最新ニュース、芸能、ネットの話題をまとめ読み

 

「高学歴女子は患者数65倍」「ダイエットとは別物」専門医師が語る、摂食障害の原因

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 元AKB48の光宗薫が摂食障害や心身の不調を告白し、10月から芸能活動を休止中だ。また、アイドルグループBiSのプー・ルイがダイエット企画にて減量に失敗。マネジャーから「ブタ!」とののられる動画が話題となり、「摂食障害を引き起こす恐れがある」と警鐘を鳴らす専門家の声も見受けられた。こうした現状に対して、一般社団法人日本摂食障害協会副理事長の鈴木裕也医師は、「いわゆる一般のダイエットと摂食障害(拒食症、過食症)は別物」と、きっぱり指摘する。鈴木医師に、摂食障害とダイエットの違いや、世間に広まっている摂食障害への誤解について教えてもらった。

■芸能界は男女のトラブルが起こりがちで、摂食障害が多い

――最近、アイドルの摂食障害や過剰なダイエットに関するニュースが話題です。

鈴木裕也医師(以下、鈴木) 芸能人の摂食障害は、昔から多いんですよ。有名な女優や歌手も、恋愛の心の傷から摂食障害を患いました。惚れた男性から優しくされていた最中にポイッと捨てられたときの、女性の心の傷はとても深い。美男美女の多い芸能界は、そのような男女のトラブルが極めて多い世界なんでしょうね。

また、一般女子については、偏差値の高い学校の女子に摂食障害の発生が多く、私の病院の外来に来た患者さんの学歴を調べたところ、一番偏差値の低い37~41の高校出身の患者さんの数を1としたとき、偏差値73の高校出身の患者数は65倍だったんです。

この結果から、摂食障害を患いやすい人の特徴は、頭が良く、親のしつけがしっかりしていて真面目な子であることだといえます。学校の先生など教育者の子どもにも多く、進学を目指して勉強ばかりしていると、遊びや多様な人と付き合う機会が少なくなるからではないかと思います。

――フィギュアスケートの鈴木明子さんや、マラソンの原裕美子さんのように、スポーツ選手にも摂食障害は多い印象を受けます。

鈴木 スポーツ選手も多いですね。有能な選手なので期待されている。でも、練習がとてもつらい。二流・三流の選手ならサボったりやめたりできますが、日の丸を背負っているような一流選手は、やめるわけにはいかない。スポーツ選手の摂食障害は、選手のメンタルを考えず「やれ! やれ!」と、とにかくムチを打つようなコーチに責任があります。

おそらく、一般の人は、真面目な頑張り屋さんが摂食障害になりやすいことを知りません。「ダイエットなんて馬鹿なことをして摂食障害になったんだろう」といった見方をしている人が多いでしょう。しかし、ダイエットと摂食障害は別物です。

――時折、摂食障害を扱った番組が放送されていますが、「ダイエットをきっかけに、気づいたら摂食障害になっていた」という内容のものが多い印象です。これは誤った情報だということでしょうか?

鈴木 患者さん本人はダイエットだと思っていますが、実はダイエットではありません。本人がダイエットだと思っている奥には別の原因があります。人間は、だいたい15歳くらいで、50キロ前後の大人の体になります。でも、馬は4~5年で体重が400kg前後の大人になります。なぜ馬は5年で大人になるのに、人間は15年かかるのでしょう? 動物の脳を、コンピュータにたとえるとわかります。馬の脳はそんなに複雑な構造をしていないので5年で出来上がってしまいますが、人間の脳はレベルが高く、ソフトもたくさん入れなければなりません。

ようやくコンピュータが出来上がり、「さあ、一人前の大人として社会に出よう」となると、越えなければいけない、さまざまな人生のハードルにぶつかります。そのようなとき、普通ならばソフトをバージョンアップして、乗り越えていきます。しかし、どうしても乗り越えられない場合、グレたり横道にそれたりするという方法もありますが、偏差値の高い高校の真面目な子たちは、横道にそれるわけにもいかない。そこで「このコンピュータではダメだから、いったん戻る」という選択肢を取ります。体重を思春期前、10歳くらいの数字まで減らし、生理も止めて、「大人ではない準備中の体」で安心感を得るのです。これが拒食症の本質です。従って、拒食症の患者さんは、自己評価が低く、常に相手の機嫌を損ねないよう、争いが起きないように生活をしています。摂食障害を患った患者さん本人は、このことに気づいていないので「ダイエットしていたら、こんなふうになっちゃって、この体重から1キロでも増えると怖い」と言います。

