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母乳で感染?HTLV-1母児感染対策について

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■HTLV-1ウイルスとは?どんな疾患を引き起こす?
先日、厚労省研究班が母乳ではなく完全ミルク育児を推奨したというニュースがありました。とはいえ、すべてのお母さんが対象になるわけではありません。お母さんがHTLV-1ウイルスを持っていると母乳を介して赤ちゃんに感染するため、対策を見直したということです。
「HTLV-1ウイルス」はヒトT細胞白血病ウイルス-1型と呼ばれ、成人T細胞白血病などの原因であることがわかっています。日本は先進国の中でHTLV-1抗体の陽性者が最も多く、100万人を越えています。西日本に多くみられましたが、人口の移動とともに全国に拡散する傾向にあります。
主なHTLV-1関連疾患としてはATL、HTLV-1関連脊髄症(HAM)が挙げられます。
ATLとは白血球の中のT細胞にHTLV-1ウイルスが感染し、がん化することで発症する血液のがんです。多くは母子感染によりHTLV-1ウイルスに感染し、長い経過の後、60歳代後半を中心に発症します。リンパ節腫脹、皮疹などの症状の他、強い免疫不全となり、ATLを発症すると白血病の中でも予後が不良、つまり見通しが良くないといわれています。ただ、生涯発症率はHTLV-1ウイルスに感染した人(キャリア)のうちの約5%であり、特に40歳以前の発症はまれです。
一方、HTLV-1関連脊髄症(HAM)は、30~50歳代の発症(平均40歳)が多くなっています。下肢のつっぱり感や歩行時の足のもつれなどが最初の症状で、進行性に両下肢の痙性不全麻痺を起こし、日常生活が著しく制限される難病です。1年間でキャリア約3万人に1人の割合で発症し、キャリアの生涯発症率は0.3%と推定されています。

■懸念される赤ちゃんへの感染
もしお母さんがHTLV-1ウイルスを持っていた場合、赤ちゃんへの主な感染経路は母乳による母子感染です。母乳中のHTLV-1ウイルスに感染したリンパ球が体内に入ることにより感染します。母乳栄養の場合の母子感染率は17.7%と報告されています。母乳をやめて人工栄養にすることで母乳を介した母子感染を最も確実に防ぐことができます。ただし、完全に人工栄養にした場合でも約3%の赤ちゃんに感染が起こるため、母乳以外の感染経路(産道感染、経胎盤感染など)も考えられています。
現時点では母乳をやめて完全人工栄養にすることが最も信頼できる予防方法とされ、推奨されています。母乳による感染のリスクを十分に説明してもなお母乳を与えることを強く望まれる場合には、短期母乳栄養や凍結母乳栄養という選択肢もありますが、まだ安全性の確立した方法ではないため、積極的には行わないという方針になりました。
短期母乳栄養とは授乳期間を生後90日までに制限する方法です。子宮内でお母さんから赤ちゃんに移行した抗体(免疫力)が存在する短期間(生後90日間)だけ母乳栄養を行い、その後、人工乳にする方法です。ひとたび母乳栄養すると止めにくく、母乳栄養が長期化すると感染のリスクが高くなることが問題になっています。
凍結母乳栄養とは搾乳して24時間以上凍結することで、感染リンパ球を破壊してから解凍して授乳する方法です。問題点としては、直接授乳ができないこと、搾乳・凍結・解凍などに手間がかかること、近年のcellalivesystem(CAS)の冷凍庫は予防効果が期待できない可能性があることが指摘されています。

■まずは必ず妊婦健診を!「HTLV-1抗体検査」を受けましょう
お母さんがHTLV-1ウイルスを持っているかどうかは、妊娠30週までに妊婦健診を受診した時の血液検査で知ることができます。
もし、HTLV-1ウイルスを持っている可能性があった場合は改めて精密検査を受けることになります。まずはお母さん自身の健康管理のためにも、赤ちゃんのためにも、妊婦健診は必ず受けるようにしましょう。
参考
・HTLV-1母子感染を防ぐために 平成28年度版
公益社団法人日本産婦人科医会、公益社団法人日本小児科医会
・HTLV-1母子感染予防対策マニュアル
「HTLV-1母子感染予防に関する研究:HTLV-1抗体陽性妊婦からの 出生児のコホート研究」
昭和大学医学部小児科学講座 板橋家頭夫
(川村 美星/)

外部リンク(JIJICO)

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