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現実の契約結婚は「逃げ恥」のようにはいかない… “非婚出産”への道のり

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2016年に話題を集めた社会派恋愛ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』。このドラマのテーマは「契約結婚」だった。

『逃げ恥』を知らない人に向けて内容を簡単に説明しよう。主人公の森山みくり(新垣結衣)と津崎平匡(星野源)は夫婦ではあるものの、恋愛感情はない。結婚はしているものの、お互いのメリットを考えて従業員と雇用主という関係。だが、いっしょに過ごす時間が経つにつれ、次第に愛情が芽生えて行き、最後には心も結ばれてハッピーエンド! というストーリー。

しかし、実際に契約結婚をした場合はどうなるのだろうか。周囲の反応、パートナーとの関係性、そして出産……気になることはたくさんある。じつは、テレビの作り話だけではなく、現実世界においても契約結婚を実践した人がいるのだ。

今回は、「家族と性愛」を専門に執筆するフリーライター・佐々木ののかさんが主催した「わたし、産みたい!」展の1企画として行われたトークショー「恋愛結婚の解体、制度の外側に家族をつくること」の様子をお届けしたい。登壇者には、契約結婚を実践した経験がある櫨畑(はじはた)敦子さん、2014年から恋愛結婚と現行の婚姻届との関係性を探りながら、既存の結婚観を乗り越えるための作品を制作している美術家の黒木結さん。

登壇者の櫨畑さんは、出産したいと強く思っていたが、現行の「結婚=子育て」という社会のルールに違和感を抱き、子育てを中心とした集団コミュニティーでの契約結婚に踏み切ったという。

だが、とある事情で一年も経たず破綻……。その後、さまざまな方法を経て赤ちゃんを授かり、現在妊娠中。年内に出産予定だという。契約結婚のメリットとデメリット、そして新しい家族のかたちとは?

◆「大体」と「代替」を掛け合わせた“だいたい結婚”

佐々木:櫨畑さんは、つい最近まで契約結婚をしてましたよね。

櫨畑:2016年の夏ごろまで、契約結婚をしていました。わたしは、ほぼ結婚みたいなものだから「だいたい結婚」と言っていて(笑)。結婚の枠にとらわれない「大体」という意味と、既存の結婚制度に代わる「代替」という意味をかけました。

わたし、結婚における“扶養の義務”と“同居の義務”が昔からすごく嫌で。というか、女性側が扶養されている感じにすごい違和感があるんです。わたしは別に扶養されたくないし、男性側に扶養してやると思われるのもおかしいなと。だって、人はひとりで生きていくものじゃないですか。夫婦だとしても、経済的に自立してお互い必要な時に世話をすればいいと思うんです。だから、扶養の義務はなし、同居の義務もなしというルールに乗っ取って、“だいたい結婚”をしました。

佐々木:既存の結婚制度に代わり、自分たちなりのルールをつくったりしたんですか?

櫨畑:相手の男性と、わたしたちの意見に賛同してくれる人たちと一緒に11条のルールをつくりました。その中に恋愛に関する記述はありません。

※“だいたい結婚”した際の11条のルール(一部抜粋)

第一条 籍はいれない。

第二条 1年契約である。1年毎に二人の関係を見直し、より豊かにより自由になれるように契約書を修正する。あるいは、契約を解消する。

第三条 子供が生まれた際に二人で、もしくは血縁関係のみで育てない。

第四条 子の妊娠の発覚まで他の異性と性的行為をしない。妊娠後は新たに協議する。

第五条 同居の義務を負わない。ただし同居状態でない場合は月に少なくとも1度は面会の義務を持つ。

第六条 双方に扶助義務を負わない。

第七条 上記の内容や契約の内容に反する行いがあったときはすぐに関係を解消できる。

第八条 二人の間で紛争があった場合、契約の違反を疑われる行為があった場合は、共同体によって裁判が行わる。

黒木:相手の人とは住んでなかったんですか?

櫨畑:相手の男性は東京に住んでいて、わたしはその時から今もずっと大阪。遠距離だいたい結婚ですね。

黒木:かなり特殊な関係ですよね。そもそも、相手の男性とだいたい結婚するに至った経緯が気になります。

櫨畑:うーんと……これ別に言っていいんで言いますけど、相手の男性は、“助け合い結婚”をしたい人だったんです。ほかの夫婦やカップル、友人などといっしょに生活を助け合って生きていく仕組みをつくりたいと。つまり、“助け合いユニット”をつくりたいと。それで、彼がそういうユニットに参加してくれる自分のパートナーをネット上で募集したんですよ。2016年の2月ごろですね。

佐々木:その募集を見てどう思いました?

櫨畑:「へぇ!おもしろい!」って思ったし、その感想も彼に伝えました。助けあいユニットって、生きていく上ですごく効率がいいですもん。その時は、特にデメリットはないなと感じていて。わたしもわたしで、結婚というよりは妊娠・出産をしたかったんです。だからずっと、出産させてくれる相手を探していました。

だから、募集をかけて少し経ってから彼のツイッターのDMで「募集きてる?」とメールしてみました。すると「まったくありません。ゼロです」と(笑)。そして、「結婚しません?」と言われました。お互いの利害関係が一致したので、断る理由はないですよね。で、たった2回しか会ってないふたりで翌月の3月からだいたい結婚がスタートしました。

佐々木:なぜ1年更新にしたんですか?