患者さんたちは、体重が落ちたときは元気なんです。体重が増えて大人の体に近づくと、ビクビクしちゃう。骨と皮のような体でゴルフを楽しんでいる芸能人の写真が週刊誌に載ったことがありましたが、あれも痩せた体だから元気だったんです。

――でも、そこまで痩せてしまうと体力が落ちて、ゴルフのようなスポーツはできないのではないかと普通は思いますが……。

鈴木 人間などの哺乳類は、飢えに強いんです。飢えたオオカミはアドレナリンがガンガン出て攻撃力が増し、獲物を捕まえて食べて命をつなごうとする、最後の力が出るんです。人間もそれと同じで、摂食障害で痩せていても気持ちが安定していれば、むしろ通常の人よりも過活動になります。

――今年の8月、マラソン元日本代表の原裕美子さんが万引で逮捕された背景には摂食障害があったという報道を見ました。摂食障害と万引の関係性を教えてください。

鈴木 私の患者さんでも、下剤を万引する人がいました。体重を落とすために下剤を飲むのですが、毎日100錠というとんでもない量なのでお金がかかります。もちろん、体にも負担はかかりますが、そこまでしてでも体重を維持しないと怖いと、みんな言います。

――単純に、お金がもったいなくて盗むんですか?

鈴木 違います。人間の脳にはもともと、怒りっぽい人格や泣き虫な人格、そのほか、いろんな人格が混在しています。それらを取りまとめている総監督が「自分」です。ところが、「自分自身」にいろんな悩みごとがあると、ほかの人格のコントロールが利かなくなり、あるひとつの人格が勝手に突出して、その人格が万引や暴力といった問題行動を起こしてしまうのです。

万引した患者さんに聞くと「盗むつもりはなかったのに、いつの間にか商品を盗んでいて、『まずい!』と気づいたときには店員さんに『もしもし』と声をかけられてしまった。ただ、声をかけられたときはもう、万引をした人格は引っ込んでしまっていて、『自分』が謝り、責任をとらされることになってしまう」などと言います。

――摂食障害は1980年代から増えたと聞いたことがあるのですが、何が原因なのでしょうか?

鈴木 これは、1980年代に病院で診察を受ける患者さんが増えたという意味です。それまでも摂食障害自体はありましたが、認知度が低く、病院に行っても「きちんと食べましょう」としか言われてこなかったんです。しかし、1983年にカーペンターズのカレンが摂食障害で亡くなったことや、解説書などが出版されて、世間に摂食障害が知られるようになりました。

――摂食障害は、薬などで治療するのですか?

鈴木 心の傷が原因なので、薬では治りません。医師が患者さんの話を聞いてあげて、一緒に原因を探っていって、本人も病気を正しく理解し、納得することが第一歩です。そして、私の場合は「あなたはダイエットのつもりだけど、実は違うんですよ」という話をして、1人ひとりそれぞれ、その人の抱える問題点や悩みを解決していきます。

――摂食障害の予防や対策は、あるのでしょうか?

鈴木 ただただ受験勉強するだけでは、さまざまな人生のハードルを乗り越える抵抗力を身につける機会が不足します。やはり親は、育て方を考えねばなりません。いろいろな形で人とたくさん交流をして「自分」というものを築き上げるためには、小さい頃はきょうだいで、もう少し成長したら小学校でというように人との付き合い方を学び、年齢とともにプロセスを踏んで大人にならないといけません。今は一人っ子が多いから、それも抵抗力を下げる原因のひとつですね。現代は、大人への準備がうまくいっていない時代なのだと思います。
(姫野ケイ)

鈴木裕也(すずき・ゆたか)
一般社団法人日本摂食障害協会副理事長。慶應義塾大学卒、同大学院修了(内科学)。元埼玉社会保険病院院長・名誉院長。著書に『拒食、過食のながいトンネルをぬけて』(女子栄養大学出版部)。

外部リンク(サイゾーウーマン)

Yomerumoをフォローする

Yomerumoから人気記事をお知らせします!

Twitter

芸能ネタ最新記事

記事一覧

注目ニュース

> もっと見る


掲載情報の著作権はニュース提供元企業等またはGMOアドマーケティング株式会社に帰属します。記事の無断転用を禁じます。
すべての人にインターネット
関連サービス