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日本の携帯電話メーカー、瀕死に陥った「本当の理由」

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 かつて、世界ナンバー1を誇っていた日本のエレクトロニクス産業が、衰退に歯止めがかからなくなっている。

世界トップクラスの総合エレクトロニクスメーカーの富士通が、携帯電話事業を売却する方針を固めたことが大きい。9月中にも入札手続きを開始する予定だ。

売却先の候補には、ポラリス・キャピタル・グループや英CVCキャピタル・パートナーズなどの投資ファンドのほか、中国のレノボグループやファーウェイ(華為技術)、台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)などが浮上している。売却額は数百億円規模といわれている。

ホンハイはシャープを買収したのに続き、東芝メモリの買収にも手を挙げている。日本のエレクトロニクス企業は“お買い得”とみなしているようだ。

富士通は2012年、東芝の携帯電話事業を統合した。高齢者を主要な顧客に据えた「らくらくホン」が大ヒットした。スマートフォン・タブレットの「アローズ」を主力ブランドとした携帯電話事業は、NTTドコモでの展開が主力だ。17年3月期の出荷台数は320万台、18年同期は310万台の見通しで、ピークだった12年3月期の800万台から4割にまで縮小した。同事業の17年3月期の売上高は1500億円超、営業利益は100億円前後とみられている。

富士通は16年2月、携帯電話を非中核事業として分社化。100%子会社の富士通コネクテッドテクノロジーズを設立して本体から切り離し、売却の準備を整えていた。

富士通の18年3月期の連結決算(国際会計基準)は、売上高にあたる売上収益は前期比0.8%減の4兆1000億円と微減だが、営業利益は58%増の1850億円、純利益は64%増の1450億円と大幅増益の見込みだ。この数字に携帯電話事業売却の影響は織り込まれていない。

富士通の事業は3つに大別される。18年3月期の売上計画によると、中核のシステム開発やサーバー販売などのIT分野が74.8%、パソコンや携帯電話が15.6%、半導体・電子部品が13.6%(部門間取引があるため合計は100%を超える)。

富士通は今後、中核のITサービスの体質強化を図る。人工知能(AI)やあらゆるモノがネットにつながるIoT(Internet of Things)など、先端技術を活用したサービスに経営資源を集中する。

ほかの事業は、外部との協業を模索する。コモディティ化した携帯電話は売却することにした。コモディティ化とは、当初は価値ある商品でも、機能・品質などの属性と無関係に経済価値が同質化するといった意味だ。冷蔵庫や洗濯機、テレビ、パソコン、携帯電話などがこれにあたる。日本のエレクトロニクス業界で撤退が相次いでいるのは、コモディティ化に伴い、軒並み採算が取れず赤字になったことが原因だ。

●“ガラケー”を生み出した通信行政の失敗

2000年代初め、国内の携帯電話メーカーは10社を超えていたが、まず三菱電機が撤退。日本電気(NEC)はカシオ計算機・日立製作所と統合したが、やはり姿を消した。パナソニックは国内スマホから手を引いた。そして今回、富士通は東芝と統合した事業を売却することになった。残るはソニーモバイルコミュニケーションズ、シャープ、三洋電機の携帯電話事業を買収した京セラの3社だけとなった。

まさに“死屍累々”の惨状といえる。日本の携帯電話は、国内独自のソフトや機能を搭載して「ガラパゴスケータイ(ガラケー)」と呼ばれた。ガラパゴス諸島に生息する動物は、外部と隔離され独自に進化を遂げたが、日本の携帯電話も同様に世界標準を無視した独自の規格を取り入れたことから、ガラケーと揶揄されたのだ。

総務省が国内の通信会社を保護するために、日本以外では使えない周波数を割り当てたことがガラケーを生んだ要因だ。電機メーカーは、その規格に基づき端末をつくった。世界でも美しい携帯端末ではあったが、悲しいことに、どこにも輸出できない国内限定製品となった。

1970年代の「日本株式会社」と呼ばれた産業政策の成功体験が忘れられないのか、ことあるごとに官僚は介入してくる。だが、官僚が介入してうまくいったケースはほとんどない。

シャープの再建問題、東芝メモリの売却問題しかり。日本の携帯電話が海外で敗北したのは、日本でしか使えない周波数を総務省が割り当てたのが最大の元凶だが、もうひとつの原因は、日本のメーカーがスマホ開発に出遅れたことだ。

2000年代初頭のガラケーの全盛期には、国内の携帯電話市場は9割超が国産だった。だが、米アップルが07年にアイフォーンを米国で発売すると市場は一変した。あっという間にガラケーはスマホに駆逐された。

日本勢がスマホを本格的に投入したのは11年以降だ。その時には、すでに勝負がついており、雪崩を打って撤退するしかなかった。

世界市場では、アップルと韓国サムスン電子の2強が競っている。MM総研の調査によると、16年の国内出荷シェアはアップルが43.5%で断トツ。2位のソニーモバイルコミュニケーションズでも12.5%にとどまる。以下、シャープ10.0%、京セラ9.7%と続き、富士通は5位の8.0%。国内でこの程度のシェアでは、当然、海外ではまったく太刀打ちできない。実際に、富士通の世界シェアは3%にも満たない。

富士通の退場後、残る国産スマホメーカーも、果たして生き残れるか予断を許さない。国内でアップルの寡占化が進むのは間違いないだろう。
(文=編集部)

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