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パッパーノのサン=サーンス 抗いがたい魅力(Album Review)

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サン=サーンスといえば、バレエなどでもお馴染み、あのチェロの旋律美しき「白鳥」を思い出す方も多かろう。このディスクには、その「白鳥」を含む『動物の謝肉祭』と交響曲第3番「オルガン付き」が収められている。

作曲家としてのみならず、凄腕ピアニスト、即興演奏を得意とするオルガニストとして三足のわらじをはいたサン=サーンス。そんな生き様を示すかのように、2楽章形式で、それぞれが前後半に分かれた交響曲第3番では、第2楽章にはピアノ、第1と第2楽章の後半にはオルガンを交えているのが大きな特徴だ。この交響曲を作曲したのは1885年冬から1886年にかけてで、『動物の謝肉祭』は、第3交響曲の作曲を中断して同じ年に書かれている。この曲集、作曲家の生前には公開演奏も楽譜出版もされなかったが、今や彼の代表作と目されている。

ライブ録音の「オルガン付き」は、パッパーノ持ち前のカラフルな音作りによる生命感が横溢している。循環主題となる、第1楽章第1主題を提示する弦のさざめきなど、キッチリ刈り揃えられているが、パッパーノが重きを置くのは、あくまで縦ではなく横の流れだ。そして、どのパートも前に出たがるイタリアのオケらしい特徴を逆手に取り、強みに変えているように聞こえる。

豪壮にオルガンが鳴り、弦のコラールからピアノがさざめいてはじまる第2楽章後半、特にフーガ以降はその好例だろう。ここでパッパーノは、各声部の絡み合いを、バランスを取ることで浮かび上がらせようとはしない。むしろ各員のパワーを存分に引き出し、それぞれが紡ぐ歌を自在にうねらせる。すると、寄せては返す波のような重層性が自然と組み上がり、それが滞りない流麗な音楽の推進力とも無理なく共存することになる。この肉厚で立体的な響きが魅力的で、熱量高い演奏に浮かされた聴衆から、終演と同時に喝采が湧き上がるのもむべなるかな。

『動物の謝肉祭』では、ピアノを受け持つのが、パッパーノと、彼と親交深いアルゲリッチなのが大きなウリだ。彼女は名うての演奏家たちを結集させたセッション録音を既に刻んでいる。パッパーノとのコンビは時に音の粒が不揃いなこともあれど、盟友フレイレとのデュオにおさおさ劣らぬ相性の良さを感じさせる。序奏や、自作からの引用である「死の舞踏」のモチーフの決然とした打鍵、あるいはピアノソロによる「らば」での無窮動的アルペッジョの輝かしさ、ハノンのような音階をわざとズラして不器用に鳴らす「ピアニスト」の、むず痒くなるようなユーモラスさと、表現の幅も広い。

その他の楽器も、予想通りというか、またしても雄弁だ。のっそり、もっさりとした「象」のコントラバス、ヒステリックなほどに強烈に打ち込む「化石」のシロフォン、「ろば」におけるヴァイオリンのいななきはじめ、自作や他作からの引用とパスティッシュだらけなこの異色作を、思い思いに彩っている。いままでの旋律を詰めこんだ終曲はおもちゃ箱をひっくり返したような風情で、もう痛快そのものだ。

クリアな音像を結ぶ録音の質も上々で、サン=サーンスの2つの傑作の醍醐味を存分に味わわせてくれる、質の高いディスクに仕上がっている。Text:川田朔也

◎リリース情報
『サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」、組曲「動物の謝肉祭」 』
2017/10/25 RELEASE
WPCS-13725 3,000円(tax out.)


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