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知られざる“老人ホーム経営”の実態――本当に怖いのは「悪徳業者」よりも「素人業者」

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老後のための住まい探しについて、きちんと向き合ったことがあるだろうか。70歳くらいになったら考える? パートナーに先立たれたら考える? 「マイホームがあるから気にしたこともない」という人も多いかもしれない。

実はこの〈老後〉には確固たる定義はない。だから40代や50代のうちから「老後はどこで暮らすのか」を具体的にイメージし、老後の住まい探しと真剣に向き合うことは簡単ではない。そんな老後のための住まいについて、高齢者住宅の経営コンサルタントであり、『「老人ホーム大倒産時代」の備え方 高齢者住宅を正しく見極める』の著者、濱田孝一氏は大きな警鐘を鳴らす。

「老後のための住まいを甘く見てはいけません。一年一年、誰もが絶対に年を取ります。期間の差こそあれ、ほとんどの人は足腰が立たなくなり、判断力が低下し、いずれは自活できなくなります。ですから、タブー視することなく、心身ともに健康である40代、50代のうちに、老後はどこでどうやって暮らすのかを家族で話し合い、その準備や心構えをしておく必要があります」

このように濱田氏が指摘するのには理由がある。それは、素人による事業者が急増し、制度上の不備などとも相まって、口先だけの劣悪な老人ホーム・高齢者住宅が増加しているからだ。

「2016年度の介護サービス事業者の倒産件数は100件を超えます。2011年に高齢者住まい法で新設されたサービス付き高齢者向け住宅に至っては、263件もの廃業や登録取り消しの申請があったことが一部メディアによって報告されています。超高齢化社会のいま、安泰と言われてきた高齢者向け事業で、なぜこのような事態に陥っているのか。その理由の一つが、素人事業者による参入が多いことです。儲かるからと安易に高齢者住宅事業に手を出した。でも、やはり現実はそんなに甘いものではなかった──そんな事業者が少なくないのです」

もし自分や自分の親が住んでいる高齢者住宅が青天の霹靂の如く倒産してしまったら……路頭に迷ってしまうことは想像に固くない。だからこそ、プロの事業者による高齢者住宅か、素人事業者によるものかをきちんと見極める必要がある。では、どのように見極めればいいのだろうか。

「大手ならば大丈夫だろうという人もいますが、それは誤った認識です。全国展開しているようなところでも素人事業者はいますし、逆に単独で頑張っている有料老人ホームやサ高住でも、質の高い業者はたくさんあります。大切なことは、◯◯だから大丈夫と拙速に判断するのではなく、きちんと時間と労力をかけて調べることです。たとえば、多くの人が“流し読み”をしてしまう重要事項説明書。これをきちんと読み、必要箇所を見比べるだけでも、どの業者が優れていて、どの業者が素人なのかが見えてきます」

この重要事項説明書の中で、特にわかりやすいものが次の3点だ。

・「全体の人数・常勤換算でのスタッフ数」……これを見ることで、適切な人員配置がされているかがわかる。

・「管理者の資格・専任の有無」……これを見ることで、管理者の資格や経験が十分にあるかがわかり、さらに、専任か兼務かによって、その管理者のスタンスを判断することもできる。

・「前年度の採用者数・退職者数」……これを見ることで、スタッフの熟練度を推し量ることができる。人材の流動性が高いほど、ノウハウは蓄積されていないと判断できる。

そのほかにも、たくさんの項目があり、事業者やサービスの質を探る手がかりが数多くあると濱田氏は話す。

「ほとんどの人にとって、高齢者住宅選びは初めての経験です。ですから、何を聞けばいいかわからないし、何がわからないのかですらわからないという人がたくさんいます。そうしたみなさんに言いたいのは、『わからないままにしておいてはいけない』ということです。特に先のような重要事項説明書を読んでいくと、わからないことがたくさん出てきます。それらを一つひとつ理解していくことです。これが老後に安心して暮らせる住まいを見つける最短ルートなのです」

高齢者ビジネスで一儲けしてやろうという素人事業者の美辞麗句に惑わされずに、質の高い高齢者住宅で安心・快適に過ごすためにも、40代、50代のうちから真剣に向き合わなければいけない。

【濱田孝一】

経営コンサルタント、社会福祉士、介護支援専門員、ファイナンシャルプランナー。1967年生まれ。立命館大学経済学部卒業後、銀行に入社。以後、介護スタッフ、社会福祉法人マネジャーを経て、2002年より介護ビジネスや高齢者住宅についての経営コンサルティング、講演、書籍執筆を行う。最新著に『「老人ホーム」大倒産時代の備え方 高齢者住宅を正しく見極める』が好評発売中。

<取材・文/日刊SPA!編集部>


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