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『スパイダーマン:ホームカミング』徹底解説レビュー! 現代と1980年代を繋ぐ、新たな青春映画の金字塔が誕生した!![スパイダーマン・タイムズ #6]

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すでに公開された53か国でナンバーワンヒットを記録し、世界中から絶賛の声が上がっている『スパイダーマン:ホームカミング』が、ついに11日から日本公開となった。これまでも記録的大ヒットを続けてきた「アベンジャーズ」シリーズに、日本でも人気の高い「スパイダーマン」が本格参戦するとなれば、楽しみでないはずがない。

2012年に公開された『アベンジャーズ』のクライマックス、チタウリの艦隊との戦いで壊滅したニューヨークの街から物語が始まり、その残骸を回収したエイドリアン・トゥームス(マイケル・キートン)が、仕事を奪ったアイアンマン=トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr.)への復讐のために、自作の武器で“バルチャー”へと変貌する。そこに自ら巻き込まれにいく好奇心いっぱいの15歳の少年ピーター・パーカー(トム・ホランド)を軸にして、あらゆる物語が交錯していく点は、いかにも「アベンジャーズ」シリーズらしい作りだ。

作品全体を満遍なく理解するためには、もちろん過去作を一通り(少なくとも「アイアンマン」シリーズと『アベンジャーズ』、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』あたりだろうか)観ておくに越したことはない。しかし本作は「アベンジャーズ」を軸とした連作シリーズ、マーベル・シネマティック・ユニバースの系譜に新たに加わったアメコミヒーロー映画であると同時に、アベンジャーズの一員になるべく日夜努力する、一人の少年を追った青春映画なのである。

なので、たとえ「アベンジャーズ」シリーズに暗くても問題はない。一本の映画として本作を楽しんだあと、来年公開される『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(日本2018年4月27日公開)までの間に、ゆっくり知識を蓄えておけば良い。本稿ではこの『スパイダーマン:ホームカミング』の、青春映画としての側面を紐解いてみたい。

まず過去の「スパイダーマン」シリーズとの主人公像の比較だ。2002年から3作が公開されたトビー・マグワイア版の『スパイダーマン』、そして2012年から2作が公開されたアンドリュー・ガーフィールド版の『アメイジング・スパイダーマン』。いずれも冴えないオタク気質(スラングでいえば“ナード”と呼ばれるタイプだ)の高校生ピーターが蜘蛛に噛まれて特殊能力を手にし、自作のスーツでスパイダーマンになるというのは、もはや定番である。

今回のトム・ホランド版ピーターは、自作のスーツと“ウェブ・シューター”(蜘蛛の糸に見立てた頑丈な糸を出す装置)を持ちながら、トニー・スタークから贈られたハイテクスーツで活躍するのだが、それ以上に過去の二人との大きな違いがある。

過去の二人は、目の前で叔父が強盗に襲われ命を落としたことを悔やみながら、家族や友人、そして家族同然のニューヨーカーたちを守るために活動する“苦悩の少年”だった。ところが、今回のピーターは“ナード”であることは共通しているが、根が明るく目立ちたがり屋で、YouTubeで自分の活動を公開しては、監視役のハッピー・ホーガン(ジョン・ファブロー)を困らせるほど頻繁にアピールを続ける。アベンジャーズに入りたいと強く願う彼は、「認められたい!」という欲求の強い、現代のアメリカに大勢いる少年の一人なのだ。

また、タイトルにもなっている“ホームカミング・デー”とは、歴代の卒業生が一堂に会する北米のハイスクールにおける定番行事である。簡単にいえば「同窓会」をもっと華やかにしたパーティで“プロム”に並ぶ一大イベントだが、映画で描かれることは決して多くなかっただけに、日本人にはイメージしづらいというのが正直なところだろう。

それでも往年の青春映画を思い出さずにはいられない、オールドファッションな描かれ方が、この映画最大の魅力だ。“ホームカミング・デー”のパートナー選びにドキドキし、ホームパーティや全米学力コンテストに参加し、陽気な音楽に淡い恋模様。日本人の多くが一度は憧れる、アメリカのハイスクールドラマに欠かせない要素をこれでもかと詰め込んだのである。とりわけ青春映画黄金期の80年代に立ち返った気分にさせられるではないか。

80年代に青春映画の名作が多く生まれたのは、MTVの登場による音楽文化の発展、そしてトム・クルーズを筆頭とした若手スターの登場、アメリカン・ニューシネマの終焉といった文化的背景がある。そして何よりもヴェトナム戦争の終結によって混乱期に陥った社会で、若者たちの主張や存在感が大きくなっていったからに他ならないだろう。

それから30年以上経た現在、アメリカ社会はトランプ政権の誕生に代表される混乱が続いており、ブレない自我を持った若者が求められる時代が再び訪れたのだ。80年代青春映画の代表格のひとつ『フェリスはある朝突然に』(奇しくも、劇中には同作の映像が登場する)のように、学校をサボって自分のやりたいことに突き進む少年の姿こそ、もっとも夢のあるリアリティということだ。

その夢を体現する、主演のトム・ホランドは、現代っ子を代弁するスター候補とみて間違いない。2013年、J・A・バヨナ監督の『インポッシブル』で主人公の息子を演じ、ハリウッド映画賞をはじめ多くの新人賞を受賞して鮮烈な映画デビューを飾った、現在21歳のホランド。スタジオジブリ制作の『借りぐらしのアリエッティ』イギリス公開版では、病弱な少年・翔の声優を務めた経歴の持ち主だ(日本版では神木隆之介が演じたキャラクターである)。

まだまだあどけなく、無邪気な少年らしさを携えた見た目に、演技デビューとなった2008年の舞台「ビリー・エリオット/ザ・ミュージカル」で鍛えた柔軟な身体能力を持っている彼は、新たなピーター・パーカー像に最も適した若手俳優といえよう。

“ナード”らしくもあり“ムードメーカー”らしくもある、いかにも現代っ子な彼が“アベンジャーズ”の一員になろうとしているなんて、こんな素晴らしいアメリカン・ドリームが今まであっただろうか。全世界の少年少女、そして、かつてその立場にいた大人たちも、この最先端の青春映画で2017年の夏を謳歌してほしい。【文/久保田和馬】

https://news.walkerplus.com/article/117605/

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