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クリープハイプ・尾崎世界観×漫画家・鳥飼茜の真面目な“風俗談義”

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週刊SPA!連載の『ロマンス暴風域』第1巻、『先生の白い嘘』最終8巻、初の活字本『鳥飼茜の地獄でガールズトーク』の3冊が10月23日に同時発売された鳥飼茜。彼女が大ファンだと語るのが、クリープハイプの尾崎世界観だ。ライブ招待を通じて面識がある二人だが、実は鳥飼にはとある“負い目”があり、対談はぎこちなくスタートの予感……?

尾崎:いきなり余談からで恐縮ですが、鳥飼さんってしょっちゅう僕を街で目撃していますよね(笑)。

鳥飼:あ、そうなんです。普通に歩いてるだけなのになぜか見つけちゃうんですよ。そのせいで今日の対談も、断られるんじゃないかと……。

尾崎:えっ、何でですか?

鳥飼:「今いましたよね?」って何回もメール送るし、返信ないのに私はまた送るし……。送るのをやめられない自分が怖い。会ってくれたのも、一回オフィシャルの場で会っておかないとストーキング行為がやまないと思ったんですよね?(笑)

尾崎:いやいや、「いましたよね?」と言われて「いました」とわざわざ答えるのバカみたいじゃないですか(笑)。そういうときはむしろ鳥飼さんのほうで「アナタはそこにいました!」とか断定してほしいです(笑)。

鳥飼:なるほど……了解です(笑)。

――そもそも鳥飼さんがクリープハイプのファンになったきっかけは?

鳥飼:音楽好きなアシスタントにすすめられてどハマりしまして。『~白い嘘』の2巻、3巻あたりを描いていた頃はずっとクリープハイプ聴きながらネーム切ってました。

尾崎:ありがとうございます。ちなみにアシさんは何人いるんですか?

鳥飼:4~5人のメンバーが3人ずつ入る感じです。私、気を使えないから3人以上いないと会話が詰まっちゃうんですよ。それに男のアシが相手だと「なんで男ってこうなの!?」って質問攻めにしてげっそりさせちゃったり。後日、そのコからは「もう無理です」って言われました(笑)。

尾崎:「もう無理」って(笑)。むしろ見学に行ってみたいですね。

――尾崎さんは鳥飼さんの作品を読まれてどういう印象を受けました?

尾崎:小学校とかで、女子のグループになぜか入っている男子っていたじゃないですか。その男子になった気分になります。女の中に入っていく、そんな感じがすごくする。だからげっそりするというのもわかります。いい意味で。

鳥飼:「いい意味で」。優しい(笑)。

尾崎:男が描く性的にどぎつい内容は大丈夫なのに、こんなふうに女の人に描かれるとかえってえぐられるというか。すごく面白いです。

◆風俗は「逃げ道」。気持ちは普通の恋愛

尾崎:とりわけ『ロマンス暴風域』は「風俗嬢との恋愛」という部分にぐらっときますよね。ある意味、キャッチーじゃないですか。

鳥飼:そうそう、実際そのキャッチーさにSPA!の編集が食いついたことで連載が始まったんですよ。

尾崎:それって、男にとって逃げ道になるんですよね。「自分はちょっと変わったことをしてるんだ」という言い訳で誤魔化せるから。

鳥飼:ああ、そうかもしれない。

尾崎:でも実際は普通となんら変わりなく真面目に恋愛をしてるから、そのぶん傷つくんでしょうね。

鳥飼:苦しいな、それ……。『ロマ暴』は、実際に風俗嬢に恋をしてしまった男性の友人の話がベースになっているのですが、私自身は女性だし、風俗を怖いと思う気持ちもあるからまったく共感できていなくて。でもそう説明されたら腑に落ちました。

――尾崎さんの小説『祐介』の主人公も、風俗で知り合った女のコに恋をしていますよね。

尾崎:恋愛のくだりは空想ですけど、ピンサロのくだりはそのままです。普通、飲んだ勢いとかで繰り出すんでしょうけど、前の日に友達と打ち合わせをして、ちゃんと早めに寝て朝飯を食ってから行きました(笑)。

鳥飼:準備万全ですね(笑)。

尾崎:あの時は人生でいちばんドキドキしましたね。なんかこう、店内でテクノの音楽が流れていて。

鳥飼:アゲてくるんですね!

