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今夜地上波「HiGH&LOW THE RED RAIN」はLDHによる現状最高峰のイケメン表現だ

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「イケメンをイケメンに撮る」ことに対して現状最高級のプロの仕事をしている映画。『HiGH&LOW THE RED RAIN』を無理やり一言で形容すると、そういうことになる。


ド派手かつノワール感のある番外編『THE RED RAIN』
2015年10月のテレビドラマ版。2016年夏に公開され、様々な方面のオタクたちを混沌と狂乱に叩き落とした『THE MOVIE』。そしてそれに続く『HiGH&LOW』シリーズ作品が、今夜9時から日本テレビ系で放送される『THE RED RAIN』だ。

『HiGH& LOW』(以下ハイロー)の舞台は現代の東京っぽい架空の大都市圏。かつてMUGENという伝説の走り屋集団がその一帯を支配していたが、とある事情によって解散してしまう。地域全体をまとめていた大集団が解散しタガが外れたことで、その一帯にはそれぞれ目的と支配地域の異なる5つのチームが出現。この5つのチームの頭文字をとって、一帯はSWORD地区と呼ばれるようになった。治安は悪いが巨大な利権を生み出すSWORD地区を狙い、外部の巨大ヤクザ組織九龍グループが暗躍するのを、地元各チームの不良たちが仲違いしたり共闘したりしながら迎え撃つ……という、だいたいそんな感じの話である。要は『TOKYO TRIBE』というか『クローズ』というか、その手の不良マンガの世界をEXILEや三代目 J Soul Brothersなどを擁するプロダクション「LDH」のパワーとド根性でゴージャスに映像化した作品と言える。

本作『RED RAIN』はその外伝的作品だ。主人公は最盛期のMUGENに対し、たった二人で渡り合った雅貴と広斗の雨宮兄弟。実はこの2人には行方不明の兄である尊龍(たける)がいた。兄の手がかりを掴むため奔走する雨宮兄弟だが、両親の命日に墓参りに来たところ、そこで尊龍と一緒に住んでいたという少女愛華に出会う。1週間前から尊龍の行方がわからなくなったという愛華。その失踪の裏には巨大な陰謀の手がかりが秘められた、一本のUSBメモリがあった。果たして尊龍の狙いとはいったい何か、雨宮兄弟は無事に兄を連れ戻すことができるのか……。

全員集合のお祭り映画だった『THE MOVIE』と異なり、ネタを雨宮兄弟に絞ったことでストーリーはよりヘビーで洗練されたものになり、海外ロケのおかげもあってアジア系ノワール映画っぽい雰囲気になったのが『RED RAIN』の特徴。そして冴え渡るのがアクションの新要素「ゼロレンジ・コンバット」である。

ゼロレンジ・コンバットは本作のアクション監督である坂口拓が提唱している格闘テクニックなのだが、ざっくり言うと変則的な立ち関節で銃を持っている相手を極めるか転がすかしてしまい、武器の効果を奪いつつ倒すというもの。もともと歌って踊れる運動神経のいい人たちがこれを練習して身につけているため、関節は流れるように極まり雑魚敵がピュンピュン吹っ飛び、何より「アレなら銃を持ってる敵に勝てるよ!」という説得力がある。

さらにファイナルファンタジーみたいなクソ高いバイクを惜しげも無く乗り回してのカーチェイス、どういう生活スタイルなのか全く読めない雨宮兄弟の暮らしぶり、雅貴と広斗のイチャついているようにしか見えない会話など、異常な量の見所が山盛り。それらの根底を下支えしているのが、LDHの「イケメンをイケメンに撮る技術」なのだ。

ベタを恐れないから作れる、史上最上級のイケメン映像
自然界の場合はさておき、「映画におけるイケメン」というのは人為的に発生しているものである。単に顔のかっこいいお兄ちゃんを連れて来ただけでは成立しない。まずかっこいいキャラクターを設定し、それに見合う衣装やメイクやヘアスタイルを研究し、カメラを通した時にかっこよく見える演技を習得させ……といった具合で、映像でイケメンを表現するのは案外大変である。下手をすると陳腐で笑える感じになってしまう。

LDHにはそれに対する膨大な蓄積がある。日焼けしたオラオラ系ヤンキーしかいないと思われがちなEXILEらLDH系アーティストだが、それは10年以上前の話。現在LDHには様々な方向性の顔面を持った男性キャストが多数在籍しており、その中にはいわゆるジャニーズ系(この言い方が妥当かどうかってのはひとまず置いておいてください)ではない顔面の人もたくさんいる。そして、それらばらつきのある顔面を全力でかっこよく表現するケーススタディが、LDHには無数に積み上げられているのだ。

『RED RAIN』はこのイケメン映像量産テクニックを、TAKAHIRO、登坂広臣、斎藤工というたった3人の男に対して総動員した映画である。冒頭、バイクが爆発してボーボー燃え広がる炎を背景に、スローモーションで歩いて敵のアジトに入る雅貴と広斗。炎を背負って歩くイケメン主人公2人組なんて普通ならベタすぎて吹き出しそうになる映像なんだけど、ライティングやカメラ位置や音楽など、構成要素の全てがこの絵面を成立させるために奉仕しているのであっさり納得させられてしまう。

その雨宮兄弟が階段を登った先、怪しいネオンが光る部屋に立って敵と対峙する尊龍もすごい。この映画、強い男はまず背中から画面に現れるのだが、その最たるシーンである。そしてバシバシと敵を倒したところで初めて映る斎藤工の横顔……。惚れ惚れするほどベタ、それなのにかっこいい!! この映画、全編がこんな感じなのである。

『RED RAIN』がすごいのは、ベタなことを堂々と、かつ高精度でやっている点である。「挿入歌が流れる中、雨の中で慟哭する革ジャンのイケメン」なんて絵面、普通にやったらすごくしょうもない感じになっちゃうはずなのだ。しかも『RED RAIN』にはそういうシーンが山ほどある。陳腐になることを回避し、物語的にも納得させつつ、絵面の強さも確保してベタ中のベタを正面から映像化する。これは明確なビジョンと正しい技術のある集団にしかできない仕事だ。イケメンをイケメンに撮って物語を表現するということに関して、この『RED RAIN』は紛れもなく現状最高の出来栄えなのである。
(しげる)

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