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11.9%安定の綾野剛主演TBS『コウノドリ』は「ダメ夫を成敗する水戸黄門」か

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 周産期医療センター(出産の前後を通して、産科と新生児科で連携した医療体制のとれる病院)を舞台に、医師や助産婦、妊婦やその家族との悲喜こもごもと、生命の誕生の素晴らしさや厳しさを描く医療ヒューマンドラマ『コウノドリ』(TBS系)。

中盤にさしかかる第4話の視聴率は13.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と自己最高を記録。さっそく振り返ってみたい。

■新人にスポットが

このシリーズから、新人研修医としてペルソナ総合医療センターの産科に加わっている赤西吾郎(宮沢氷魚)。産科での研修も終盤に差し掛かる中で、今ひとつ身の入らない仕事ぶりを続けていたが、安易な判断で患者の妊婦を危険にさらすミスを犯してしてしまう。

それを先輩の産科医・四宮(星野源)に咎められるも、反省するどころか「いいんじゃないですかね? ま、何もなかったんだし(笑)」とヘラヘラする始末。それは直属の先輩医師である下屋(松岡茉優)にビンタされてしまうほどだ。

産婦人科病院の二世でもある赤西に対し、四宮は「これだからジュニアは使えない」と皮肉を込める。人材不足で忙しい職場において平然と定時に仕事を切り上げては、またしても下屋をイラつかせる毎日。新規加入したものの、初回から今ひとつ見せ場のなかった赤西にようやくスポットが?

■陣痛に耐えたら愛情が湧く?

今回の患者は、2人目の出産を間もなくに控えた秋野蓮(安めぐみ)。まだ幼い長女につらく当たってしまう自分が嫌で、今回は帝王切開ではなく自然分娩で産みたいと考えている。

「陣痛を味わって産道を通して産んだ方が、この子(お腹の子)に愛情が湧くんじゃないか」「痛みから逃げた、楽して産んだから、上の子の子育てもうまくいってないんじゃ?」という理屈らしい。

このように、過去に帝王切開を経験したことある妊婦が、お腹を切らずに経膣分娩(自然分娩)に挑戦することをトーラック(TOLAC)といい、原作コミックによるとアメリカでは保険会社が医療費を抑えるために広めたらしいが、この「お腹を痛めて産んでこそ子どもに愛情を持てる」という根拠のない根性論は、耐えることを美徳とする日本人の心情に合っているのか、確かにもっともらしく、よく語られている気がする。

主治医の鴻鳥(綾野剛)によると、トーラックにはもちろんリスクがあり、

・かつての帝王切開時の傷が裂ける子宮破裂の可能性があり、その場合、子どもの後遺症や母子の命に関わる場合もある。(確率は5/1000)

・トーラック成功率は7割、危なかったら途中から緊急帝王切開に切り替える。

……と伝えられるも、「産道を通した方が、子どもに対する愛情が違うんですよね?」と蓮の決意は固い。

助産師の小松(吉田羊)は、その理屈を「思い込み」だという一方で、「それでもお腹を痛めて産みたいって思うものなの」と理解を示す。

蓮はことあるごとに、夫の壮太(前野朋哉)に相談するのだが、仕事の忙しさにかまけて今ひとつ……ふたつほど親身になってくれない。このドラマでお馴染み「とにかく旦那がわかってない」案件である。

「ま、俺はなんでもいいよ」「好きな方法でいいんじゃないかな」「ごめん風呂入ってくる」と、今回も見事に女性の側をイラつかせる。陣痛が始まった蓮を病院に送った時も、出産する時間は何時か? と、まるで映画の上映時間かなんかのように尋ね、それまで同僚と屋形船で飲み会をしようとしていたほどの傑物だ。

長女の育児に関しても、たいして育児に関わってなさそうな壮太は他人事のように「もっと余裕を持って接してあげたら?」と言い放ち、当事者である蓮と「朝バタバタしてるのに、そんな余裕なんてもてないよ!」とぶつかってしまう。残念ながら日本の育児でありがちな対立なのかもしれないが、こういうこともあって蓮は藁にもすがる思いでトーラックに挑みたいようだ。

■今回の「鴻鳥 vs 四宮」

「妊婦の希望に沿ってあげましょう」という鴻鳥に対し、「お前のその優しさのせいで、妊婦はもちろん、俺たちも余計なリスクを背負わされるんだ」「夜間に子宮破裂が起きたらもっと危険だ」と反発する四宮。

前回の放送ではBLに発展しそうなほど見つめ合い、理解し合う様子を見せていたのに、また周囲が気まずくなるほどの衝突。というか、主にけしかけてるのは四宮で、もめ出すのも四宮なら、最後に態度を軟化させ我々をキュンとさせてくれるのも四宮だ。今回も、もはや主役といっていいほど見せ場のほとんどを四宮が生み出しており、おそらくキャラクター人気投票をしたら主役を差し置いて1位になってしまうであろう美味しい立ち位置。従来なら星野と綾野は逆のキャスティングの方がイメージ通りのはずだが、あえて外したところが功を奏しているように見える。

鴻鳥も「僕らの仕事は妊婦にトーラックをやめさせることじゃないよ」「忙しくて余裕がないから妊婦の希望に添えないなんて、根本が間違ってるんじゃないかな」と物腰こそやわらかいが、譲らない。荒れた空気を読んで、上司として人員不足を詫びることで場を収めようとする今橋医師(大森南朋)が健気だ。

