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「女のコがパンツを脱ぐ!!」やらせ番組だと思われていた「イカ天」への期待

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 5月に上梓した『1985-1991 東京バブルの正体』(MM新書)は、ことのほかに話題となり、派生してさまざまな依頼もあり、ありがたいことこの上ない、今日この頃。

とはいえ、新書のページ数ゆえに、けっこうな部分を削除せざるを得なかった。というよりも、実際に本に記述したのは取材や調査で知った事実の十分の一程度か。まだまだ、書きたい衝動の収まらぬ事どもは、山の様にあるという具合である。

例えば、当時のテレビ事情。「イカ天」こと『平成名物TV 三宅裕司のいかすバンド天国』(TBS系)のブームについては、ページを調整して、なるべく多くを語った。現在ありがちな回想では、多くの新たなスタイルのバンドが誕生し、盛り上がったことが語られる。

ただ、これは歴史の「綺麗な」一面に過ぎぬ。

実のところ、この番組が盛り上がった理由は、なんといっても世の男子たちが「女のコがパンツを脱ぐ」可能性に賭けていたことにある。第1回の放送で、完奏できなかったガールズバンド「ヒステリック」が「バカヤロー! ズボン脱ぐぞ! オラ!」と叫んで、パンツまで脱いでしまったのである。肝心の部分は、カメラマンの妙技で電波には乗らなかったのだが、噂が噂を呼び「何が起こるかわからない番組」=「もしかすると、エロいハプニングが起こるかもしれない」と考えて、チャンネルを回す人は急増したというわけである。

実は筆者も、肝心のこのシーンを観たのは、21世紀になってから。YouTubeが普及したことで、ご家庭のビデオテープに保存されていたであろう過去のテレビ番組の録画を、アップする人は増えた。著作権的な部分での是非は別として、なかなか見る機会のない、こうした映像を見ることができるのは貴重だ。

で、肝心のシーン。文字や言葉で聞くのと、実際に見るのは、まったく別。「バカヤロー!」と突然画面に入ってくるメンバーは、まったくエロくない。演奏シーンは見たことがないのだが、パンクバンドなのだろうか。エロくなくて怖いのである。

21世紀の今では忘れられた感覚だが、90年代まで世の男子は、新聞のテレビ欄をチェックして、深夜に放送されるエロそうな番組を探すことに余念がなかった。

朝、テレビ欄で深夜1時頃から『エマニエル夫人』放送なんてのを見つけると、もう一日中、興奮は止まらない。居間に1台しかないテレビで、どうやって家族に見つからないように番組を楽しむか。エロを楽しむためには、知恵と冒険が欠かせなかったのである。

1995年からフジテレビ系列深夜で放送されていた『THEわれめDEポン』なんて、テレビ欄を見る限り、絶対にお色気番組。だが、期待してチャンネルを回すと始まったのは芸能人による麻雀対決……これ以降、いまだに「テレビを容易に信じてはいけない」という気持ちは強い。

■やらせ番組だと思われていたイカ天

さて、前述のイカ天におけるパンツ事件だが、この実相に迫っているのはメディア批評誌「創」1989年10月号に掲載された小森収「視聴率は二の次? 深夜TVの奇妙な隆盛」である。ここでは、番組のプロデューサーだった、田代誠のコメントが記されている。

「番組も最初は理解されていなくて、ヤラセの出来レースだと、バンド側が思ったらしいんですね。優勝するバンドは決まっていて、それがプロデビューするために仕組まれた番組なんだと。それで、どうせチャンピオンになれないのなら、メチャクチャやっちゃえということだったのじゃないか」

実に、この記事で記されているオーディション風景は和やかなものだ。番組前の説明会で「本番中パンツは下ろさないでください」という注意もあるが「必ずしもそうしたハプニングがこれからも起こると、考えているようには聞こえない。そういう注意自体シャレで言ってるようである」とある。

かくて、番組は隆盛を極め、新たな音楽の世界を繰り広げていくわけである。そこでは、次々と、それまでにないスタイルのバンドが登場したのであった。

ということで、続く。(文=昼間たかし)

外部リンク(日刊サイゾー)

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