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業界ノリ・内輪ウケ・瞬発力・バカ…すべてを封じられた『めちゃイケ』『みなおか』終焉の必然

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●クレームのリスクが高いという苦境
フジテレビ系バラエティ番組『めちゃ×2イケてるッ!』(毎週土曜19:57~、以下『めちゃイケ』)が4日の放送で、来年春での終了を発表した。同時に、『とんねるずのみなさんのおかげでした』(毎週木曜21:00~、以下『みなおか』)の終了も報道されているが、ネット上を中心に賛否両論が巻き起こっている。

放送期間は、『めちゃイケ』が約21年、『みなおか』が約30年(前身の『とんねるずのみなさんのおかげです』から通算)。歴史の長さだけで、2014年3月の『笑っていいとも!』終了以来の大事であることが分かるだろう。近年は低視聴率番組の象徴とされ、何度となく打ち切り説が流れていたが、一方で決して愛着を持つ人が少ないというわけではない。

しかし、「両番組のようなお笑い純度の高い総合バラエティは時代に合わないのではないか?」という声があり、実際のところ他局が総合バラエティを放送していないのも事実。今回の放送終了は、本当に両番組が時代に合わなくなったからなのだろうか。

○「面白い」「つまらない」以前の問題

両番組の共通点は、いい意味で「業界ノリ」と「内輪ウケ」の最高峰であること。常に楽しくにぎやかなムードを漂わせ、誰もが「あの輪に入りたい」と思わせるような勢いで視聴者を引きつけてきた。

しかし時代は変わり、生き方の多様化や生活の便利化によって、各個人が心地よい自分なりの輪(居場所)を持つようになった。つまり、『めちゃイケ』『みなおか』の輪に入りたいと思わず、距離を置いたところから見ているのだ。

すると、芸人同士のかけ合いやお約束ネタに耳を傾けなくなり、次第に「何をやっているのか」「何で笑っているのか」すら分からなくなってしまう。よく「番組が面白くなくなった」という声を聞くが、むしろ両番組ともに業界ノリや内輪ウケを減らして、「今、視聴者ニーズがありそうな企画」を模索していた。しかし、視聴者側の変化に対する答えを見つけられぬまま今日に至っている。

企画の面で厳しかったのは、「総合バラエティは、クレームのリスクが高い」という側面。先日、『みなおか』の30周年特番で保毛尾田保毛男のキャラクターが物議を醸したように、本来の魅力である「瞬発力」や「バカ」を出そうとするほど問題が起きてしまう、という苦境に陥っていた。

両番組のリーダーである、とんねるずとナインティナインは、「瞬発力」と「バカ」という個人技に長けた芸人だが、企画の段階からそれを封じられてしまうことになる。現在のバラエティで芸人たちに求められているのは、「瞬発力」よりも「調整力」。「バカ」よりも「クレバー」。現在バラエティへの出演が多い芸人の顔ぶれを見れば、いかに空気を読み、賢そうに振る舞うタイプが多いかが分かるだろう。

しかし、視聴者、特に若年層は「瞬発力」や「バカ」を求めていないわけではない。たとえば、毎年発掘される一発屋芸人や、ネット上で量産されているユーチューバー。彼らは『めちゃイケ』『みなおか』が失ったものの代わりになっているのではないか。

そもそもバラエティだけでなく、テレビ番組全般が「調整力」「クレバー」重視というのが実情。さらに『めちゃイケ』と『みなおか』が放送終了ということになれば、フジテレビだけの問題ではなく、業界全体にその傾向に拍車がかかりそうだ。

●「楽しくなければテレビじゃない」から脱却を
○「特番で復活」というアフターサービス

あらためて振り返ってみると、とんねるずとナインティナインという強烈な芸人がけん引しているために似た番組と思われがちだが、両番組の最盛期はまったく異なるキャスティングで勝負していた。

『めちゃイケ』が前身番組の『とぶくすり』から出演者を引き継いだほぼ芸人ばかりの総合バラエティであるのに対して、『みなおか』はアーティスト、俳優、アイドル、スタッフらを全面的に取り込んだイレギュラーな総合バラエティ。おぎやはぎバナナマンら芸人を大量投入した現在の形になったのは、かなり後だった。

『めちゃイケ』は、総合バラエティの王道。「若手芸人たちが成長して人気者になる過程を見守る」という楽しみがあった。しかし、彼らが結婚し、子どもが生まれたほか、悩みを抱える姿も目の当たりにし、さらに多くの新メンバーが不発に終わったことで、視聴者はその楽しみが終わったことに気づいてしまう。

一方の『みなおか』は、人気女優が全身タイツを着て頭を叩かれたり、野猿や矢島工務店が誕生したりなど、「何が起きるか分からない」ビックリ箱のような楽しさがあったが、流れが変わりはじめたのは『食わず嫌い王』のヒット。皮肉にも『食わず嫌い王』が人気を集めはじめたころから、その楽しさはジワジワと失われていった。

ともに流行したキャラクターやゲームは数えきれず、「今もう一度見ても面白いのではないか」と感じるものも多い。クレームを恐れる気持ちも理解できるが、残りの放送で視聴者に復活してほしいコーナーを募集してみてはいかがだろうか。

そして来年の春以降は、『学校へ行こう!』(TBS系)のように、「数年に一度、特番として放送する」くらいのアフターサービスを見せてほしい。ファンを歓喜させるだけではなく、視聴率も期待できるし、これほどの番組を完全終了させる手はないだろう。

○よりインパクトの強い新コピーを

これでフジテレビは、亀山千広前社長が『笑っていいとも!』、今年6月に就任した宮内正喜社長が『めちゃイケ』らの幕を引くことになる。「王者・フジテレビの象徴だった長寿番組、そして総合バラエティはすべて終了した」と言えるだろう。

今年10月改編期のテーマは、「reboot(再起動)」だった。フジテレビはこれを機に、薄々引きずり続けてきた「『楽しくなければテレビじゃない』はやめました」と宣言して、よりインパクトの強い新たなコピーを掲げたほうが視聴者にも、再起動を印象づけられるのではないか。

残り約5カ月間。どうせ終わるのだから、思い切りハジけてほしい。あの番組のキャストとスタッフなら、そんなことを考えているのではないか。そんなお祭り騒ぎのカウントダウンを期待している。

■木村隆志
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月20~25本のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などに出演。取材歴2,000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

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