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中谷美紀、美貌の女盗賊に! ~三島由紀夫傑作戯曲×デヴィッド・ルヴォー演出の舞台『黒蜥蜴』に主演、大阪で会見!

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江戸川乱歩の長編探偵小説を三島由紀夫が戯曲化した舞台『黒蜥蜴』が 2018 年1月から東京と大阪で上演される。中谷美紀演じる美貌の女盗賊・黒蜥蜴と、好敵手にして運命の恋人、探偵の明智小五郎(井上芳雄)が織り成す、耽美でグロテスク、怪奇的な謎解きも楽しい究極の“純愛ストーリー”だ。演出には三島を敬愛する英国人演出家、デヴィッド・ルヴォー。ロンドンやブロードウェイで活躍する世界的演出家が「念願だった」と語る本作を初めて演出する。ルヴォーは「三島自身が興味を持っていたこと、音楽や映画、ダンスの要素も組み合わせて表現していきます」とコメント。また、三島は本作で「最新の舞台転換に挑戦していた」との解釈からその意思を尊重し、現代の観客に伝わる”いまの演劇”をめざすという。

舞台はハリウッドの撮影所をイメージした巨大なサウンドステージ、空間はタンゴを基調とした 5 人の演奏家による生の音楽で満たされ、物語は原作の 1940 年代から今回は一気に2020 年前後の近未来へと飛躍する…。スタッフや演出家の口から断片的に語られるイメージに、ルヴォー演出版『黒蜥蜴』への期待は高まるばかり。その夢の一翼を担い、演出家たっての希望で主演に抜擢された中谷美紀が、大阪公演の合同取材会で意気込みを語った。

「私も美しいものが大好きなので、黒蜥蜴の美への執着には共感します」


ーー演出家のデヴィッド・ルヴォーさんとは、NY でお会いになられたそうですね。

出演を決めかねていた頃、「直接ルヴォーさんとお話してみてはどうですか」とお会いする機会をいただき、NY へ飛びました。ちょうどルヴォーさんが他の作品を上演されていたので、朝の 8 時頃だったでしょうか、朝食をいただきながらのミーティングとなりました。優れた演出家というのは皆さん一様にどこか詐欺師のようでもあり、私の迷いや不安もお見通し。大丈夫だと、言葉巧みに魔法をかけてくださいました。どうせなら最後まで騙していただこうと、ついその場で出演を決めてしまいました(笑)。

先だって3日間行われたワークショップでも、ふらっとそれぞれの役者の側に近づいては耳元で何かを囁かれる。私には「君はクリエイティブだね」と。まさか本気にはしませんでしたが、そう言われると嬉しいんですよね(笑)。本当に言葉巧みなので、黒蜥蜴と明智ではありませんが、役者と演出家も騙し合いの関係だなと思います。

ーーワークショップでは、どんなことを試されたのでしょう。

一番最初のエクササイズは、25 人のキャストが円陣を組み、一人が「パン!」と手を叩いたり、「わ!」と声を出したりして、それと同じだけのエネルギーとリズムを次の人にリレーで渡していくというもの。ミュージカル界のプリンスと言われる井上芳雄さん、宝塚歌劇団ご出身の朝海ひかるさんなど、それぞれバックグラウンドが異なる出演者が一緒に音や声を出すことで、空気が一つにまとまっていく。企業研修にも使えるのではないかと思えるほど、チームを形成する上で助けになりました。他には、2人1組でペアになり一人がこの世に存在しない言語を使って(!)スピーチを行い、それをペアの方が通訳する。相楽樹さんは相方のスピーチを「今日はほうれん草の美味しい茹で方をお伝えします」と通訳してくれました(笑)。舞台に不必要な自我や虚栄心、恥を捨て去る、心の良いエクササイズになりました。

ーー(笑)。現時点で、黒蜥蜴とはどんな女性だとお感じですか。

美に執着するあまり、それ以外に関心がない。人間らしい血の通った生活を送って来られなかったという意味では悲しいひとなのかもしれません。一方で、自分には血も涙もなく、心がない人間だと思っていた彼女が、明智小五郎という唯一のライバルに出会うことで人間らしい恋心、あるいは愛を知る。そういう相手に出会えたという意味では、幸せな人でもあるのだと思います。

ーー美しい人間を剥製にしてまで留めておきたいと思う、美への執着については。

悲しいですよね。でも、どこか共感する部分もあるんです。私も美しいものが大好きで、美しいものに触れたいがために生きているようなところがあるので。人を殺したいとまでは思いませんが(笑)。
『黒蜥蜴』製作会見でのパフォーマンスより 撮影:舞山秀一
『黒蜥蜴』製作会見でのパフォーマンスより 撮影:舞山秀一

ーー東京の製作会見では、黒蜥蜴のドレス姿が印象的でした。

人は仮面を着けると何でもできる気になってしまいますよね。衣装も物言わず多くを語ってくれるので、先日の製作会見でも衣装が(役を担って)お芝居をしてくれました。逆に稽古の始まりは私服で演じることになるので、どうしても素の自分が残ってしまい心のブロックが外せない。私服で演じるのが苦手です(笑)。よく日本舞踊の先生が「素踊りが一番難しい」と仰るのも、同じ理由だと思います。

