縮させてしまった。その結果、現状維持が優先され、リスクを取って新しい製品を生み出そうとする前向きな取り組みは進めづらくなり、社会全体で停滞感・閉塞感が強まった。その状況は、羹に懲りてなますを吹く状況といえる。

企業がヒット商品を生み出し、人々が欲しいと思うものを生み出すことができれば、需要は回復し、経済は成長できる。ソニーのように、新しい製品を生み出す取り組みを進め、競争の一歩先を歩もうとする企業が増えれば、経済全体の活力は高まり、社会を覆ってきた閉塞感も打破できるかもしれない。

ソニーをはじめ多くの企業が、スマートフォン向けの部品で競争力を高めてきた。そうした技術を生かして、人々の暮らしを改善したり、新しい行動様式につながるようなプロダクトの開発が進めば、わが国の企業の存在感はさらに高まる可能性がある。

今後、新興国経済の発展などにより、企業の競争はさらに熾烈化していくだろう。環境の変化に対応するためには、自らが変化を起こしていく発想も重要だ。そのためには、自らヒット商品という需要を創造し、それを成長につなげることが欠かせない。アイボの生産停止から10年以上経過して、ようやくソニーはそうした取り組みを進めることのできる経営体制を取り戻したといえる。足元の業績が安定し、経営にもゆとりがある環境を活用して、ヒット商品を生み出すための取り組みを進めることが、将来の企業の発展には欠かせない。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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