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崖っぷちヤンキース田中を救った「ボールハンター」のファインプレー

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まずはこのビデオをご覧いただきたい。ヤンキースが背水の陣で挑んだALDS(アメリカンリーグ地区シリーズ)第3戦。0-0で迎えた6回表、1アウト1塁。先発の田中将大がライトに打たれた大きな飛球を身長2メートルのアーロン・ジャッジが好捕してホームランをもぎ取ったシーンだ。

https://www.mlb.com/video/judge-on-home-run-robbery/c-1861847683?tid=94769534

「今日は打つ方で(3打数3三振と)活躍できなかったから、何かインパクトある仕事をしたいと思っていたんだ」(試合後のジャッジ)

「試合を救う素晴らしいキャッチだった。何度も言うようにアーロン・ジャッジは打つだけでなく、走塁も守備もできる、すべてを備えた選手だ」(試合後のジラルディ監督)

あわや先制点かと思われた一打がジャッジのグラブに収まり、田中はギアを上げた。7回を3安打7奪三振の無失点と文句なしの内容で投げ切り、ヤンキースは1-0で勝利。地区シリーズでの敗退を免れた。

◆ジャッジの背後に忍び寄っていた「もう一人の選手」

試合後のジラルディ監督は「今夜の田中は素晴らしかった。これ以上を求めることは出来ないほどのピッチングをしてくれた」と称賛した。そしてもう一人、陰ながらヤンキースの勝利に貢献した「野球ファン」がいたことをご存知だろうか。

彼の名はザック・ハンプル(@zack_hample)。冒頭のビデオに黄色いTシャツ姿で身を乗り出している野球ファンだ。グラブ片手に各地のボールパークに現れるザックは、試合前の打撃練習からボールをせっせと拾いまくる「ボールハンター」として、アメリカ球界ではちょっとした有名人だ。

ザックがこれまでキャッチしたボールは27年間で10,138個。訪れたボールパークは53球場。にわかに信じがたい数だが、彼は1990年のコレクション開始からメジャーのあらゆる球場を巡りながらボールゲットのノウハウを蓄積してきた。2012年3月に東京ドームで開催されたシアトル・マリナーズ対オークランド・アスレチックス戦に来日したザックは、何と2試合で23個のボールをゲットしたこともあった。

プロ野球選手が夢だったザックは、高校時代に地区の選抜チームに選ばれはしたものの、選手としては限界だった。いつしか彼はメジャーリーグの球場で「ボールをキャッチする」ライフワークを見つけた。やがて『メジャーリーグのボールの捕り方』『賢い野球観戦』なる著書も出版するほどに有名となったザックは、試合前の打撃練習、選手たちがスタンドに投げ込むボール、ファールボールやホームランボールをキャッチするため、常に複数エリアのチケットを用意して観戦する。多くのボールをキャッチするには、状況に応じた移動が欠かせないという。

「メジャーリーガーが投げたボールを、メジャーの強打者がバットで打ち返す。そのボールをダイレクトでキャッチする瞬間は、ベースボールとの繋がりを実感できる特別な瞬間」と語るザックは、これまで50本以上のホームランをキャッチしてきた。その中には日本でも大人気のAロッドこと、アレックス・ロドリゲスの3,000安打(ライトへのホームラン)のボールや、強打者マイク・トラウトのメジャー初本塁打のボールも含まれる。

そんなザックは、田中が肝を冷やしたALDS第3戦のライトスタンドにいた。黄色いシャツの彼が目一杯にグラブを伸ばしていれば、ジャッジが好捕したボールは0対0の均衡を破る先制2ランアーチとなっていたかもしれない。それほど近くに彼はいた。

しかしあの瞬間、ボールハントの達人であるはずのザックは、とっさの判断でグラブを差し出さなかった。別アングルの写真でも、ザックが選手の守備機会を妨害することは確認されていない。「(選手のプレーを妨げる)インターフェアはしない」のが彼の流儀だ。

思い返せば2003年のシカゴ・カブスの「スティーブ・バートマン事件」や、今年3月のWBCでの「山田哲人の幻のホームラン」など、ボールを取りたい一心でグラブを差し出したファンの行為が、時に社会問題に発展することもある昨今。今回ザックが見せた神対応は、田中の窮地を救っただけでなく、野球ファンの観戦マナーの指針となる隠れたファインプレーだった。

田中の好投から一夜明けた今日も、ザックの姿はヤンキースタジアムにあった。いつものようにボールハントに精を出す彼は、早速ポストシーズンのロゴ入りボールをゲットした。ルールの範疇でボールを追い続ける彼のパッションは、果たしていつまで続くのか――。

●ザック・ハンプル氏のHP http://zackhample.com/

取材・文/小島克典(スポーツカルチャーラボ) www.scl.tokyo


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