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【臓器移植の実態!】提供する側とされる側、それぞれの現実とは?

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経験や年齢を重ねていくと、人生とは何かを失っては何かを得ることの繰り返しであるということがだんだんと身に染みてくるもの。そこで今回は、喪失と再生を描いた話題作をご紹介したいと思います。それは……。

■ 美しい映像と音楽で紡いだ感動作『あさがくるまえに』!

【映画、ときどき私】 vol. 112

フランス北西部の都市ル・アーブル。シモンはガールフレンドの眠るベッドから抜け出し、夜明け前に友人たちとサーフィンに出かけていた。しかし、自宅へと帰る途中、交通事故に巻き込まれ、脳死と判定されてしまう。医師はシモンが蘇生する可能性が低いことを両親に伝え、臓器移植を提案するのだった。

いっぽう、パリに暮らすのは心臓に末期的症状を抱えていた音楽家のクレール。もはや心臓移植しか選択肢はなかったが、若くはない自分が他人の命と引き換えに生き延びることの意味を自問していた。そんなとき、クレールは担当医からドナーが見つかったという連絡を受けることに……。

映画化をめぐっては争奪戦になったほどのベストセラー小説が原作の本作ですが、今回は独自の感性で新たな命を吹き込んだある方に、見どころや撮影を振り返ってみて感じたことを語ってもらいました。それは……。

■ 若手女性監督として大注目のカテル・キレヴェレ!

本作が長編3作目にも関わらず、いずれの作品もカンヌ国際映画祭やヴェネツィア国際映画祭で高く評価されるなど、今後が期待されているキレヴェレ監督。小説を読んですぐに映画化したいと思ったというだけに、この作品にかける強い思いを聞いてきました。

■ 今回、この作品を映像化するうえで大事にしたことは何ですか?

監督
 私がこの映画を作るにあたっては、小説のなかで描かれている3つのことを一番重要視したわ。まず1つ目は、物語のなかに描かれている科学や医学へのアプローチについて、いかに正確に緻密さを持って描けるかということ。

2つ目は、登場人物たちが見せる感情の描写。というのも、それぞれのキャラクターがそれぞれの場所と立場でひとつの体験を共有していくんだけれど、そういう違いによって感情の動き方は変わってくるものなのよ。だからこそ、その部分をどういうふうに映画で描写するかということを考えたわ。

そして最後は、人の死をまた生に活かすということに関わるすべての人たちの関係性。たとえば、ひとつの出来事に対して注がれる目線というのは、家族か医者かによっても違うものなのよ。だからこそ、そこをどのように描くかを大事にしようと思ったわ。

■ では、逆に原作と変えたところは?

監督
 小説と映画の大きな違いというのは、特に物語の後半の部分。原作では臓器を提供するシモンのほうにウエイトが置かれて描かれていたんだけれど、私は提供する側と提供される側の両方を同列に描くことが重要だと思ったの。それに、死よりも生をより描きたかったし、そのほうが映画的にはいいんじゃないかという思いもあったからなのよ。

シモンとクレールをつなぐ役割を果たしている移植コーディネーターは、誰かの命を救うと同時に誰かの命を終わらせなければいけないという精神的にはかなりきつい職業。

■ 実際に病院で彼らの様子を見て感じたことはありますか?

監督
 彼らの仕事ぶりや感情の捉え方を間近に見ることができて、いろいろと新しいことを学べたと思うわ。事前に医学的な知識や臓器移植に関するプロセスというのはそれなりに自分のなかに蓄えてはいたけれど、実際に彼らを観察することで彼らの抱いている感情を知ることができたので、ものすごく細かく、具体的に描写することができたのよ。

それから、移植コーディネーターというのは、死から生へと人々をつなぐメッセンジャーのような役割を果たす神秘的な仕事だとも感じたわ。患者さんが脳死していて生きる見込みがないとき、その事実を家族に伝えなければいけないのだけれど、どういう言葉を使って伝えるのかを考え、家族が決断を下すまで彼らはただ待つだけで決して説得はしないのよ。そういうふうに、あるがままを受け入れて淡々と役割を果たしているところが神秘的な存在だと思ったわ。

■ このテーマと向き合ってみて、ご自分のなかで何か変わったことは?