ーー黒蜥蜴役は過去に麻実れいさん、美輪明宏さんなどが演じて来られました。違いなどは意識されますか。

いま、お二人のお名前がグサグサとプレッシャーとなって、胸に突き刺さっております。私自身の黒蜥蜴がどうかなんて滅相もない。おこがましくて言葉もありません。今回はデヴィッド・ルヴォー版の演出がどうなるのかを探りながら作っていきたいと思います。写実的に描くこともできるはずなんですが、ルヴォーさんはト書きをかなり新しい解釈で読み解かれています。映画的な手法や身体表現などを用いた、今までにない世界観でお見せすることになると思います。

「耽美で残酷な官能の世界、胸がヒリヒリするような男女の愛の物語です」


ーー『黒蜥蜴』という作品の魅力については、いかがでしょう。

耽美的な世界で繰り広げられる残酷かつ官能的な愛の物語。残酷なのに美しい、胸がヒリヒリするような愛が描かれていることが、魅力ではないでしょうか。恐らく三島は江戸川乱歩の原作から、黒蜥蜴と明智小五郎の恋愛に特化して戯曲を書いている。ルヴォーさんもラブストーリーだね、ロマンチックだねと仰るので、そこを突き詰められるのではないかなと。読み物としても読み応えがあり、三島由紀夫の作品の中でも最も分かりやすいエンターテインメントの一つだと思います。

一方で演じるとなると詩的で文学的であるがゆえに、台詞を記憶するのが大変なんですね。例えば「新聞記者たちの万年筆は自分から叫び出し…」とあれば、本当に万年筆が自分から叫び出す所をイメージし、「世界中のピストルがからすの群のように飛び集まって…」という下りでは、本当に地球の上をピストルが烏のように飛ぶのをイメージする。これを全部イメージしていると、結構時間がかかるんです(苦笑)。

ーーご自身がルヴォーさんの演出に期待されることは。

ここ数日ご一緒していて、ただ主役を目立たせるのではなく、全体のバランスをすごく大事にされていることを感じます。それは私自身、いつも望んでいることです。アンサンブルの皆様と身体的な動きであるとか、時間をかけて丁寧に向き合っていますので、そのお姿から学ぶことも多い。私も心の鎧を取り去ることで、アンサンブルの方々の動きから、自分のキャラクターが合わせ鏡のように見えてくるのではないかと期待しています。
『黒蜥蜴』製作会見でのパフォーマンスより 撮影:舞山秀一
『黒蜥蜴』製作会見でのパフォーマンスより 撮影:舞山秀一

ーー舞台へは、初舞台『猟銃』(後に再演)、『ロスト・イン・ヨンカーズ』を経て、本作で3 作品・4 度目のご出演です。

舞台は恐ろしい所だなと思います。ひとり芝居のようなモノローグで 3 役を演じた前回の『猟銃』では、言葉を発しないフィジカルアクターのロドリーグ・プロトーさんが、「演劇の世界は黄金の牢獄だ」と仰っていました。まさにこの世界を表現している言葉ではないかと思います。『猟銃』では自ら体をナイフで削っているような感覚に陥りましたので、早く終わって欲しいと、千秋楽を指折り数えて待っていました。エネルギーを奪われましたね。舞台への出演は、毎回「この作品が最後」という気持ちで演じています。

ーー初舞台『猟銃』では紀伊國屋演劇賞個人賞、読売演劇大賞優秀女優賞に輝き、続く『ロスト・イン・ヨンカーズ』では読売演劇大賞最優秀女優賞を受賞されました。とりわけ『猟銃』では美しい日本語による台詞術でも注目を集めました。

言葉が借り物にならないようにすることは一番の目標です。やはり、優れたパフォーマーを見ると楽器、声、踊りにとらわれていない。本当に自由だなと感じます。20 年ほど前、初めてヨーヨー・マの演奏を聴いたときは楽器がそこにあることを忘れさせるぐらい、楽器から自由になっているように見えました。シルヴィ・ギエムの踊りにしてもそうですし、そうした方々のお姿を見ると、まだまだ自分は自由になりきれていないなと感じます。

ーー最後に、改めて意気込みを。

いかんせん舞台経験が少なく緊張もあり、最初は黒蜥蜴役に対して「少々荷が重いな」という思いもありましたが、ルヴォーさんが懐深く受け止めてくださるので、本番までには黒蜥蜴役をつかみたいと思います。皆様ご存じの通り江戸川乱歩原作、三島由紀夫戯曲の素晴らしい作品です。ルヴォーさんの演出と相まってめくるめく世界をお届けできると思います。

取材・文=石橋法子

公演情報
「黒蜥蜴」
■原作:江戸川乱歩
■脚本:三島由紀夫
■演出:デヴィッド・ルヴォー ■出演:中谷美紀、井上芳雄/相楽樹、朝海ひかる、たかお鷹/成河
一倉千夏、内堀律子、岡本温子、加藤貴彦、ケイン鈴木、鈴木陽丈、滝沢花野、長尾哲平、萩原悠、松澤匠、真瀬はるか、三永武明、宮菜穂子、村井成仁、安福穀、山田由梨、吉田悟郎(50音順)
■公演日程:
東京公演:2018年1月9日(火)~ 28日(日)日生劇場
大阪公演:2018年2月1日(木)~ 5日(月)梅田芸術劇場メインホール
■チケット発売中

■料金:
東京公演 S席 12,500円 A席 9,000円(全席指定)
大阪公演 S席 12,500円 A席 9,000円 B席 5,000円(全席指定)
■企画・制作:梅田芸術劇場
■問い合わせ(10時~18時):梅田芸術劇場 0570-077-039[東京] 06-6377-3800[大阪]
■公式サイト:http://www.umegei.com/kurotokage/

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