2人がいない場所で「(鴻鳥)サクラと四宮、あの2人、仲いいんだか悪いんだかわからないですよね!」と後輩の下屋が愚痴るが、ごもっとも。

しかし、小松いわく「でも考えてることは一緒なんだよ、最終的には妊婦さんのこと、そして家族のことを誰よりも考えている」らしい。実際その通りなのだろうが、原作では、直前に小松が、揉める2人を「そういうの余所でやってくんない? (食事の)味がわかんなくなるんだよ」と一喝していた。ドラマではそこが描かれていないので、単に安易に2人の関係性を言葉だけで説明してしまっているように見えたのが残念だ。

■トーラックは成功しなかったが……

結局、トーラックを実施し自然分娩に挑むが、出産は難航し、それでも蓮は頑なに帝王切開を拒否する。しかし、長女の泣きながらの「ママ、がんばってる(だからもういいじゃん)」という一言で自身の考えを改め、途中から帝王切開に切り替え、無事出産。子どもにもっと愛情を持てるのでは? という想いから始めたトーラックだが、その想いは違う形で成就されたようだ。余談だが「安めぐみ」って、これ以上ないくらいの安産ネームだ。

赤西は「なんで危険を冒してまで自然分娩にこだわるのか? 帝王切開すればいいのに」と何の気なしに四宮に語るが、「まだ切らなくていいものを、なんで急いで切る必要がある? そんなの優しさでもなんでもない。それで産まれて、お前はお母さんに(妊婦)におめでとうって言えるのか?」とやり返されてしまう。

ん?? 結局トーラックをすることに理解を示しているのか? ライバル鴻鳥のしていることを新人にわかったように言われたくなかったようだが、本当にややこしい性格だ。

だが、赤西は四宮に背中を押されて陣痛で苦しむ出産現場を訪れ、結果的に帝王切開手術に初の「前立ち」と呼ばれる第一助手として参加。出産直後、メインで執刀した下屋を差し置き「おめでとうございます! 本当におめでとうございます!」と蓮に興奮気味に声をかけ、下屋に引かれる。産科研修の最後にして、ようやく何かを掴んだ様子だが、またしてもキーマンは四宮だ。

しかも四宮が赤西を「ジュニア」と呼んで執拗に小馬鹿にしていたのは、自分も実は産科医の息子で、かつてそう呼ばれていたことに由来しているらしく、四宮なりの非常にわかりにくいエールのようだ。目立ちすぎだぞ四宮。

■もう一組のゲスト夫妻

肺に疾患があり、鼻から挿管されている子どもを新生児集中治療室(NICU)に預けている青木夫妻(木下優樹菜・パーマ大佐)。しかし連絡もなく2人でのんきに旅行に行き、その他人事具合を新生児科医の白川(坂口健太郎)に注意されてしまう。

「もう家族なんです。夫婦で楽しむことはもちろん大事ですが、これからは家族で楽しむことも考えてみてください」非常に短い出番だったためか、怒られるためだけにやってきたかのようなゲスト人選だと勘ぐってしまう。

■四宮の恋?

何話かにわたり四宮と旧知の様子で接していたシングルマザーの倉橋恵美(松本若菜)。子どもをペルソナのNICUに預けているが、四宮とは医師と患者以上の関係がありそうで、それを勘ぐる白川が一人で勝手にドタバタとコメディーしていたのだが、その正体が明らかに。なんのことはない倉橋は研修医時代に四宮や鴻鳥らの下にいた後輩の産科医で、これにより数週に渡る白川の勘繰りはあっけなく終了。

とはいえ、それでも四宮と倉橋には先輩後輩以上の感情があるようにも見え、だとしたら原作コミックにはない色恋沙汰な展開だ。

倉橋は別れた夫に出産したことも告げずに復職を模索しているが、なかなか先が見えず行き詰まっている模様で、職を持つ女性の産休、復職問題も、このドラマでよく描かれるテーマとなっている。

■ダメな夫が成敗される水戸黄門

あからさまに出産をナメていた蓮の夫・壮太だが、苦しむ妻や尽力する医師らを目の当たりにして自分の浅はかさを知る。

「まさか、こんなに大変だとは思いませんでした。女性は命がけで出産に立ち向かっているんですね」

「先生たちも大変ですね、僕たち夫婦のわがままを聞いてくれて本当にありがとうございます」

「バカなことを言ってすみませんでした」

と、黄門様に悪代官が懲らしめられたかのような絵に描いた撃沈ぶりで、今回は特に勧善懲悪感が目立った。夫がわかりやすく謝罪する場面は原作になかったので、ドラマ化において、どの辺をターゲットにしているのかが見て取れる。ネットでの評判を見ても、物語そのものよりもダメな夫に対するいらだちの共感と自身の出産経験を思い出しての感動がメインのようで、やはりそこを意識して作られているのだろう。

そのためか、感情移入のメイン媒体となるゲスト妊婦(母親)は、今まで実力派の女優が多かったのだが、今回は実力派というよりママタレありきのキャスティングだったため評判がいまいちなようで、ダメな夫役以上に引き受ける女優は大変そうだ。

しかし本物の新生児を使う撮影は毎度リアルだし、デリケートな部分に気をつけつつ情報量の多い内容をうまくまとめあげているので、このまま人気シリーズとして安定しそう。

個人的に今回一番気になったのは、帝王切開の最中に、メインの助手を初めて務める新人・赤西が、意識ある妊婦の目の前で何度も何度も叱られていたところ。素人バレバレの新人が何度も怒られながら自分の手術に関わってる状況って、単純に地獄だろうなって思いました。
(文=柿田太郎)

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