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前川喜平・前文科次官に直撃!加計獣医学部認可の動きに「このまま通るなら、行政の私物化」「諮問会議で再検証を」

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 文科省の大学設置・学校法人審議会(設置審)が明日10日、加計学園獣医学部の来年4月開学認可を答申することが確実となった。この状況について、加計学園をめぐる官邸の圧力を証言した前川喜平・前文科事務次官を直撃したところ、前川氏はあらためて、その認可プロセスをこう強く批判した。

「このまま通るなら、行政が歪められているとしか言いようがない。まさに行政の私物化です」

そもそも、この設置審の認可判断のスケジュールじたいが不可解なものだった。当初は8月の予定だったのに延期になり、衆院選が終わるのを待つかのようなタイミングで答申が出され、認可されたのだ。なんらかの政治的圧力があったとしか思えない。まず、この点について、前川氏に質したところ、こんな答えが返ってきた。

「安倍総理としては、衆院選の前に認可することは避けたかっただろうと思います。結果的に衆院選の後になっていて、総理の都合のいいかたちになっているので、官邸から文科省に設置審の答申を遅らせるよう政治的圧力が働いたという可能性は否定できません。仮に圧力があったとすれば、『菅義偉官房長官から文科大臣へ』という可能性もあるし、『萩生田光一官房副長官から文科副大臣へ』とか『杉田和博官房副長官か和泉洋人首相補佐官から事務次官か局長へ』という可能性もあると思います。
 安倍総理にしてみれば、臨時国会開催の要求を3カ月無視して時間稼ぎをし、北朝鮮の脅威を強調して、国民の加計学園・森友学園問題の記憶が薄れるようにした上で、総選挙に臨みたかったのでしょうから、選挙の前に答申を出されて国民の記憶を呼び覚ますようなことはしたくなかったのでしょう」

では、認可という判断じたいについてはどうなのか。前川氏は、きわめて論理的にこう指摘する。

「設置審としては、認可の判断はやむを得ない。設置審の審議は、既存の基準に照らして設置するかどうかを判断するだけのところ。ですから、従来の獣医学部の最低基準にかなっていれば、認可と判断されます。設置審は、国家戦略特区制度の目的や2015年6月に閣議決定した4条件に適うかどうかを審議する場ではありませんから。
 ただし設置審が可としたからといって、そのまま文科大臣が認可していいかどうかは、別です。今回のケースに関しては、これまで誰も新設の申請が認められてこなかった獣医学部を、国家戦略特区というかたちで特例を認めた。そのことについての検証はなされるべきです」

つまり、問題は設置審の答申ではなく、その先にあるというのだ。文科相が認可する前に、国家戦略特区における獣医学部の新設条件に適うかどうか、あらためて再検証が必要だと前川氏は訴える。

「2016年11月9日の国家戦略特区諮問会議で判断したと、政府は説明しています。でもその時点では、実際にどんな獣医学部になるか確認していない。『世界に冠たる獣医学部』などという看板をかかげているだけで、具体的な中身は明らかになっておらず、実際に閣議決定された条件に適うかどうかは、検討されていません。
 どんなカリキュラムで、どういう教員を集めて、どういう学生を対象に、どういう教育・研究をするのか、そのためのどういう施設があるのか。それらが条件に適うものかどうか、いまあらためて検証が必要です。
 そもそも国家戦略特区の条件である『産業の国際競争力の強化や国際的な経済拠点の形成に資する事業』というのを満たすものなのか。
 2015年に閣議決定された4条件は『既存の獣医師養成でない構想』『ライフサイエンスなどの新たに対応すべき分野で具体的な需要』、『既存の大学・学部では対応困難』『獣医師の需要動向も考慮』というものですが、全体の需給のバランスのなかで、これらの4条件を満たしているかどうか、やはり検証すべきです」

たしかに、この検証作業は加計学園に限らず、すべての国家戦略特区に必要なプロセスだ。そうでなくては、規制改革そのものが政治家のやりたい放題、利権の温床になってしまう。ただし、前川氏は検証の場は文科省ではないという。

「検証の場は、国家戦略特区諮問会議です。入学定員140人ということや、どういう教員組織なのか、あるいはどういうカリキュラムなのかということは、去年の諮問会議の時点ではまったくわかっていませんでした。
 その検証をあらためて諮問会議でしたうえで最終的な判断をすべきであって、このまま文科大臣がストレートに認可するのは、おかしい。
 設置審に加計学園が提出した内容を、あらためて諮問会議で審査すべきです。諮問会議で検証の結果、認められれば、文科省に戻して文科大臣が認可する、というのがあるべき手順です。
 このままでは特区としての判断の責任まで文科省に押しつけていることになり、それでは困ります。文科省にそこまでの判断はできない。たとえば獣医師の需給バランスについては農水省が参加しないと議論が成り立ちませんし、ライフサイエンスなど新分野における具体的な需要についても農水省あるいは厚労省も一緒に議論しないと結論など出ませんから。
 特区としての特例を認める判断の責任は、諮問会議、内閣府、最終的には内閣総理大臣にあります」

まさに正論だが、しかし、安倍政権がそんな自らの不正を認めるようなプロセスを踏むとはとても思えない。実際、前川氏も「残念ながら、たぶん、それはしないでしょう」と語る。

事実、林芳正文科相は10日の設置審の答申を受けて、すぐにも加計学園獣医学部を認可する方針だという。安倍政権は"李下に冠を正さず"どころか、結局すべて"総理のご意向"どおりに事を進め、どさくさ紛れの認可をもって幕引きをはかろうとしているのだ。

しかし、加計問題はまだ終わってはいないし、終わらせてはならない。前川氏もこのように語る。

「加計学園については、もともと不公正・不公平な審査をしたわけですから、きちんと審査すれば本来は通るはずがないのでは。このまま通るなら、行政が歪められているとしか言いようがない。まさに行政の私物化です。
 行政が歪められたという状況証拠はたくさんある。総理の意向を受けて指示したと思われる人はみんな『覚えていない』と言っていますが、受け止めた側である文科省側にはたくさん証拠があります。
 私自身も、内閣府の藤原豊審議官の発言記録である『総理のご意向』文書を実際に見ていますし、和泉首相補佐官から『総理が言えないから代わって言う』と言われました。萩生田官房副長官の『総理はお尻を切っていた』という発言も文書に残っている。
 行政が歪められ、国家権力が私物化された疑いは極めて濃厚です。設置認可される・されないにかかわらず、その疑いは残ります。設置審の認可判断によって幕引きするのではなく、国政の私物化は国会の場できちんと追及されるべきだと思います。
 加計孝太郎理事長や今治市の菅良二市長、当時の内閣官房・内閣府の関係者らには、嘘をつけば偽証罪に問われる証人喚問で証言してもらうべきです」

前川氏の言うとおり、加計学園獣医学部新設が「総理のご意向」だったことを示す証拠は山ほどあり、安倍首相はそれらの疑惑を何ひとつ説明できていないのだ。そしてこれは安倍応援団が強弁しているような「くだらない問題」などではなく、まさに「行政のプロセスが不当に歪められた極めて重大な問題」なのである。国会そしてメディアも、追及の手をゆるめてはならない。
(編集部)

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