監督
 自分の人生観や死生観にも、もちろん変化もあったわ。ただ、映画監督が作品のテーマを決めるときというのは、たまたま本を読んだからとか、偶然何かを見たからということではなくて、それまでに体験してきたいろいろなことがそのテーマへと向かわせるんじゃないかしら。だから、今回の作品についても、私のいままでの個人的な経験というものが、このテーマに向かわせたんだと思っているわ。あともうひとつ変わったことは、この仕事を終えてドナーカードを作ったということかしら。

■ 撮影を通して印象に残っていることはありますか?

監督
 まずは人間の肉体というのは本当に不思議なものだなと強く感じたわね。作品の準備のために心臓手術の全工程を間近で見ることになって、初めて心臓を見たんだけど、ひとつの肉体から心臓が取られて、次の肉体に移植されて、一度止まった心臓がドクドクと動き始める様子を見て、やっぱり人間の力というのはすごいものがあるんだなという印象を受けたわ。

だけど、それは科学の力に裏打ちされていることでもあるから、人間というのはすごい生命力を持っていて神秘的だといういっぽうで、ものすごくメカニックなものなんだなというような見方もできるわね。

■ 心臓移植は驚くほどリアルな描写でしたが、その理由は?

監督
 今回、詳細な手術シーンを入れたのは、心臓に対する2つの見方をしっかりと描きたいと思ったからなのよ。まず心臓というのは、一般的にはポンプの役割を果たす臓器のひとつであること。

そして次に、心臓は筋肉の塊だけれど非常にミステリアスな部分も持っていて、人間の感情のメタファーでもあるということなのよ。そんなふうにいろいろな感情を含んでいるのが心臓という臓器なんじゃないかという思いを描きたかったし、リアルに映像で見せたことで、物質的な部分と感情的な部分の両方が含まれている心臓を自分が思うように表現することができたと思うわ。

■ 本作では各シーンで目がとても印象的に描かれていますが、こだわったことは?

監督
 私は以前から目の描き方にはとても関心があるの。この作品でいうと、医療関係者が持っている目の説得力はものすごいなと感じていたところもあるし、いろんな感情の動きを目で捉えられるとも考えていたのよ。

それに、もともと私は映画というのは “無言のアート” だと思っているの。それゆえに、登場人物たちの感情の移り変わりや表情の動きというところを重視しながら描いていくべきだし、だからこそ目の動きや力といった “目の表情” というものにとても興味を持っているのよ。

■ 臓器移植というシリアスな題材でありながら、作品のトーンを明るめにした部分は意図的ですか?

監督
 確かにそういうふうなことを意識したところはあるわね。なぜなら、ものすごくヘビーなモチーフがたくさん入っているからこそ、若くてエネルギッシュで活き活きとした感覚や光、それから優しさや愛情といったテイストを加味していかないと、自分がやりたいことをいろいろな人に伝えられないと思ったからなのよ。

■ 最後に日本の女性たちにメッセージをお願いします!

監督
 私は映画を作る人なので言葉としてはうまく伝えられないけれど、それぞれの人が自分の置かれている状況のなかで無意識のうちに戦っていると思うの。だから、周りのみんなも同じように戦っているんだということを感じて欲しいし、派手なことに惑わされないで、自分の存在というのを自覚して欲しいと思っているわ。

■ 生の尊さと儚さに溢れる涙が止まらない!

すべての人物に共感し、「もし自分だったら」と問わずにはいられない本作。心をえぐられるような痛みとともに、ひとりひとりの持つ生命の重みを感じるはず。優しく差し込む朝日のような希望の光を体中で受け止めてみて。

■ 心臓の鼓動が高まる予告編はこちら!



■ 作品情報

『あさがくるまえに』9月16日(土)よりヒューマントラスト渋谷ほか全国順次にてロードショー !配給:リアリーライクフィルムズ コピアポア・フィルム(C) Les Films Pelléas, Les Films du Bélier, Films Distribution / ReallyLikeFilms


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