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衰退で「人が歩いていない」兜町、なぜ観光客急増でブーム?再開発続出で繁華街化? 

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 明治時代に東京株式取引所(現・東京証券取引所)が開設されて以来、東京都中央区日本橋の兜町は長らく投資家が集まる街だった。政界の中心地を“永田町”と呼ぶように、証券業界の隠喩として“兜町”という言葉も生まれるほど、街には証券会社が店舗を構え、あちこちに証券マンが歩いていた。

しかし、兜町も時代の波には逆らえなかった。株取引のコンピューター化が進められ、取引所の名物でもあった担当者による身振り手振りによる売買は1999年に廃止。以降、兜町からは証券マンや投資家が姿を消し、兜町は衰退の一途をたどった。兜町の衰退はその後も止まらず、IT化によるネット証券の隆盛でますます兜町からは人が遠のいていった。

そんな兜町が、ここ最近になって注目を浴びている。東京では千代田区・中央区・港区といった都心部への回帰現象が鮮明になっているためだ。兜町は東京駅や銀座・日本橋といった商業エリアからも徒歩圏。東京駅・銀座・日本橋は平日昼間に会社員が闊歩し、買い物客でもにぎわう。休日はビジネス街という趣から一転し、海外からの観光客がひしめき合う。

そうした街の喧騒とは正反対に、兜町界隈は平日の昼間も休日も、まるでゴーストタウンになってしまったのではと勘違いするぐらい閑散としている。日本橋や丸の内は再開発によって人が戻ってきたにもかかわらず、兜町は人が歩いていない街のままだ。

兜町は、当時の物流の主役だった水運を考慮して造成された歴史がある。現在でも兜町は隅田川と日本橋川に接しており、東京湾から船でアクセスするには抜群の立地だ。

しかし、地下鉄や自動車が日常の移動手段になっている現代では、そうした水運は役に立たない。それどころか、むしろマイナスになっているといえるかもしれない。

「明治以降、“証券取引の中心地”だったにもかかわらず、兜町にはJRも地下鉄も存在しません。最寄駅は隣町にある東京メトロ・茅場町駅。だから兜町の知名度は低くなっているのです」(中央区職員)

「〇〇駅から徒歩〇分」といった具合に、東京で場所を説明するときは、なによりも駅が中心になっている。兜町という駅は存在しないため、一般的にはマイナーな街とされてしまい、グルメ雑誌や街歩き番組などでも単体では扱われなくなる。兜町は「日本橋」や「八重洲」とまとめて取り上げられるようになった。それが、ますます兜町の存在感を薄くした。

●兜町の再生計画

このまま手をこまねいていれば、証券取引の聖地・兜町は埋没してしまう。輝かしい歴史をつくってきた兜町を消滅させるわけにはいかない。そんな危機感を抱いた業界関係者や地元住民・商店街関係者・中央区は一致団結。兜町を再生させるための計画を練り始めた。

兜町の再生計画が動き始めると同時期に、世間ではゼロ金利で銀行にお金を預けていても無意味になったことで、投資ブームの機運も高まりを見せていた。金融庁でも、森信親長官が掲げる「貯蓄から資産形成へ」の方針を推奨。それが、投資額は小さいながらも個人投資家を増加させる一因になった。

個人投資家の増加を敏感に嗅ぎ取ったのが、旅行代理店だ。前述したように、兜町は東京駅や銀座から徒歩圏。また、移転問題でクローズアップされている築地市場からも近い。そうした地の利を活かし、旅行代理店は投資初心者を対象にした「証券取引所を見学し、築地で舌鼓を打ち、銀座で買い物する」という一日ツアーを売り出す。これが、思わぬヒット商品となっているのだ。前出の中央区職員は言う。

「旅行代理店が売り出しているパッケージツアーのほかにも、旅行代理店を通さないで2~6人前後の友達同士で兜町・築地・銀座を巡る方々も多いようです。そうした方々もいるので正確な実数は把握できていませんが、いろいろな関係者からの話を踏まえると推定でも年間7万人が証券取引所を訪れているようです。そうした“観光客”がもたらす経済効果は決して小さくありません。思わぬ観光特需に、地元は沸いています」

しかし、築地市場の豊洲移転は迫っている。兜町に7万もの観光客が押し寄せるのは、見学後に訪れる築地の“食”を目当てにしている部分も大きい。

中央区は、築地市場がある今のうちに証券取引所を訪れる観光客を10万にまで増やし、兜町ブランドを確固たるものにしようと躍起になっている。築地市場は早ければ来年度にも豊洲に移転してしまうが、それでも兜町界隈は意気消沈していない。現在、中央区はあちこちで再開発を活発化させているからだ。

「現在は日本橋地区の再開発に取り組んでいますが、兜町でも再開発計画が進められています。不動産デベロッパーの大手の平和不動産は、『兜町7地区』と呼ばれるエリアに複合ビルの計画を発表しています。これは、2020年にオープンする予定ですが、その後も兜町の再開発は目白押しです」(同)

奇しくも小池百合子都知事が「東京を国際金融都市にする」と宣言したことも、兜町復活を後押しする好材料になっている。東京の不動産は五輪特需ともいえる活況を呈しているが、五輪後はその反動を懸念する声も聞かれる。しかし、兜町にその心配は少ない。兜町には、経済界からも注目が集まっている。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)

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