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【パリ発列車の旅】5 黒猫のミイラが今も…

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 モネが連作を描いた大聖堂があることで有名な、ルーアン。パリ・サンラザール駅から在来線で1時間少々だから、日帰りで足を伸ばすのに無理のない場所だ。ジャンヌ・ダルクが火刑に処せられその生涯を終えた町でもあり、長い歴史を持つコロンバージュの旧市街は、いつ来ても散策に最適の観光地だ。夏はさらに楽しみが多い。その一つは、毎晩開かれる大聖堂のプロジェクションマッピングだ。

まだフランスが今の形でなかった頃から、ノルマンディー公国の首都として栄えてきたルーアン。ヴィクトル・ユーゴーが「百の鐘が鳴る町」と書くほど教会が多い町で、今でもあちこちの鐘楼から響き渡る鐘の音は、この町の生活の一部だ。中でも12世紀から400年かけて16世紀に完成した大聖堂は、フランス・ゴシック建築の最高峰、150メートルの尖塔はフランス一の高さを誇っている。ステンドグラスや、レースのような浮彫装飾は、建築や宗教に詳しくなくても、ため息が出るほどの素晴らしさ。ルーアン出身のフロベールの作品、「ボヴァリー夫人」に描かれた大聖堂の描写も、そのままたどることができるたたずまいだ。

この大聖堂正面ファサードに、プロジェクションマッピングでさまざまな物語を映し出す「光のカテドラル」が6月から9月までの間、毎晩開かれている。町のシンボルであるジャンヌ・ダルクの物語は毎年の定番だが、そのほかの作品は少しずつ変わっている。今年の新作は、イングランドを征服し(征服王の名を持つ)、イギリス王室の開祖でもあるノルマンディー公ギヨーム2世の物語だ。鑑賞は無料、ただ時間にカテドラルの前に行けばいいいだけの贅沢なスペクタクル。混雑して見えないということもなく、場所取りも不要。夕食帰りの人が気軽にカテドラル前で立ち止まり見ていく感じで、のんびりと楽しめる。

このほかにも、ジャンヌ・ダルクが火刑に処せられた広場に立つ、ジャンヌ・ダルクの教会や、その広場に面したフランス最古のオーベルジュ、大聖堂からこの広場に来る道の中ほどにある時計台など、必見の場所は多数あるが、夏にルーアンに来たら、もう一つのお勧めがサン・マクルー共同墓地の跡。肝試しついでに立ち寄って、少々”涼しく“なれる静かな場所だ。

サン・マクルー教会の横、たくさんのレストランが並ぶマルタンヴィル通り沿いに、よく見ていないと見過ごしてしまいそうな小さな入り口がある。だが入り口を入ると、奥には大きな中庭とそれを取り囲むように建つ古い建物。ヨーロッパで数少ない、現存する中世の墓地の跡だ。その起源は1348年のペストの流行までさかのぼる。当時、ペストで町の人口の4分の3が亡くなり、墓地が不足して建てられた共同墓地で、建物の装飾はほとんどが「死」にまつわるもの。入り口付近の窓から中をのぞくと、当時魔除けだったと言われる黒猫のミイラが、そのままの姿で残っているのが見える。主要な観光ポイントではないため、人も少なく、中庭に一人で立ち、中央にある樹々を揺らす風の音を聞いていると、暑い日でもヒンヤリする特別な場所だ。

ここを出たら、スイーツ女子“必食”のダムケークのお菓子や、前述した最古のオーベルジュ、クーロンヌの食事、そしてかわいい絵付けのルーアン焼きの店、ファイアンス・サンロマンなど、残りの楽しい街歩きをぜひ。


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