櫨畑:1年ごとに関係を見直すのがちょうどいいと思ったんです。わたし自身、長いこと契約するのが苦手なんですよね。うちの親は35年ローンで家を買ったんですけど、わたしには理解できない。だって、35年後に自分が生きているかもわからないじゃないですか。それなのに、35年後まで月5万払うなんて意味がわからない。だって今はSoftbankのiPhoneを使っていたとしても、来年も自分がSoftbankのものを使いたいかわからないじゃないですか? 以前は、ソフトバンクしかiPhoneがなかったけど、今はauもdocomoも出してますよね。それにワイモバイルだってある。ワイモバイルってめっちゃ安いじゃないですか? 買い換えたくなる人もいると思います。だから、1年更新がしっくりきたんです。彼も賛同してくれたんですけどね。

◆現実では「逃げ恥」のようにはいかなかった

佐々木:おもしろい考えですよね。そこまでお互いの結婚に対する価値観は合っていたのに、長く続かなかった理由はなんだったんでしょうか。

櫨畑:ここまで話を聞いていてわかると思うんですけど、助け合い結婚って、ロマンチックラブじゃないんです。でも、契約結婚して3か月くらい経ったころ、彼が私に対して一般的な夫婦のような感情を持ってくれるようになったんですよね。

黒木:あれ? そもそもの話とは、まったく違う方向にいってるぞと。それでは普通の恋愛結婚を求めてしまっているというか……。

櫨畑:そうですね。うーん。やっぱりだいたい結婚をするうえで、わたしの一番の目的は妊娠だったんです。周りの人には、「公開のセフレみたいなものじゃん」と言われたけど、本当にその通りだと思ったし、それで良かった。パートナーとセックスして、妊娠したら契約を更新する、という感じが理想でした。彼に同居を持ちかけられた時、「だから、そういう結婚をしたくないって言ったやん」と伝えたんですが、彼の私への気持ちがそれだけ大きくなっていたんでしょうね。ただ、私としては理想のだいたい結婚とは違うなと思い、7か月で契約は解消しました。

佐々木:わたしも昔、恋愛したい相手と一緒にいて落ち着く相手は違うなって思いました。もっと言うと、結婚したい人とセックスしたい人は違う。一生その気持ちが交差しないと嫌だなと思ったので、周囲の友人に「夫婦ユニットをつくろう」と提案したことがあります。

最初はうまくいくんですけど、“セックスはしたくないけど、一緒にいたい相手”から一線を超える感じがあって。どちらかの“恋愛的な好き”が強まってしまうタイミングはありますよね。今も諦めていなくて、両方が揃う人を探しているのですが、難しいです。

櫨畑:「逃げ恥」みたいな感じなんですよね。契約結婚というか、就職するうちに、うまくいってしまったっていう。

黒木:あのドラマは、双方が歩み寄ったからよかったけど、片方の気持ちだけが大きくなってしまうと、関係は破綻しちゃう。お互いに恋愛感情が生まれれば、一件落着だけど、そういうパターンってほとんどないと思う。

櫨畑:佐々木さんが提案した夫婦ユニットは、何を目指してたんですか?

佐々木:生活を一緒にして助け合いをしたいと思っていた。単純にシェアハウスみたいな感じ。

櫨畑:合理的といえば合理的だよね。家賃も光熱費も浮くし。別に男女ふたりじゃなきゃいけないわけじゃないじゃない。男女三人でもいいよね。セックスが必要なわけじゃないんだから。でもやっぱり、今は“普通の結婚”に、契約結婚は負けると思いました。普通の結婚は、やっぱり偉大ですよ。人類は、この制度を長い間続けてるんですもん。そりゃ太刀打ちできませんわ(笑)。

黒木:契約結婚を解消して、今はお子さんを妊娠中なんですよね。

櫨畑:はい。契約結婚を解消してからも妊娠するために色々と模索しましたね。トルコ人男性とお見合いをしたり、「子育てしたい」という想いが一致したゲイカップルとの人工受精をしたり。本当に色んな方法を試して命を授かりました。年内に出産予定です。

佐々木:出産後は、どのような生活を送る予定なんですか?

櫨畑:関西にある長屋で友達と一緒に“生まれてくる人”を育てていく計画です。育児グッズも少しずつ揃えています。わたしは結婚していないし、生まれてくる人には戸籍上では父親はいません。それでも、契約結婚をしてくれたお相手含め、たくさんの人たちに支えられながらここまで来られたので感謝の気持ちでいっぱいですし、今はとてもワクワクしています。

◆生き方の答えはひとつではない

現実の契約結婚は、ドラマのようにトントン拍子にはいかないようだ……。とはいえ、多様化する社会の中で、個々のライフスタイルも日々変化しているのはいうまでもない。「結婚」「恋愛」「子育て」「仕事」など、何を優先して、どう生きたいのかを決めるのは、自分自身。生き方の答えはひとつではないのだ。

【佐々木ののか】(27歳)

「家族と性愛」を専門とするフリーライター。ライター業を生業としているが、最近は作品制作や自身の活動に軸足を置く。

Twitter:@sasakinonoka

note: https://note.mu/sasakinonoka/

【櫨畑(はじはた)敦子】(31歳)

17歳で多膿疱性卵巣症候群(PCOS)と診断され妊娠は諦めていたが、会社員を経て保育士になりどうしても妊娠・出産がしたくなる。「積極的非婚出産後、どういう子育ての方法があるか?」と周囲を巻き込みながら、実践を続ける女性の一人。契約結婚やゲイカップルとの人工授精、多くのアプローチとお見合いも経て、とうとう授かった彼女の妊娠に関する展示を行う。

【黒木結】(26歳)

現代美術家。1991年生まれ。2017年京都市立芸術大学修士課程彫刻専攻修了。プライベートとパブリックの関係性に興味があり、2014年から恋愛結婚と現行の婚姻届との関係性を探りながら、既存の結婚観を乗り越えるための作品を制作している。

<取材・文/日刊SPA!編集部>


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