尾崎:もうブチあげてきますよ。

鳥飼:で、アガったんですか?

尾崎:アガりましたねぇ(笑)。中学生がタバコを吸ったりする感覚と同じで男ってそういう話ができるようになること自体に憧れがあるんです。異性と話すときのコミュニケーションツールとしても使えるし。

鳥飼:ああ、「俺はそういうこともわかってるよ」っていう絶妙にこなれた感じの演出ができますよね。

尾崎:でも、純粋にいい経験だと思えたのはその最初の1回だけです。それ以降はどうしても細かいことが気になっちゃうというか……。

鳥飼:たとえば?

尾崎:なんでいつも肩に蝶のタトゥーが入ってるんだろう、とか。

鳥飼:攻撃と見せかけた防御的な。

尾崎:やっぱり男って、「本当はこんなところにいたくないんだろうな、連れ出してあげたいな」とか甘いことを考えながら女のコを見ているわけですよ。でもそのタトゥーを見た瞬間、「ちげーよ!」と突き放された気分になる(笑)。

鳥飼:「この店があたしの居場所なんだ!」と(笑)。じゃあ、恋愛対象として見ている場合もあるんですね。

尾崎:はい。若い頃はそういう形の出会いも夢見ていました。

――近年ではAV女優や風俗業に憧れる女性の姿も目立つようになりましたが、そうした「なりたい願望」の根っこはどこにあると思いますか。

鳥飼:一人の彼氏に100%かわいがられることよりも、大勢の人たちに20~30%ぐらいずつかわいがられたいと思ったらそういう職業を選ぶのもアリなんじゃないかな。ただ、パッケージ化されたものがあるからこそ成り立つものだとは思います。

尾崎:うんうん。

――たとえば恵比寿マスカッツのようなアイドルユニットの活躍とか?

鳥飼:そういうことも地ならしとしては、あると思います。

◆好奇心より不気味さのほうが勝るように…

――一方、男性が風俗に対して身構えてしまう部分があるとしたらどのあたりにあるんでしょう?

尾崎:初めて会う人と触れ合うという点に尽きますよね。僕は特に、齢を重ねるほど欲望や好奇心よりも知らない人に触れることの不気味さのほうが勝るようになってきました。

鳥飼:若い時は女性を「対象」として捉えきれてなかった?

尾崎:そういうことかもしれないですね。経験値が足りてないからよくわかってなかったけれど、こう、いろんな人に触れれば触れるほどズレがあるのを無視できなくなるというか。そういうことってないですか?

鳥飼:あります、あります。知れば知るほどありますよ。

尾崎:やっぱありますか……よかった、なんだか在庫の確認みたいで申し訳ないですが(笑)。

鳥飼:大丈夫です、取り寄せしなくても(笑)。「これだ!」っていうものに近い人が増えれば増えるほど、そうじゃないときの違和感も大きくなるってことですよね。

尾崎:そうなんです。昔はそういうズレもあったほうが面白いし、豊かだなと思っていたんですけど。

――ではサトミンのように、30代になっていつのまにか「恋愛弱者」となっていた人たちは、どうすればいい方向に進めると思いますか。

(※サトミン……『ロマンス暴風域』の主人公・佐藤の愛称。30半ばで恋人ナシ、将来性ナシ。普通の恋愛市場から脱落した彼がなけなしの貯金をはたいて行った風俗で、地方出身の風俗嬢・せりかと出会うことから物語が動き出していく)

鳥飼:うーん、仕事を頑張りなさいって言いたい。恋愛で煮詰まってるときは大抵、仕事もうまくいってない。特に男の人は社会的に認められてないとペシャンコになっちゃう。

尾崎:わかります……。しかも若い頃は「それでいい、むしろそれがかっこいい」とか思っていましたからね。平日の午後3時に彼女の部屋にひとり残されて漫画を読みふけりながら公園の子供たちの声を聞いているこの感じ、すごくいいぞって。なんか邦画っぽいぞって(笑)。

