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FMWの荒井昌一社長、ホントですか、そんな超大物が?――フミ斎藤のプロレス読本#128[ECW編エピソード20]

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199X年

9月28日、火曜。FMWの荒井昌一社長からお電話をいただいた。荒井社長は田中将斗、冬木弘道コミッショナーといっしょにシカゴへ飛び、ついにECWのライブを体感してしまった。

バックステージではポール・ヘイメン社長とポール・E・デンジャラスリーの“ひとりふた役”の変身シーンをしっかりと目撃してきた。FMWとECWは提携団体としての道を歩みはじめていた。

電話の要件はパンフレット、興行用ポスターに使用する外国人選手の写真のセレクトについて。「口頭で申しわけございませんが」という純日本的なイントロダクションのあとで荒井社長の口から出てきたカタカナはレイヴェン、トミー・ドリーマー、フランシーン、ボールズ・マホーニーといったECW主力メンバーたちの名だった。

荒井社長は「それから、これはまだ決定ではないんですが」と控えめに前置きをしてから、ECWとはなんの関係もない“超大物”ショーン・マイケルズの名をつぶやいた。

FMWの11.23横浜アリーナ大会はとんでもないイベントになるかもしれない。

30日、木曜。札幌へ出張。午前10時55分のANA便に乗って、羽田から新千歳まで仮眠。札幌到着後、携帯電話のスウィッチを入れると、荒井社長から留守録メッセージが入っていた。ショーン・マイケルズとは別ワクでドリーとテリーのザ・ファンクスが来日する可能性があるのだという。

夜6時半から9時半まで、専門学校Nで「ライター養成講座」の講義。いちおう3時間だけまじめに先生のふりをしなければならないぼくは、受講生のみなさんを退屈させないように“練習問題”をいくつか用意していった。

今回は“データ原稿”を“記事”にまとめるお勉強で、題材は「久米さん、ニュースステーション休養」と「カリスマ美容師」。

ぼくがブツ切れのデータ、キーワードの数かずを黒板に書き殴っていって、受講生がそれをつなぎ合わせたり、順番を並べ替えたりしながら“読めるもの”にリライトしていく。プロをめざしている人たちは、やっぱりけっこう書ける。

「ライター養成講座」のあとは、プロレスショップ“リングパレス”の日野雅仁店長といっしょに新井螢さんの経営するバー“パーサ・マラーム”で午前3時までお茶。

日野さんと新井さんは「週刊ラジオプロレス」(HBCラジオ)という番組のパーソナリティーとしてタッグを組んでいるオジサンの男の子たちである。

ふたりとも週刊プロレス別冊“北のプロレス名画座・札幌中島体育センター”の完成を心待ちにしていた。

土曜の朝にはフリーライターの須山浩継ができたての雑誌を100冊ばかり抱えて札幌まで飛んでくるのだという。トーキョーから札幌まではそれほど遠くないのに、札幌からトーキョーは遠い。

携帯電話の留守録をチェックすると、レジー・ベネットからメッセージが入っていた。アルシオンをやめたレジーねえさんは、トーキョーからちょっと離れたところに一軒家を借りて脱都会生活をはじめた。プロレスに関しては“充電中”ということにしてある。

10月1日、金曜。札幌から新高円寺の仕事場に戻ると、留守電にサンアントニオのショー・フナキFUNAKIからのメッセージが残されていた。

すぐに電話をリターンしてみると、フナキ本人が電話口に出てきた。トーキョーは午後2時で、テキサスは昨夜の午前12時。今週はずっとオフで、家でじっとしていたらしい。

2週まえの9月18日から21日まではサンアントニオ、オースチン、ヒューストン、ダラスとテキサス・ツアーに4日間、同行した。

巡業の途中でWWEのオフィスから健康診断書の提出を求められ、急いでサンアントニオに帰ってHIVの検査を受け、その足でまたツアーに戻った。

月曜と火曜は夕方からコスチュームを着てスタンバイしていたけれど、けっきょく“ロウRAW”にも“スマックダウンSmack Down”にもフナキの出番はなかった。

ショーン・マイケルズが主宰するTWA(テキサス・レスリング・アライアンス)が地元サンアントニオでテレビ番組の制作をスタートした。フナキはTWAのリングにも上がっている。

「試合がないとキツイです」とフナキはため息をついた。

※文中敬称略

※この連載は月~金で毎日更新されます

文/斎藤文彦


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