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64歳生活保護ロッカーに密着!太田信吾監督インタビュー

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神奈川・三浦半島の最南端に位置する城ヶ島公園で9月30日に初開催された野外映画祭『星降る町の映画祭 with CINEMA CARAVAN』。目の前に広がる三浦半島の絶景のロケーションで上映されたのは、新進気鋭の若手監督による3作品。



今回、Entame Plexでは、その中で「大津 city 今恋心」を出品した太田信吾監督にフィーチャー。

彼の真骨頂とも言えるドキュメンタリーで密着した人物は、ダンシング義隆64歳。1970年代後半、関西を中心に熱狂的な人気を博したロックバンド:誰がカバやねんロックンロールショーのボーカリストとして活躍した彼は、人気絶頂期にバンドが解散。バンドメンバーから絶縁関係に置かれ、生活保護を受給しながら今なおソロシンガーとしてロックを続け暮らしている。

叔父からバンドの再結成を熱望された義隆が、和解を求めてかつてのメンバーを訪問し、奮闘する姿を追った本作について、太田監督にいろいろと話を聞いた。

――「星降る町の映画祭」で初上映を迎えた今のお気持ちは?

「上映が決まっていない状態でずっと撮っていたので、こういう機会をいただけて嬉しいです」

――屋外で、しかもこのロケーションでの映画祭は珍しいですよね。

「映画館だと自分が観たい作品の前情報を入れてから観に行くことが多いですが、今回は映画目的じゃない方も多くいらっしゃるイベントとあってなかなかない機会です。自分の好きな情報しか入ってこないような時代になってきているので、すごく貴重な場だと思います」



――今回上映される「大津 city 今恋心」はどのような経緯で?

「僕が主人公であるダンシング義隆さんと出会ったのも、公園でやっていたライブを偶然見掛けたのがきっかけだったんです。“この人なんなんだ!?”という強烈なキャラクターに惹かれて、2014年1月から撮り始めて」

――そこからどれくらいの期間密着したんですか?

「3年ぐらいですね」

――義隆さんへの密着を始めて、撮影当初から完成形は思い描いていた?

「いや、まったく。彼はお金がないけど大阪から東京に行ってツアーをすると言うので、ロックンローラーとして面白そうだなと思って、最初は東京でのツアーに密着取材したんです。義隆さんの家族関係や昔やっていた誰がカバやねんロックンロールショーというバンドのことは知らなかったんですけど、大阪ではタクシーの運転手さんや道行く人が“あの人もしかして……”って知ってるほど有名な人みたいでびっくりしました」

――そこからどんどんと引き込まれていったと。

「タイトルにも付けた彼の故郷である大津の街にはかつて米軍キャンプがあって、そこで出会った将校の方との交流がロックに触れるきっかけになったり、彼の大津での生い立ちから歴史的な部分も見えてきたりして。ロッカーとしての表面的な面白さだけでなく、彼のバックボーンとかに興味が湧いてきて、実際に聞いた話から内容を固めていきました。今回、作品の中にはアニメーションパートもあって、いろんな角度から撮影していきました」



――3年もの期間にわたって密着すると、大変なことも多かったのでは?

「義隆さん自身公言されていますが、生活保護を受けて暮らしているんです。いろんなところにライブをしに行くので、お金がどんどんなくなっていくんです。そんなとき、僕たちスタッフにちょっと貸してほしいと。そのお金を工面するのが大変でしたね(苦笑)。でも義隆さんのために何とかしようと……決してイヤな感じではなく。ロックンローラーとしてのカッコイイ姿だけでなく、生活保護を受けるしかない今の生活面での苦境などギャップがあるところもすべてさらけ出してくれました。どうやったら生活保護から抜け出せるのかと僕らに相談もあって……それを一緒に考えたりしましたが、とても難しい部分でした。まだ解決していないです」

――義隆さんは現在64歳で今なおロックを続けている。そんな姿を目の当たりにして思うことはありました?

「すごいですよね。義隆さんと出会ったのは東日本大震災があった翌年でした。初めて彼のステージを観たとき、原発事故への怒りを曲にぶつけていて……。自分を締め付けるような声の出し方だったので、この人はどうしてこんなに苦しそうに歌うんだろう……本当はこんなこと歌いたくないんだけど、敢えて自分が歌わなきゃいけないという使命に駆られたかのような姿に、カッコイイというよりも衝撃を受けました。それは、俗にいう反戦ソングではなくて、ものすごく生々しい表現で。後々、密着していく中で分かったんですけど、義隆さんのご家族もお父さんが戦地に駆り出されたり、お母さんは空襲から逃げたりといったこともあったからこそ、歌詞や曲にも説得力を感じたんだと思います」

――彼のことを知らない世代も多いと思いますが、この作品をどんな人に観てもらいたいですか?

「特にこの世代に観てほしいというのはまったくなくて……。僕が彼とたまたま出会ったように、予想外の出会いでこの作品を観てくれたり、彼の音楽を聴いてくれる人が増えたらいいなと思います」

――ドキュメンタリーを撮る上で、こだわっていることは?

「人が言えないこと、目を背けて直視しようとしないことを映像を通して伝えていきたい。固定観念を疑うことがドキュメンタリーの使命というか……。映画を観て、ただの娯楽として消費するだけではなくて、“あっ、こういう生き方もあるんだ!”と新しい気付きや価値観を提示できるものでないと作る意味がないんじゃないかと。ドキュメンタリーを撮っていて、自分の想像を超えるものに導かれていく瞬間はいつも心が動かされます」



――大作とインディペンデントと、映画の2極化を感じているそうですが。

「自主制作とかオンリーワンの映画が今求められているんじゃないかというのは感じています。映画の多くが、テレビドラマなどでいつも観る役者さんが出ていたり、多様性がどんどんなくなっていて、“わざわざ映画館で観なくてもいいじゃん”という人も多いのではないでしょうか。ここでしか観られないという特別な付加価値を作品のスパイスとして入れていくことを、作り手の立場としてはいつも意識しています」

――太田監督の思うこの作品の見どころをお願いします。

「還暦を過ぎて、普通であれば定年を迎えて余生をゆっくりと……という年齢ですけど、64歳になっていまだに夢を追いかけている男の姿を目に焼き付けてほしい。若い人は、どうやって歳を取っていくべきか考えられると思うし、義隆さんと同世代の人は、老いというものだけでなく彼のロックンローラーとしての姿から勇気をもらえるんじゃないかと。あとは、純粋に彼の曲や音楽を楽しめると思いますし、喧嘩も多い兄弟ですけど、3兄弟と90歳を超えたお母さんとの繋がりや家族の絆のような部分も、実在する家族物語として何かを感じ取ってもらえたら嬉しいです」

太田信吾監督によるドキュメンタリー作品「大津 city 今恋心」は、星降る町の映画祭with CINEMA CARAVAN特設サイト内にて、10月31日(火)までの期間限定で本編動画が公開中!

外部リンク(Entame Plex)

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