鳥飼:邦画っぽい(笑)。でもそれも若いからこそ絵になるんですよね。

尾崎:そうですね。もう30超えたら『ザ・ノンフィクション』にしかならないですからね(笑)。

◆最高だと思えるのは一瞬。そのためだけに戦い続ける

尾崎:『ロマンス暴風域』に関しては、1巻でここまで描き切ってくれたこと自体が救いだと思います。もし5巻分ぐらいこういう関係が続いていたらと想像すると……。

鳥飼:いや、それはできないですね。私自身、「そんなキナ臭い女はやめろ」っていうタイプだし。これぐらいが付き合いきれる範囲の限界だなと。

尾崎:でも、一瞬でもハマった感覚があると、それをずっと追い求めてしまう男の心理というのはすごくわかるんですよ。仮に100時間くらい一緒にいた時間があったとすれば、そんなものは1分くらいしかないんだろうけど。その1分をずーっと探してしまう。結果、見つからずにサトミンみたいになるわけですが。

鳥飼:あ~……きっと私はそれを描こうとしたんだ(笑)。そうかあ、彼のような男の人たちはその瞬間をリピートしたいだけなんですかね?

尾崎:たぶん、みんなそうなんだと思います。僕の場合、ライブをしている間いつも違和感みたいなものがつきまとうんです。お客さんはすごく喜んでくれてるし、実際に最高の瞬間がないわけじゃない。でも、そういう時間って、さっきも言ったように本当に一瞬だから。その一瞬を探しながら違和感とずっと戦っている。

鳥飼:私なんか、もう、その瞬間が訪れたと同時に砕け散った、みたいな感覚でいつも生きてます。

尾崎:でも僕も、曲作りに関しては頭に浮かんだ瞬間が一番だなと思います。あとはもう、実際に形にしていく過程でどんどん下がっていく。だからできた瞬間の高さに一番近い位置でなんとか作品にしたいなといつも思っています。

鳥飼:しかも曲は漫画と違って、作り手が演奏を通じてその感覚を何回もなぞることになるんですよね?

尾崎:そうなんですよ。でも僕たちの場合はライブでやればやるほどお客さんの反応が良くなるという側面がありますから。繰り返すことで曲の認知度が上がって喜んでもらえる。そういう面では恵まれていると思います。ちなみに漫画の読者だって何回も読むんじゃないんですか?

鳥飼:そういうものでありたいなと思いますけど、難しいですよ、実際。

尾崎:鳥飼さんの漫画の場合はいい意味で何回も読ませない感じですけどね。そういう力を感じます。

鳥飼:なにしろ「怖い」から疲れちゃうのかな。じゃあ年1回、それでもダメなら4年に1回とかでもいいんでまた読んでください(笑)。

「最高の一瞬」を追って、ぎこちなさと戦い続ける二人。不器用でも、すれ違いながらでも戦う姿こそが男女の真実に最も近いのかもしれない。

【尾崎世界観】

’84年、東京都生まれ。’12年にデビューの4人組ロックバンド「クリープハイプ」のVo.兼Gt.。’16年には半自伝的小説『祐介』(文藝春秋)を発表、文筆業でも注目を集める。11月5日、クリープハイプとして小藪千豊氏主催の音楽フェス「KOYABU SONIC」に出演決定。

【鳥飼 茜】

’81年、大阪府生まれ。今月23日に『ロマンス暴風域』第1巻、『先生の白い嘘』最終8巻、『鳥飼茜の地獄でガールズトーク』が3冊同時発売されたばかり。ほかに、「前略、前進の君」(小学館)、「マンダリン・ジプシーキャットの籠城」(KADOKAWA)を連載中。

取材・文/倉本さおり 撮影/杉原洋平 ヘアメイク/高野雄一(鳥飼茜)、谷本慧(尾崎世界観)


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